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〜転生〜(山主side)

 冷たい空気を感じるなぁ……。それが先ず初めに気づいた事で、ゆっくり瞼に力を入れたら徐々に開かれいくのが分かる、全部開きったと思って見た感じとは違って視界はまさかの全部モザイク。全く持って、何があってこうですとかここにあれがあってが分からない……それに足も手もこう、動かせないの。動かす……動かすってなんだろうと私の脳内も霞が掛かっているみたいでぼんやりしてしまって。


 どうにか顔を左右に動かすと、ど、どうやら、私は何かに包まれている様な気がする。何か頬に柔らかい物が当たるし、手も足もそれと同じ感覚があるから……きっとそうなんだろうなぁ、霞が掛かっている今の私には、理解が物凄く遅い気がして、ね。誰か、説明して欲しい。


 「ゴルルルルルルルルル――」


 ……あれ?なんだろう……


 「ゴォルルルルルルル――……」


 この不安になるお腹から出ているような化け物の鳴き声が……聞こえてる!?ひぃっ!!今、大きな足音が聞こえた!それに、それに、荒々しい呼吸音まで!?確実に、こっちに来てる……来てるぅぅぅ!!怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。ぼやぼやしていた思考が一気にネジを回したかの様に動き出して、今の私は恐怖で口がパクパク動くだけ。


 目は見えなくても、音はしっかり聞こえてきて、本当に本当に私の方に来ている。来てるんだ。あぁ……あれ?なんだ?こんな時に、なんでだ。私……今、物凄く、お腹空いてる。それに、悲しくなってきた。なにこれ、ほんと、なにこれ!?もう、もう、駄目。駄目……駄目だぁー!


 「おああああああん!!(お腹すいたよぉおおお)」


 今の私は、感情が抑えきれない。言葉も口に出せれない。泣く、泣く。したら、何かが走る音もした。私は泣く。お腹がぺこぺこだと主張した鳴き声が恐らく空に向かってぶっ放していたんだ。


 「あーら、よぉっと」


 私の鳴き声に重なって、小さく聞こえたその声の主が何かしたみたいだ。


 「ゴガッ――ッッッ――」


 私には見えないけど、聞いたことも無い風の音と何かが大きな音と怪物の断末魔が近くで聞こえてきて、一瞬、静かになってしまった。けれど、すぐ私はお腹空いたと言いたくて大きな声で泣いてしまう。どうにか、したいけど理性よりも、本能でこれが止まらない。


 「だ―っ!な、泣くなっ」


 不意に私が誰かに持ち上げられて、動けないけど何か大きな大きな何かに寄り掛かる?感覚が分かった。それが分かるとお腹が空いてるけど、なんだろう……怖くない。泣きすぎて、ひゃっくりみたいなのが出てしまってるけど、大きなその人の身体が、今の私に安心をくれる。


 「……どうしたもんかねぇ、弱った」


 「……っく、っく、っく、ふ、ぇ、ぇぇ…」


 「あーあーあー、一先ず……」


 困った様な大きな誰かさん、お願いです。私に…私に…ご飯を…ご飯を、と願っているうちに小さな振動を感じる。その揺れが、子守唄代わりで、薄らぼんやり感じる私でした。


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