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サンライト日記 ~呪いのアイテムに愛された異世界道具屋~  作者: カタリ
二品目 目覚める殺戮の剣
20/55

男の決意

 時刻は夕暮れ時となり・・・・

 サザナミ店長ラインフォードは自分の店に戻っていた。

 定休日の為、お客のいないテーブルに一人で座って頭を抱えていた。

 調査の結果は昨夜の自分の行動の予想を確立させるものでしかなかったのだから・・。


「てんちょ、てーんちょう・・」

 そんなランドの横でインガは行儀悪くテーブルに腰を下ろしていた。

 普段のランドなら注意の一つもしそうなのだが、今日は全く意に帰せない。


 今後の自分がどうしたら良いのかが分からないのだ。

「まー酒場兄妹の話を聞く限りじゃ、βの可能性は無いと思って良いと思うよ?」

「・・・・・・」

 焼きソバ屋台のショーユの話では自分が誘ってエリィがOKしていたらしい。

 今もってその事を思い出せ無いランドは昨日の自分が恨めしかった。


「・・君は何も見てないのかい? 一晩中ココにいたのに・・」


 元々指輪の化身であるインガは夜間は基本的カウンターの上に指輪としている。

防犯を兼ねてだが、本人曰く『商品とか物がある場所の方が落ち着く』からだとか。

しかしインガはオーバーに首を振った。


「あいにく昨夜はずっと指輪に戻って寝てたからな~、良く分からんのですよ・・」

 インガにとって実体化は精神力を消費する。

 指輪に戻る=睡眠なのだ。

 防犯も兼ねているのに寝ていて気が付かないようでは困るのだが・・。


「気が付いたら絶対覗きに行って・・・いや、さすがに冗談です・・」

 暗い目付きで見つめるランドに、さすがにインガも軽口を納める。

 ランドは手元のある女性物の下着を改めて見る。

「・・・・・・・・」


 聞き込み調査で分かった道筋は『酒場』『川辺』『自分の家』、そして今手にあるのは昨日彼女が履いていた下着・・・。

幾らウブでも19歳、ランドだって何があったかは予想が付いている。


「どうしたら・・・・」

 そうしていると悩める店長にインガはテーブルから立ち上がって言った。

「てんちょ、てーんちょう、朝から見てるとなんかさ・・・店長『エリィさんにとって一大事だ』って考えているように見えるけど?」

「!!当たり前でしょ!彼女みたいな素敵な人を僕みたいな若造が汚したとしたら・・」


 途端に声を荒げるランドは、いつもは見せない必死な形相だった。


 そんなランドにインガは少年の姿には似合わない大人びた表情になった。

 何だかんだ言っても彼の実年齢は200歳以上、ランドよりも何倍もの人生を歩んでいる。


「だったらさ、“アンタは”どうしたいんだ?店長・・・」

「え?」

 ランドはあっけに取られたように固まった。


 ランドは下着を発見してからずっと考えていたのは常に『彼女にとって』の事。

 自分にとってどう、などとは考えてもいなかった。


「昨夜二人の間で何かがあった、調査結果と物証からもそれはもう間違いないだろう。そうだとして・・・だ、本音を聞いても良いかい?」

「・・・・え?ええ、どうぞ?」

「店長は嬉しくなかった? 彼女と『そう』なったとしたら・・・」

「・・・・・・・・・」

「最初に言った通り、アンタも彼女もいい大人だ。今後の事を決めるのは彼女だし店長でしょ?だったら彼女の答えは彼女しか分からないんだから、店長は店長の意思で考えておくべきでしょ?『自分が今後どうしたいか』をさ・・。幸いな事にαの方だったみたいだし」


 12~13才にしか見えない少年の姿でインガが言った事は正論である。


 お人よしな彼はどうしても他人優先で自分の意見を考えないある種の悪癖がある。

 自分が強姦を働いたと思った時、真っ先に『死んでお詫びを!』なんて思ってしまったのは、まさにそんな悪癖が作用した結果であろう。

 自分がどうしたいのか・・・・ランドは再び悩み始めたが、先ほどに比べれば気分が幾分楽になっていた。


「インガ君・・・ありがとね・・・」

「フッ・・一応名目上俺は店長の甥っ子だぜ?身内の悩み相談くらいするさ」

 そう言ってインガは指輪の姿に戻った。テーブルの上でコロンと軽い音が鳴る。

「甥っ子じゃあ年下だよ。年下に諭される叔父さんはさすがにカッコ悪いなぁ~」

 ランドは指輪を見つめて苦笑いした。

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