謎の郵便物
わたしは、石川紗香。
鷹見小学校に通う至って普通の5年生。
勉強もそこそこ、運動神経もそこそこ。
自慢できることは、特になし。
家族は、お父さんとお母さんとわたしの3人。
個人的には、1人くらい兄弟が欲しかったな。
学校ではそんなに友達がいるわけではなく、ほとんどの子から「石川さん」って名字で呼ばれるほど、少々距離を置かれてる感じ。
もともとそこまで集団で行動するのが好きじゃないから、これといって窮屈ってわけでもないけどね。
でも最近、この生活に飽きが来てきた。
朝起きて、学校に行って、帰ってきて、寝ての毎日。
友達ともそんなに遊ばないし、習い事もしてないし。
休みの日も特に予定もなく、ほとんどが家でゴロゴロしておしまい。
ホントに毎日が退屈である。
「あーあ。なんかおもしろいことないかなー。」
それが最近、わたしの口癖になってしまった。
そんなある日、学校から帰ると、わたし宛に郵便が届いていた。
茶色の長封筒に中身が何か入ってるらしいが、何かがわからない。
しかも、差出人の名前が書いていない。
「めっちゃ怪しい…。」
と言いつつも、とりあえず部屋に行き封筒の中身を確認してみる。
ランドセルを机に置き、ベッドの上に寝転んだ。
そして、封筒の開けてみると、学校の名札らしきものが出てきた。
「何この名札みたいなの…。」
確認してみると、鷹見小学校の名札と似たようなやつだ。
だが、学年を表すフェルトの色がどの学年の色にも当てはまらない青色のものになっていた。
鷹見小学校では、校章と名前(名字だけ)が刻まれた名札の板を、学年ごとに異なる色のフェルトに縫い付け、それをビニールのケースに入れて着用するようになっている。
1年は黄、2年は橙、3年は赤、4年はピンク、5年は紺、6年は紫と決まっているが、青はどの学年のものでもない。
自分の付けている名札と比べて見ると、フェルトの色が青色なのと名前が刻まれてないくらいで、大きさも同じだし校章も鷹見小のものだ。
「なんかすごく怪しい…。」
そう思ったわたしだったが…
「もしかして、これを付けたら何か起きるのかな?」
逆に、変な冒険心が沸いた。
その冒険心からか、わたしは躊躇うことなく自分の胸に付けていた学校の名札を外して、もう一つの青色の名札を胸に付けてみた。