ドキドキの学校2
えっと、わたしの席は真ん中の列の一番前。
先生の机の真ん前なんて、めっちゃついてないな。
とりあえず、わたしは席についた。
すると、どっからか声が聞こえた。
「さやかちゃん、おーはよー♪」
1人の女の子がわたしの側まで来た。
「お、おはよう。」
なんともやる気のないあいさつをしちゃった。
顔を見たけど、やっぱり誰かわからない。
名札を見ると、「さくら」って書いてある。
「さやかちゃん、元気ないね。“ともか”はとっても元気だよ♪」
さくらともか、この子の名前はそういうんだ、覚えておこう。
「さやかちゃん、大丈夫?」
「ちょっとおなかがいたいの…。」
「トイレいってきなよ!!」
「うん、そうする。」
そこまで腹が痛いわけじゃないけど、この場にいるのが辛くなったので、トイレへ避難することにした。
「あぁどーしよー。誰も知らないと声がかけづらいよ…。」
トイレの中で必死に考え込むわたし。
「さやかちゃん、大丈夫?」
トイレの外からともかちゃんの声がする。
心配になって駆けつけてきたのだろう。
「大丈夫だよ。心配ないから。」
「先生呼んで来ようか?」
「いいよそこまでしなくて…。」
「でも…。」
さすがにこれ以上こもってたら埒が明かない。
わたしは、もう無理だと思いトイレから出てきた。
「ハイ、もう大丈夫だよ。」
「よかった〜。あとちょっとで先生を呼ぶところだったよ。」
まったくのお節介である。
この子の存在で余計に悩みの種が増える羽目になるとは…。
わたしは諦めて教室に戻った。
わたしの後ろをともかちゃんがついてきている。
座席につくと、早速ともかちゃんが話してきた。
「さやかちゃん、何かあったの?」
「別になにもないよ。」
「ならいいけど。」
一体この子はどこまで心配してくるんだろう。
しばらくすると、チャイムが鳴り始めた。
立っていた子は皆自分の席に着き、ともかちゃんも戻っていった。
そして、チャイムが鳴り終わると同時に先生が入ってきた。
先生が教壇の前に立ったところで、「起立」と声が聞こえた。
そのあと、礼を済ませ、着席したのを確認して先生が話を始めた。
「おはようございます。では、出欠を取りますので大きな声で返事をしてください。あさのしんいちくん。」
「ハイ!」
順番に名前が呼ばれて行く。
「次は女の子の出欠を取ります。いしかわさやかさん。」
「は、ハイ!」
えっと、女子のトップってわたしなんだ…。
まさか最初に名前を呼ばれるとは思わなかったよ。