プロローグ
「一度の人生だから好きなように生きていけ」
と、両親が願いを込めてつけた名前が
好生
俺の名前だ。
その願い通りと言えるかはわからないが、27年間、奔放に生きてきた。
俺の職場はある町の小さな工場。一応、法人化してはいるものの従業員はたったの二人。 親父と俺。
ここは親父が脱サラして立ち上げた会社だが、元々は最後まて一人でやるつもりだったらしい。まぁ脱サラというか、前の会社にいれなくなったから辞めて、年齢的に再就職先がなかったから始めたところが本音だろう。
それでも15年、不況の煽りをもろにくらいながら何とか生きている。
大したものだ。
ともあれ、そのうちの5年は俺も一緒にいたわけだが、親父と仕事をやり始めたきっかけが何とも情けない。
大学を卒業できず、そのまま中退。
とりあえず仕事を探してみるが条件を満たす会社がない。というか、条件自体が世の中を舐めきったものだから仕方がない。
結局、なにもしていないのも同じような日々が2ヶ月が過ぎたころ、見かねた親父から声がかかったわけだ。
そして、言われるがまま就寝することになった。
就寝というか手伝いみたいなもんだったけど。
だから先のことなど全く考えずにその日の仕事をこなして、ただただ過ごしていただけだった。