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小学生の証

わたしが1年生になって4日目の朝。

今日は土曜日で、学校はお休みだ。

いつもは6時半にお母さんが起こしにくるけど、

今日は8時に起こしにきた。

「紗香ちゃん、おはよう。」

「お母さん、おはよう。」

いつもより余分に眠ってるので、全然眠くはない。

「今日の服を出したけど、それでよかった?」

確認すると、ピンクのTシャツと白のスカートが置いてあった。

「うん、いいよ。」

「じゃあ、着替えたら朝ごはんね。」

「わかった。」

そして、わたしはパジャマを脱ぎ着替えを始めた。


着替えが終わり、お母さんのもとへ行く。

「着替え終わったよ~。」

「それじゃ、朝ごはんを用意するから待っててね。」

「はーい。」

しかし、なにかが物足りない。

そうだ、いつもならここでお母さんに名札を付けてもらうんだった。

でも、今日は学校がお休みだから名札を付ける必要はないのだ。

「なんだろう…。もやもやするな…。」

名札を付けてもらうことに慣れてたから、逆になにもないと物足りなく感じるのだ。

すると、わたしはお母さんに言った。

「お母さん、名札ってどこにあるの?」

「どうして? 今日は学校がお休みでしょ?」

「なんだろう、毎朝お母さんに名札を付けてもらうのが楽しみなの。」

「そうなの。わかったわ、今すぐ取ってくるから。」

そう言って、お母さんは名札を取りに行った。


数分後、お母さんは名札を持ってきた。

そして、わたしの前に来てしゃがみこんだ。

「紗香ちゃんも変わってるね。普通なら、学校がない日に名札を付けたいって言う子はそうそういないと思うけどね。」

「だって、名札を付けてくれたら小学生として認めてくれたって思うから。」

「なるほどね。でも、お母さんは紗香ちゃんのことはもう小学生として見てるからね。名札はただの飾りなんだから。」

「でも、わたしは名札を付けてくれたほうがしっくり来るもん。」

「ハイハイ、わかりました。じゃあ、名札を付けます。」

そう言って、お母さんはわたしの胸のところに名札を付けてくれた。

黄色に「いしかわ」と書かれた鷹見小の名札が、わたしの左胸で輝いている。

そして、お母さんは一言。

「鷹見小学校1年 いしかわさん。」

「はい!」

「今日は学校がお休みですが、名札を付けてる以上鷹見小学校の児童としての責任を持って行動してください。」

「はい!」

やっぱりこの瞬間がとても気分がいい。

お母さん、ありがとう。


「さてと、それじゃあ朝ごはんを食べて少し経ったらデパートに買い物に行こうか。」

「うん♪」

「紗香ちゃんの新しい服も見ようかな?」

「えっ、本当!?」

「ただし、わがまま言っていい子にしてなかったら買わないからね。今日は名札を付けてる以上、厳しく行きますからね。」

「はーい。」

わたしは、朝ごはんを急いで食べ始めた。

そして、顔を洗ってお気に入りの帽子とかばんを身につけて、家を出た。

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