6、転生者にとってこの時期は羞恥プレイ?
俺は心地の良い場所に居た。
心地良い…。
ここにずっと居たい…。
心地良過ぎてここから出たくないとすら思えるほどだ。
そう思ってたんだが、心地の良い時間はやはりと言うか当たり前のように終わりを迎える…。
心地の良い場所から無残にも引きずり出されるような…
息が出来ない⁉ちょ、死ぬ!酸素プリーズ!転生して直ぐに死ぬ⁉
死ぬのか…まあいいや…。
と思ったが、とあることを思い出し、あんな悲しい想いはさせたくないと考え直して俺はどうにか息をしようと藻掻こうとするが、何かが邪魔をしているように思考以外が思うように働いてくれない…。
必死に呼吸をしようとするが上手く出来ない。
呼吸をしようと格闘してる間に他でも動きがあったようで、何か衝撃が来たり、逆さにされてるような感覚が襲ったりと色々してるみたいだ、しばらくすると…。
「けぷっ、んぎゃー!ぉぎゃー!」
呼吸…出来た………っ、疲れた…げ、ん、かい…Zzzz
しばらく…どのぐらい時間が経ったのか分からないが俺は目を覚ます。
しばらく寝てたみたいだ…ふと見ると38歳前後の壮年の男性と16歳前後の可愛らしい女の子がこちらを覗き込んでいた。
「あーだー?(どちら様ですか?)」
「お?目覚めたようだな、パパでちゅよ~♪」
「だぅ?(パパだと?)」
パパと言ったのかこの人…それならこっちらの女の子は…母親?
いやいや、いくらなんでもそんなことはないだろう、この男性の娘?もしくは妹…とか?
「ママですよ♪」
と女の子はニコニコしながら俺の頬を突っついて来る。
「あぅ?(ママだと?)」
犯罪だー!俺は驚愕に目を見開き固まってしまったようだ。
「ほら、起きてすぐにジャンの顔があるから驚いてるじゃないですか。クスクス♪」
「酷いぞメアリー…。」
メアリーと呼ばれた女の子の言葉にジャンと呼ばれた男性がしょぼーんとする。
おっさんのそんな姿は…いや、悔しいが顔は渋い、渋いおっさんがしょんぼりする姿は………ギャップ萌え?
それでこんな若い女性を落としたのか?羨ましいなコノヤロー!
取り敢えず両親との顔合わせは終わったようで、2人は俺の世話係だという女性2人を残して部屋から出て行く。
後に知ったことだが、このパパと言った壮年の男性は名前はジャンデル・オリフィス。
俺は38歳ぐらいと思ったんだが、まだ28歳と若かった…ごめんなさい、人を見た目で判断したらダメという良い実例です。
そしてママと言った可愛らしい女性はメアリー・オリフィス。
俺は16歳ぐらいだと思ったんだが、26歳と…年齢的に犯罪でも何でもなかった…すいません。2つ目の実例です。
でも羨ましー!
そして俺には兄弟が長男のクロヴィス、長女のテレサ、次男のカーレス、兄が2人と姉が1人居るそうで、長男と長女は双子だそうだ。
まだ兄弟には会ってない。産まれてまだそんなに日にちは経ってないからな、俺…。
更に時が経ち…正直どれくらい時間が経ったのか分からない、カレンダーらしき物も見当たらないし、当の俺は寝てることが多いから時間の感覚が全然分からない、分かるのは朝なのか夜なのかぐらいかな?
動けない俺の世界はこの部屋のみの狭い世界…狭いといっても、俺が日本で普段生活してた部屋より断然広い…なんか悲しくなって来る…。
ま、まあ…その狭い世界で仕入れた情報を整理すると。
先ずは…俺がこの世界に転生させられる原因になった魔王と勇者が共倒れして6年経ってるらしいこと。魔物と魔族の動きは当時に比べれば沈静化してるらしいが、未だ小規模ながら戦闘が起こってるらしい。
次に両親のこと。
父はジャンデル・オリフィス。子爵だそうだ…辺境の田舎で領地運営をしてるらしい。父親は侯爵家の5男だそうで、先の魔王軍との戦争で功績を認められ子爵になったらしい、元が侯爵家の人間なのでそれなりに恙なく領地運営をしているそうなのだが…戦争の功績=脳筋…とまではいかないらしいが、それに近い部類の人らしい。
なので父の実家の侯爵家からその手の専門を派遣してもらっている状況なのだとか。
母はメアリー・オリフィス。こちらも侯爵家のご息女でこの世界の貴族では珍しく恋愛結婚だそうで、父が子爵に叙爵されたことで無事結婚出来たらしい。
結婚したのは父が子爵になって1年後、5年前の話なのだが…長男と長女が今8歳であるらしいから…。
母の父親は公爵家か王族、年齢的には第3皇子辺りに嫁がせたかったらしいが、複雑な事情…(長男、長女の年齢とか)…があったとか、なかったりとかで父との結婚を喜んで認めたということらしいが…大人の?貴族の?事情というやつだろう。
っとトイレに行きたくなったが動けない、こういう時は記憶がある分羞恥プレイか!と言いたくなるが、赤ちゃんだからしょうがない…。
最初は伝えたいことが全然理解してもらえずに垂れ流しでオムツがぐっしょりになって気持ち悪かった。
吸水性も何もないただの布ですからね、そりゃそうなります。
今現在は簡易トイレ、通称おまるでさせてもらってます。
トイレは支えられながらします、はい。排泄をガン見されるプレイですよ♪便や尿で体調を確認するのは理解できる、できるが…女性にガン見されるのはさすがに…死にたくなる…いっそ殺してくれ!
授乳の時なんか…見た目は赤ちゃん中身はおっさんな俺ですよ?見た目16歳の可愛らしい女の子が授乳の為とはいえ、目の前で胸を出されたときには慌てました、実年齢26歳でも45歳だった俺からすれば、赤ちゃんプレイ?と言いたくなった…さすがに最初は抵抗しました、抵抗しても赤ちゃんには無理です、今では諦めて大人しく授乳作業してます。え?はい、作業だと思わないと精神的にキツキツです…正直これも羞恥プレイです、その手の人は喜ぶんだろうが…残念なことに俺にその手の性癖はなかったみたいです、残念至極…。
赤ちゃんだからしょうがない…しょうがないのだが…どうにも慣れない、慣れるのか?………これ。
「あーあぅー。」
俺はトイレですと俺の世話をしてくれているメイドの1人のリリさんに伝える。
当然喋れないからジェスチャーです、最初は全然気付いてもらえなかったが、しばらくやってたら気付いてくれました。リリさんではなく…ラテーネさんが。
「ハイハ~イ♪あ~…これは……お腹が空いた?」
「だーぶー。(違う!トイレです!)」
「違うの?………あ、お散歩ですね♪」
「ぶー。(違う!トイレです!)」
このリリさんはなかなか俺の合図を覚えてくれない、その場のノリと雰囲気だけで判断してるみたいだ…普通の赤ちゃんならそんなものなのだろうか?
「リリ違います。その合図はおトイレです。」
「あっ、ラテーネさん。おトイレですか?よく分かりますね。」
「リリにもちゃんと教えたはずですよ…それよりも早くジークフォルト様を。」
「そ、そうでした!」
リリが俺を抱っこして部屋の隅にある簡易トイレへ向かう。
はぁ~ぁ、間に合った…このトイレの時にいつも思うんだが、足がだらんとなって動かせない、赤ちゃんのハイハイもそれなりに時間が経たないと出来ないらしいから、赤ちゃんってこんなものなのかな?と勝手に判断する。
だって生前に子供なんて居なかったし、不運だったから被害に巻き込まないように避けてたからな…さっぱり分からん。
私の名前はラテーネと申します。
オリフィス子爵家でメイド長をさせて頂いております。
この度、奥様が御無事に御出産されまして、ジークフォルト様のお世話係も務めておりますがこのジークフォルト様なのですが普通の赤子と違いました。
違うと自分で言ってておかしいと思うのですが、見た目は普通の赤子です。ですが授乳のときに物凄く嫌がって…(あれは…恥ずかしがってなのでしょうか?)…おられました、そして今では諦めた目で授乳されております。
そんな赤子初めて見ました、それと先程のおトイレもそうなのですが合図をされます。普通の赤子はそんなことしません。
私もそれに気付いたのは最近です、最初は何か訴えてるようでしたが、今では状況によって合図がそれぞれ違っていることに気が付きました。
と言っても合図は3つだけです。トイレの時は右手を上げます、お腹が空いてるときは左手を、体の位置を動かしたいときやそれ以外の時は両手を顔の辺りでさまよわせてます。
それ以外がちょっと分かり難いのですけど…体の向きを変えて欲しいとか体を拭って欲しいとか問えば返事が返って来るので驚きです。
最初はそう聞こえるだけだろうと、一応何度か対応させて頂きましたが気持ちよさそうにされてるのを実際に見て、ああ、これは正式な受け答えなのだと、今では確信しております。
それと何故か全然泣かれません、長男のクロヴィス様、長女のテレサ様、次男のカーレス様、皆さま良くお泣きになられてました、長男のクロヴィス様、長女のテレサ様は双子でしたから片方が泣かれれば、もう片方も…泣き声の大合唱でございます。正直大変でした。
これで足が…いえ、それは私が言うことではありませんね。まだどうなのか分かりませんが、どちらであったとしても私達がすることは変わりませんから…。
無事トイレを済ませました、スッキリです♪
丁度良いから、次はこの屋敷の使用人、メイドさんと執事さん達を紹介します。
先ずは先程のラテーネさん、メイド長で俺のお世話をしてくれてる人です。
年齢は分からないけど…見た目は30代前半かな?でも両親の例もあるから正直分りません。
眼鏡をかけて、白髪と見間違える銀色の髪を後ろで結ってます。ちょっと目元がキツイ?鋭い?感じですが、仕事ができる秘書風な感じです。
俺の好みど真ん中です♪残念なのは俺が赤ちゃんであること…。
次はリリ、こっちも年齢は知らないけど、見た目は10代半ばかな?明るく元気な女の子って感じの少女で桃色の髪をサイドで纏めてます。
あと2人メイドさんが居ますが、主に両親付みたいでこの部屋には父と母が来た時だけ見かける感じです。
父親付メイドさんがミトさん、茶髪のウェーブがかった感じの髪で特に纏めたりせずにそのまま腰辺りまで伸ばした長い髪でした。美人さんで年齢は20代半ばかな?父親の趣味なんだろうか?
母親付メイドさんはフェルさん、年齢はこちらも20代半ばかな?フェルさんと母が並ぶと姉妹かと間違える程ですが、実際には同い年ぐらいになるのかな?
髪は薄緑でポニーにしてます。こちららはキリッっとした感じの女性です。
執事さん男性陣も4人らしい。
執事長のダールさん。初老と言える感じの見た目だけど、目がまだ現役のような鋭さがあるから…年齢がね…見た目は60手前ぐらいかな?物腰が柔らかくて赤ちゃんの俺にも丁寧に語り掛けてくれる。
ダールさんは基本この部屋には来ないが、父がなかなか離れないときに引きずり戻す為に部屋へ来ます。
次がダールさんの息子でヴァールさん、見た目は20代後半から30代前半…そうダールさんの息子ということは、どちらかの年齢が違ってる可能性が高い。見た目通りの可能性もあるにはあるんだけど…。
バアルさんはラテーネさんと打ち合わせなのか、この部屋でよく顔を見ます。
残り2人は名前だけ知ってて、まだ見たことがありません。
1人はゼバス。セバスでないのが残念ですがきっと執事を絵に描いたような人に違いない!と思うのですが…ダールが執事長だからな~違うかも?
最後の1人はパリュリット…正直全然想像できない…。
あとは料理長と見習いの料理人が2人、こっちの3人は名前もまだ知らないです。
あとは…魔法!魔法が存在します!あのリリでも使えるからきっと俺にも使えるようになるはずです!え?失礼じゃないか?…そうかも…すいませんでした。
取り敢えず魔法は確認出来た♪この狭い世界ではそれだけ分かれば良い方かな?
文字はまだ見たことないし、リリは兎も角、ラテーネさんはそんなにお喋りじゃないから、情報は入って来ないし…え?そうです、今俺が知ってる情報の殆どはリリ情報です。あとは会話の内容からかな?
自分で確認した訳でもないから、殆どの内容が「らしい。」になってます。
トイレの後で話し方というか思考が、です・ますになって来てます。
精神が肉体に引っ張られる?ということで、流さんからジークフォルトにって感じだと思ってください。
今回の話を書きながら赤ちゃんについて色々調べてみましたが、やはりと言うか当然なのか…母親目線が多いですね。
父親目線を見つけられなかったことが少し残念でした。