わたしが学級委員!?
1年生になって3日目の朝が来た。
昨日と同じように、わたしはパジャマから服に着替えてお母さんのもとへ行く。
今日の服は、紺に襟に2本の線の入ったのセーラーワンピースだ。
胸元の白いリボンがとてもかわいい。
「お母さん、着替え終わったよ。」
「じゃあ、名札を付けようか。」
そう言って、お母さんはエプロンのポケットから名札を取り出した。
そして、しゃがみこんでわたしの胸のところに名札を付けてくれた。
「ハイ、付けたよ。」
「ありがとう。」
「それでは始めます。鷹見小学校1年 いしかわさん。」
「ハイ!」
「今日も1日が始まりました。学校の勉強、しっかり頑張ってきてください。」
「ハイ!」
やっぱりこの名札を付けてもらう瞬間がたまらないなあ。
「なんか遠くから見ると、紗香ちゃんの格好が中学生に見えるわね。」
「どういうこと?」
「中学生になると、制服っていってね、毎日同じ服で学校に行くことになるんだよ。」
「今、さやかの服みたいなのを毎日着てくってこと?」
「そうだよ。女の子はセーラー服を着てくことになるからね。」
「ふーん。」
「とりあえず、早く朝ごはん食べてらっしゃい。」
「はーい。」
朝ごはんを食べ、顔を洗い、ランドセルを持って家を出た。
学校に着くと、ちえちゃんが一人でぶつぶつとつぶやいていた。
「今日で学級委員は終了か。」
どうやら、今日で学級委員の任が終わることに軽く落ち込んでいる様子だ。
「ちえちゃん、おはよう。」
「おはよう。」
「ちえちゃん、元気ないね。」
「そんなわけないじゃない。」
「今日で学級委員が終わっちゃうから落ち込んでるの?」
「そんなことあるわけないじゃない。」
「ならいいけど。」
本心はそうじゃないけど、隠してるんだろうな。
「ところで、あなたは学級委員をやるつもりなの?」
「うーん、すすめられたらやるくらいかな。」
実際やってみたいのが本音だが、さすがに手を挙げるほどやりたいとは思わない。
だから、他にやりたい人がいたらそちらに譲るつもりで考えてるのだ。
「わたしはさやかにやってもらいたいな。」
「どうして?」
「なんかできそうに見えるから。」
「えっ、そう?」
ちえちゃんによくわからない理由を言われたが、それでもわたしは少しドキッとした。
「もし誰もやらないようならあなたを選ぶからね。」
「うん、わかった。」
なんだろうこれ。
学級委員をやることにリーチがかかったではないか。
果たして、結果はどうなるやら。