黄色の名札
「何も起きないじゃない。」
付けても特に何も起きなかった。
「やっぱり何も起きないよね。」
つまんないと思い、名札を外そうとする…
「うん?安全ピンが動かない?」
親指で安全ピンを押しても、固くてビクともしない。
…あれっ、名札が外せない…。
何度やっても外せない。
「マジで、名札が外せない!?」
わたしはパニックになった。
確かに、何か起きるのかなとは期待していたが、まさかホントに起きるなんて思ってもなかった。
「どうしよう…。」
すると、胸の名札が急に光り出した。
「えっ、なに!?」
わたしは、とっさに名札から手を離した。
手を離したあとに、光りはすぐに消えた。
その瞬間、青色だった名札の色が黄色に変わり、「いしかわ」って名前が板に刻まれていくのが見えた。
「わ、わたしの名字が…。うわあああ!!」
わたしは叫んで、その場で気を失った…。
しばらくして、わたしは目を覚ました。
「あれっ、さっきのは夢なのかな?」
それを確かめるべく胸元の名札を見た。
「黄色の名札に「いしかわ」って書いてある…。」
夢ではなく、ホントに変わっていた。
それだけじゃなかった。
ピンクのTシャツに白のスカートだった服が、白に花柄のワンピースに変わり、からだか小さくなった感じがした。
急いで鏡の前に立つと、わたしは小さい姿の女の子になっていた。
「黄色の名札、そしてこのからだ…。」
そう、わたしは1年生になってしまったのだ。
とっさにわたしはランドセルの中身を確認してみると、すべて1年生の教科書。
タンスの中の服も小さくなっていて、何から何まで1年生のときの持ち物に変わってるみたいだ。
「もしかして、タイムスリップしたの…?」
だけど、カレンダーを見ると2014年のままだし、日付も今日のままだ。
考えても考えても意味がわからなくなり、だんだん悲しみが込み上げてきた。
「もう、わけがわからないよ…。」
しまいに、わたしは泣き出してしまった。
何をすればいいかわからないという悔しさのあまり、大声で泣き叫んだ。