本当の真実とは
ミヤと呼んでいるのだが、なぜこいつとと会話できているのか。一般的な二重人格者は記憶が無いというがこいつはよく僕に突っかかってくる。
僕は先天的に二重人格だった訳では無い。だが、どうして二重人格になったのかわからないのである。僕には昔、具体的には二重人格者と自覚する前の記憶に激しい欠落が見えるそうだ。
だが今となってはそんなことはどうでもいい。ミヤと話せるようになってから周りの見る目が変わったのは言うまでもない。
「ねえ?どうして急に学校に行くなんて言ったの?」
何故って?そんなのは決まってる。さっきかかってきた電話が原因だ。
匿名でかかってきた電話は聞き覚えがあるが誰かはわからない。内容はこうだ。
『君の守りたいものは何だ。真実を知りたくないか?知りたければ君の通う学校に来るといい』
こう言われてしまうとミヤに興味はないが真実には少し興味がある。
もしかするとミヤの正体がわかるような気がしたから…
「ねえ?教えてよ〜」
外でミヤと話すのは気が引ける。人の目を気にする訳では無いが流石に独り言で怒るのはおかしいからな。
「後でな」
小声で伝えるとミヤは消えていった。こんな表現をするとおかしい気がするが、本当に消えたように静かになるのだ。
少し歩くと学校が見えてきた。だが、どこに向かえばいいのか言われていないため手持ち無沙汰だった。
数分後学校の先生達が校内を周回しに来た。ここでバレるのは後々めんどくさいので隠れる場所を探した。
この学校には使われていない教室がいくつもある。僕は一際人気のない教室へと足を踏み入れた。ここは昔化学教室だったらしく様々な薬品の瓶が所狭しと並んでいた。
まだ昼間だというのに少し薄暗く、とても気味が悪かった。すると準備室らしき部屋から物音が聞こえてきた。ガチャと扉の開く音がして中から人が出てきた。
「やぁ、待っていたよ、遅かったね試験体M」
試験体?一体何のことだ。
「君が何も知らないのも無理はない。何故なら君が試験体だということを知っているのは数少ない組織の人間だけだからね」
組織?一体何者なんだ。
「一体お前は誰なんだ?」
「私かい?私は君がミヤと呼んでいる少女の元の体の持ち主の父さ。まぁこんなことを言っても君は信じないだろうね」
僕はどうして二重人格者なのかという疑問はあった。
この人に聞けば真実とやらが分かるのだろうか。
「お前が電話をかけてきたやつか」
「電話?なんのことだい?私はただこの学校の教員だからいるだけだ。それに娘も通っているもんでね。それより君のことを聞かせておくれよ。別人格とは言え娘についても教えて欲しいしね」
僕は何が何だか理解できていない状態だ。すると部屋の外から人が入ってきた。
「おい、お前たち何をやっている」