セウタ
遅くなりました。
疲れがピークです。
症状が進んでいるのかもしれません。
移転暦一二年一二月一日、ここセウタには聨合艦隊のうち、機動部隊を主力とする艦艇が集結していた。もちろん、情報統制などできないので、米連合国にはその全容が知られていたといえる。聨合艦隊司令部でも承知の上での艦艇運用であっただろう。その艦艇群は以下の通りであった。
聨合艦隊旗艦『白根』
第八戦隊
重巡『利根』『筑摩』
第九戦隊
重巡『三隈』『最上』
第一一戦隊
巡洋艦『こんごう』『きりしま』
第一二戦隊
巡洋艦『みょうこう』『ちょうかい』
第一機動部隊
空母『飛龍』『蒼龍』
第二機動部隊
空母『隼鷹』『飛鷹』
第五機動部隊
空母『雲龍』『翔龍』
第六機動部隊
空母『青龍』『白龍』
第二水雷戦隊
軽巡『神通』
駆逐艦『嵐』『雪風』『天津風』『時津風』『秋雲』『磯風』
第三水雷戦隊
軽巡『川内』
駆逐艦『舞風』『浦風』『初風』『浜風』『谷風』『萩風』
第四水雷戦隊
軽巡『由良』
駆逐艦『朝雲』『峯雲』『夏雲』『朝潮』『荒潮』
第五水雷戦隊
軽巡『大井』
駆逐艦『風雲』『夕雲』『巻雲』『霰』『霞』
第六水雷戦隊
軽巡『長良』
駆逐艦『陽炎』『不知火』『野分』『早潮』『親潮』『黒潮』
第二○駆逐隊駆逐艦『吹雪』『白雪』『初雪』『叢雲』『磯波』『浦波』
第二四駆逐隊駆逐艦『敷波』『綾波』『朝霧』『夕霧』『白雲』『天霧』
第二六駆逐隊駆逐艦『海風』『山風』『江風』『涼風』『時雨』『有明』
第二八駆逐隊駆逐艦『白露』『村雨』『五月雨』『春雨』『夕立』『夕暮』
強襲揚陸艦『扶桑』『山城』『伊勢』『日向』
「おおすみ」型輸送艦一〇隻
「ましゅう」型補給艦一五隻
輸送船三〇隻
タンカー一〇隻
他方、南アフリカのケープタウンには、戦艦を主体とした部隊が停泊していた。その艦艇群は以下の通りであった。
第一戦隊
戦艦『大和』『長門』『陸奥』重巡『那智』
第二戦隊
戦艦『金剛』『比叡』
第三戦隊
戦艦『榛名』『霧島』
重巡洋艦部隊
第四戦隊
重巡『愛宕』『鳥海』
第五戦隊
重巡『妙高』『羽黒』
第六戦隊
重巡『高雄』『摩耶』
第七戦隊
重巡『熊野』『鈴谷』
第一水雷戦隊
軽巡『阿武隈』
駆逐艦『若葉』『子の日』『初春』『初霜』『響』『暁』
第七水雷戦隊
軽巡『北上』
駆逐艦『三日月』『電』『雷』『曙』『潮』『漣』
第八水雷戦隊
軽巡『木曾』
駆逐艦『帆風』『夕風』『霜月』『冬月』『春月』『宵月』
第九水雷戦隊
軽巡『多摩』
駆逐艦『秋月』『照月』『涼月』『初月』『新月』『若月』
第一六駆逐隊駆逐艦『松』『竹』『梅』『桃』『桑』『桐』
第一八駆逐隊駆逐艦『杉』『槇』『樅』『樫』『榧』『楢』
第六艦隊
軽巡『香取』
第五潜水戦隊
潜水母艦『千代田』
「はるしお」型潜水艦七隻
第六潜水戦隊
潜水母艦『千歳』
「おやしお」型潜水艦七隻
第七戦水戦隊
潜水母艦『日進』
「おやしお」型潜水艦七隻
「ましゅう」型補給艦五隻
タンカー一〇隻
これで、母港たる中津島に残っているのは基地航空隊と地上勤務の要員だけということになる。
そうして、聨合艦隊の任務は、大井の推測通り、米連合国本土に対する圧力をかけること、沿岸部の軍事施設に対する攻撃であった。さらに、聨合艦隊、というよりも大井参謀長起案の独自作戦が追加されていた。それは、潜水艦による哨戒および対潜水艦攻撃であった。そして、潜水艦が帯同していることを知られないためのケープタウン寄港であり、それだけではなく、『大和』がいるためでもあった。裏を返せば、潜水艦部隊の存在を隠すための『大和』派遣であったといえる。
そうして、聨合艦隊の欧州派遣はカリブ海やメキシコ湾に出現するであろう米合衆国艦隊に対する注意を殺ぐ意味合いもあったといえる。むろん、皇国と米合衆国の間に協同戦線展開といった条約は締結されていないが、人種差別のより少ない米合衆国が北米を統一することにより、皇国は市場としての米国を得られるであろうと考えていたのかもしれない。それほど、皇国は市場を求めていたのかもしれない。ともあれ、戦後を見据えた条約なき協同戦線の展開といえただろう。