勇者のむれがあらわれた!
「いや、いくらなんでもおかしいであろう!」
部屋全体に怒号が響き渡る。
見渡す限り勇者、勇者、勇者。対する魔王はただ1人。
ここは魔王城の王の間。魔王と勇者の種族存亡をかけた決戦が行われようとしていた。
「脆弱な人間が余とあい見えるために複数で来るのは道理。しかしいくらなんでも多すぎであろう!何人いるんじゃこれ、1番遠くの奴などどう頑張っても攻撃が届かないであろう!しかも全員勇者じゃと?女神のやつ、どういう頭していたらこうなるんじゃ!ていうかこんなぎゅうぎゅう詰めでお互いの動き阻害するだろ!」
ぎゃーぎゃー騒ぐのはこの城の主、魔王リリアス。極悪非道の人類の敵である。
対する勇者達は若干キレながら答えた。
「ぶっちゃけ、勇者ってもてはやされるもんかと思ってたんだよ。片田舎で一生を過ごすかと思っていたら勇者の信託が降りて王都へおいでくださいと。そんなの誰だって舞い上がるじゃないか。それがこれだ。仮にお前を倒したところで多分民衆はそこまで俺をもてはやさない」
「僕は後継者争いで殺されかけていたところをこの勇者の信託によって救われた。だから家族を見返してやろうと私情が多分にあった。けれどいくらなんでも483人!そんなにいたら勇者の価値ってあんまりないですよね。僕また暗殺に怯えなきゃダメですよねぇっ!」
「私は亡国の王女でこの信託に民と国の命運をかけていた。勇者が治める国としてまたやり直せるかと思った。けれど!こんなにいたら意味ないじゃないですか!今や各国に10人いるのは普通なんですよ、1番多い国で58人!もうどうしろと…」
「お前達も…いろいろあるのだな…」
その場にいる勇者全員は遠い目をしていた。
魔王は哀れみの目を向けた。
その後、ただの愚痴大会となり、魔王の聞き上手が発揮され勇者たちは余計にヒートアップ。悩みを共有した484人は「あれ、これ戦う必要ある?」と気づき和平協定が結ばれた。
女神は世界中から叩かれた。
その昔、女神は魔王に告って玉砕した過去があります。それから魔王は勇者につけ狙われるようになりました。
あらすじに出てきた村の少年少女と王子令嬢について活動報告でちょっとだけ書いてみました。