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流星の泪  作者: 退廃さん
17/22

流れ


昴の家に泊まってから4日になる。


気を使わなくていいと昴の母親は言うが、気を使わな方が何倍も気を使ってしまう。なるべく昴の部屋から出ずに静かに過ごす。




当たり前に出てくる温かい手料理。お湯に満たされた湯船。


これが普通で当たり前の暮らしだと夏生は複雑な気持ちでいる。


時々様子を見に昴の母親がドアを叩く。


「退屈じゃない?」


尋ねるが夏生は首を振る。


「大丈夫です、」


「そう、・・・・じゃあ、後でデザートでも食べましょう、用意するからまっててね、」


「はい、すいません、」


「また、それ。全然気にしてはいないわよ、お茶の相手ができておばさん、嬉しいわ、」


昴の母親は鼻唄交じりに階段を降りていく。


「はあ、」


元々、少し人見知りのある夏生、重苦しくため息を吐く。


「・・・・なんかないかな、」


ごそごそと勉強机、本棚をかき回す。


「エロ本はー、」


ベッドの下に手を伸ばす。手当たり次第に探していく。健全な男子高生なら絶対あるはずのエロ本。


「・・・・あいつはないな、」


自分へと向く昴の愛情は、ときにうっとおしいくらいだ。


「俺って愛されてるー。」


付き合い初めて半年、それ以上に濃密な時間をすごしている。




トントンと部屋のドアが叩かれる。


「なっちゃん、いらっしゃい。」


「はい、」


トントンと階段を降り、ソファーにすわる。


カチャカチャと音を立てながらティーカップをテーブルにおいていく。


「なっちゃん、甘いものは平気かしら?」


「はい、平気です、」


「よかったわ、昴も父さんも甘いの食べないから。」


母親は言いながら冷蔵庫からケーキを取り出す。




「紅茶でいいかしら?」


「はい、」


「じゃあどうぞ、」


「いただきます、」


ケーキを口にしながら母親はぼやく。


「あの子、なっちゃんにへばりついて何か迷惑かけてない?」


「・・・・えと、俺の方が迷惑かけっぱなしです、」


「あら、そんなことはないわよ、あの子いつもなっちゃんの事しか話さないんだから、」


「そ、うなんですか、」


恥ずかしさを誤魔化すように夏生は紅茶に口をつける。


「一番大変なのがバレンタインデーなのよ、」


「・・・・両手いっぱいのチョコ。モテモテなのは母親としては嬉しいのだけどね、全部捨てちゃうのはもったいないでしょ?なっちゃんはどちらからでも貰えそうね。」


「ないです、俺、」


「あら、こんな可愛いのに、女の子も見る目がないわねえ」


くすくす、と母親は笑う。照れた様に夏生は笑みをこぼす。


「そう、その笑顔!もったいないわ、」


「え、と。そ、そんなことないです、」


「そんなことあるのよ、えーと、なんていうのかしら・・・・そうねえ、今風に言えば小悪魔って言うのかしら、」


夏生はブンブンと首を振る。


「こ、こあくまって、違います、」


「ふふ、こんなに楽しいデザートタイムは久しぶりよ、」


「あら、もうこんな時間ね、」


ふと時計を見上げると夕方の四時を過ぎている。


「楽しいのはあっという間ね、なっちゃんありがとうね、」


「いえ、ごちそうさまでした。」


夏生は食器を持っていくのを手伝いながらキッチンに持っていく。




「あの、おばさん・・・・、」


昴の母親はうん、と振り返る。


「俺・・・・自分の家に帰ります。・・・・このままじゃダメだなと、」


言葉を探す夏生を見つめて昴の母親は言う。


「自分の気持ちと戦ったのね・・・・、」


「はい・・・・、」


頷く夏生。覚悟は決まった、とゆうように手の平を強く握りしめた。




「そう、分かったわ。・・・・でもなっちゃん約束して頂戴。何かあったら昴でもいい、おばさんでもいいから言いなさいね。。」


「はい、わかりました、ありがとうございます。」


「でも今日は泊まっていきなさい、急になっちゃんがいなくなったら昴に叱られちゃうわ、・・・・ね?」


「ありがとうございます、」

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