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はじめに
山藤悠一と私の共通の知人に、高津健壱という少年がいる。
自分の通う高校で相次いで起こった殺人事件の第一発見者となったことがきっかけで、捜査を手掛けた山藤悠一と知り合いになった彼は、以降、幼馴染でクラスメイトの曾野辺弘之少年や白石益美とともに、山藤悠一の手掛けた事件にちょくちょく絡むようになったのだが、実は本職の私もうらやむ、非常な名文家なのだ。
そこで、健壱少年がかかわった事件に関しては彼の手によって山藤悠一の事件簿を紡いでもらおうということになったのだ──ということをここに捕捉して、前書きのようなものとする。