お母さんとお買い物3
「紗香ちゃん、いつまで泣いてるの。」
泣きじゃくるわたしをお母さんは慰めようとしている。
「だって、だって。」
すると、お母さんはわたしの胸の名札を取り外そうとした。
「いつまでも泣いているので、この名札を取り外します。」
そういって、わたしの胸の名札を取り外してしまった。
「ダメ! 名札を返してよ!」
「いつまでも泣いている子は小学生じゃありません。だからね、この名札を付ける資格はありません。」
「そ、そんな。」
「今から、あなたは幼稚園児です。わかりましたか?」
「イヤだ! さやかは小学生だもん!」
「だったら泣くのをやめなさい。」
「…わかった…。」
こうして、わたしはしばらくして泣くのをやめた。
「こうしないと、うちの子は泣き止まないんですよ。」
「相当その名札を付けるのがお好きなんですね。」
「今日だって、学校がないのに名札を付けたいって言うもので。」
「そうだったのですね。なぜお休みなのに、学校の名札を付けてると思ったら。」
店員さんは、クスクスと笑うのであった。
「お母さん。」
「なあに?」
「名札を返してよ。」
わたしは、お母さんに名札を返すように頼んだ。
「そうね、汚れた下着を替えてからにしようか。」
「なんで?」
「学校の名札を付けて歩いたら、恥ずかしいでしょ。小学生なのに漏らしましたって、周りの人に教えることになるよ。」
「ヤダヤダ!」
「なので、名札は後ほどね。」
「はーい。」
そして、汚れた下着を替えるため下着売り場に行き、先ほどもらった商品券で替えの下着を購入した。
そのあとトイレに行き汚れたお尻を拭き、下着を交換してもらった。
「あらら、派手にやっちゃって。」
「我慢できなかったんだもん。」
「小学生、ましてや学級委員がお漏らしなんて一生ものの汚点だね。」
「その時だけ名札を外しておけばよかった…。」
「まあ、今さら遅いけどね。」
「しょぼーん…。」
「はい、交換終了。」
「お母さん、ありがとう。」
「さてと、紗香ちゃん。」
「なあに?」
「小学生に戻りたいですか?」
「もちろん! 早く学校の名札を付けてよ!」
「はいはい。じゃあ、元に戻します。」
お母さんは、再びわたしの胸のところへ名札を取り付けた。
「はい、あなたは小学生に戻りました。」
「やったね♪」
「では、鷹見小学校1年 いしかわさん。行きますよ♪」
「はい♪」
名札を付けてもらい、ご満悦のわたしだった。