♥ 宿屋 1 / 宿泊室 1 / 「 ジャックと豆の木 」の原作 1
◎ 何年か前に映画で観た「 ジャックと天空の巨人 」がテレビで放送していたのを見て、懐かしかったので思い付きで書いてみました。
◎ 宿泊している宿屋の宿泊室から始まります。
──*──*──*── ビヒスダットの街
──*──*──*── 宿屋街
──*──*──*── 宿屋
──*──*──*── 宿泊室
マオ
「 なぁ、セロ。
ジャックと豆の木──って話、知ってるか? 」
セロフィート
「 はい?
ジャックと豆の木……です? 」
マオ
「 うん。
そう! 」
セロフィート
「 知ってますけど。
どうしました? 」
マオ
「 どんな話なのかと思ってさ。
教えてほしいんだ。
駄目かな? 」
セロフィート
「 構いません。
そうですね……。
ざっと掻い摘まんで話せば──、巨大な豆の木を登った少年ジャックが、巨人の屋敷へ忍び込みます。
金銀財宝を盗み出した泥棒少年ジャックの成り上がり物語──と言ったところでしょうか 」
マオ
「 ………………。
へ…へぇ〜〜。
そ、そうなんだ??
何か、オレの聞いた話と違う…かも…… 」
セロフィート
「 そうでしょうね。
絵本の内容は子供向けに変更されてますし。
少年の泥棒行為を正当化する為に、巨人は悪者に変更されてます。
ジャックは凶悪で恐ろしい巨人の脅威から世界を救った英雄となり、世にも美しい王女様と結婚して幸せになってます。
盗人の泥棒が国王になります。
ワタシは好みません 」
マオ
「 ……………………。
そ、そうなんだ…… 」
セロフィート
「 マオが誰から何の様な内容を聞いたのか知りませんけど、特別に “ ジャックと豆の木 ” の原作の内容を教えましょう 」
マオ
「 原作の内容?? 」
セロフィート
「 そうです。
──ジャックは悪知恵の働く悪戯好きの嘘吐き少年でした 」
マオ
「 え…??
誠実で、正直者で、心の優しい少年──じゃないのか? 」
セロフィート
「 マオ……。
抑、誠実で正直者で心の優しい少年ならば、巨人の敷地内へ不法侵入等しませんし、屋敷へ無断で入りませんし、泥棒もしません。
物語も始まりませんよ 」
マオ
「 ………………だ、だよな… 」
セロフィート
「 ──ジャックはエルオレン城の城下町の広場で開かれる市場へ、飼育している鶏を売りに出掛けました 」
マオ
「 え?
牛とか馬じゃなくて?? 」
セロフィート
「 鶏は卵を産みますし、食用にも使えます。
其に放し飼いにされ、伸び伸びと育てられた鶏の肉は美味しいです 」
マオ
「 そうなの?? 」
セロフィート
「 ──ジャックの家族は一家で、養鶏をして生計を立てていました 」
マオ
「 居たんだな〜〜、家族…。
おじさん,おばさんの世話になってたんじゃないんだ…… 」
セロフィート
「 ──兄弟で鶏を売るのが子供達の仕事でした。
客呼びをするのはジャックの役目です。
ジャックは人の賑わう場所へ行きました。
客呼びをしていたジャックは、小汚ない老婆が大事そうに持っている高級そうな小袋に目を付けると、小汚ない老婆から高級そうな小袋をスリました 」
マオ
「 ………………スッたの??
えっ?
泥棒したのか?! 」
セロフィート
「 マオ……。
泥棒少年の成り上がり物語ですよ。
スリぐらいします。
──ジャックは手癖が悪く、スリの常習犯です。
まんまと高級そうな小袋を手に入れたジャックでしたが、見てしまったのです。
小汚ない老婆が兵士に取り囲まれ、連行されて行く様を。
見て見ぬフリをする気でいたジャックでしたが、近くに居た兵士へ声を掛け、老婆が何故捕まったのか聞いてみました。
然し、子供のジャックに兵士は理由を教えてくれませんでした。
怪しまれて要らぬ疑いを掛けられても困ると思ったジャックは、兵士にも鶏を売り込みました。
何人かの客を連れて、兄弟達の元へ戻って来たジャックのお蔭で、鶏を完売させる事が出来ました。
城内の市場から自宅へ帰宅したジャック達の1日は終わります 」
マオ
「 泥棒して高級そうな小袋を盗んだだけ? 」
セロフィート
「 そうです。
──2日目は朝から大雨でした。
ジャックは子供部屋で昨日、小汚ない老婆からスッた高級そうな小袋を開けて中身を確認しました。
高級そうな小袋の中から出て来たのは、赤黒白の混ざった1粒の豆でした。
豆と一緒に紙が1枚入ってました。
ジャックは其の紙に書かれている文章を読みました。
紙には豆の秘密と “ 決して水に濡らしてはいけない ” 事が書かれていました。
ジャックは悪戯好きの少年です。
『 いけない好奇心 』には勝てません。
ジャックは窓を開けました。
外は大雨です 」
◎ セロフィートがマオに聞かせている「 ジャックと豆の木 」の原作は、セロフィートの作り話です。
◎ 因みに作者は「 ジャックと豆の木 」の原作を知りません。
◎ ジャックの家族が養鶏で生計を立てているのは、作者の実家が鶏を育てていたからです。