日連(米連合国)開戦
早くできたので更新します。
ついに開戦です。日本は何を狙っているのでしょうか。戦闘シーンを書けるようにしたいですが。どうなることやら・・・・・。それよりも、戦艦をどうやって沈めるか、問題です。
一.アメリカ連合共和国は日本皇国に対してフィリピン沖での民間船舶および軍艦攻撃に対して非を認めて謝罪すること。
二.アメリカ連合共和国は日本皇国に対してフィリピン沖での船舶攻撃に対する賠償として一億ドル支払うこと。
三.アメリカ連合共和国は太平洋に展開中の陸海空軍をすべて本国に引き上げ、東サモアを一〇年の間、非武装地域とすること。
四.アメリカ連合共和国はアメリカ合衆国との対話に応じ、対話による両国間の問題の解決を図ること。
五.日本皇国はアメリカ連合共和国とアメリカ合衆国との三者会談を要求し、今後の北米大陸での安全維持について対談を求める。
六.上記五項目が受け入れられない場合、日本皇国は英仏と協議した上で武力行使を行うものとする。
七.返答期限は本年八月六日零時とする。
「政府がここまで強攻策を取るとは思いませんでしたが、米連合国は受け入れないでしょう。必ず戦争は起こります」政府発表の全文が載った新聞記事を見ながら大井大佐がいった。
「そうか?わしはもっと強く出ても良かったと思うぞ」同じように別の新聞記事を見ながら山口大将はいった。
このような通告は旧日本国だけでは何をどうしても出せない通告であろうと思われた。日本皇国だからこそ出せた通告といえただろう。同じ日本人、大和民族とはいえ、時代や世界が違う日本人が集まっているからこそ、出せた内容であったといえる。この世界の皇国が国家主義、主張を守るためには戦争も辞さないと考えているからかもしれない。
この通告が出されたのは七月一日のことであった。そして、皇国政府および軍は米連合国が受け入れないだろうということも理解していたとされる。そうして、大戦前に検討された「NA安定化」作戦の再検討に入ったのである。この作戦の骨子はNとSに分かれており、今回はSということになる。東サモア攻略、パナマ運河占領、ワシントンDC空爆というもので、作戦完了まで一年を予定していた。しかし、今回の再検討では、不確定要素があるとされたのである。
「本土では作戦計画の再検討に入っていると聞くが、貴様はどう思う?」
「「NA安定化」作戦ですが、戦争計画としては良いかもしれませんが、戦後については不備があるかもしれません。二つのアメリカが存在する限り、今後も問題は発生するでしょう」
「ふむ、アメリカが一つになれば、なお問題が発生するのではないか?中国のように二つで安定するほうがいいのではないかね?」
「いいえ、中国とは異なると考えております。昔ならいざ知らず、現在のアメリカではほぼ同じ主義です。異なる点といえば、有色人種、黒人や黄色人種に対する差別政策だけです。対して中国は主義、共産主義か資本主義、さらに民族対立もあります」
「たしかにな。一つになるとはいえ、どちらの主導で一つになるかによって違ってくるのではないか?」
「はぁ、今のところ、米合衆国の主導で一つになるほうが北米だけではなく、南米や太平洋は安定するでしょう。米連合国主導ですと、メキシコとは問題が発生するでしょうし、太平洋で緊張が続くことになります。また、南米の反発が増して不安定になるでしょう」
「ふむ、南米はともかくとして、太平洋が緊張するのはよくないな」
「それに皇国が戦争に突入すれば、暗躍する国が出てくるでしょう」
「ソ連だろう?上もわかっているだろうさ」
「ソ連もですが、オランダと中華人民共和国の動きが気になります」
ソ連は大戦終了による祖国再建が急務であろうが、バイカル周辺域以東は国土も荒らされておらず、極東域への軍派遣は可能であろうと考えられた。ドイツ軍による侵略を忘れさせ、共産主義の徹底には国を挙げての戦争が一番いいと考えるのがスターリンである。皇国が巨大な生産能力を誇る米連合国と戦争を始めれば、漁夫の利を得ようと軍を動かす可能性が高かったのである。
オランダ一国で何ができるというわけではないが、皇国との対戦国となるであろう米連合国に対して、便宜を図ることにより、皇国は多方面に目を向けなければならなくなる。例えば、蘭領東インドの各地を提供されれば、皇国の輸送船団に対する米連合国艦艇や航空機の攻撃に幅が出るであろうし、皇国としても兵力を割かなければならなくなるのである。さらには、蘭領の各地に逃げ込んだ米連合国艦艇などに攻撃を加えることができなくなるからでもある。
中華人民共和国が再び中華連邦共和国に対する攻勢を始めれば、アジアで唯一の常任理事国(国際連盟のであって国際連合は未だ準備段階にあった)として、皇国が介入しなければならないと思われたからである。英仏、特にフランスは未だ国内整備が進んでおらず、東南アジアでの問題もあることから東アジアまで進出できないだろうと考えられていたからである。さらにいえば、大戦中の米連合国からの支援もあって動かない可能性もあったのである。
「戦力が分散されるからだな?」
「おっしゃる通りです。未だ欧州に陸海空合わせて三〇万人がありますし、防衛作戦には十分な数であっても、侵攻作戦には不十分かと思われます」
戦力を集中することがかなわず、二正面作戦を行わなければならない、戦力の分散を強いられることを皇国は恐れていたといえる。ましてや、欧州や東欧、インド洋に多くの軍を派遣している皇国としては、これ以上の戦力分散を避けたいところであろう。それでも、あのような通告を出したのには、大戦終結後一年、陸海空合わせて二〇〇万人を動員した戦力の七割にあたる一四〇万人がまだ即応兵力として動員可能であったからだとされる。
「鍵は米合衆国だな?」
「はっ、米連合国と停戦をするか、戦争を継続するか、皇国に連動して動くかそうでないか、いずれにしても戦局に重大な影響をおよぼすでしょう」
当然として、米合衆国にも戦闘よりも対話を推進するよう通告している。対して、米合衆国は応じる構えを見せていたとされている。しかし、対話は双方にその気がなければ成り立たず、今回は米連合国が無回答のため、対話は実現しなかった。ちなみに、このとき対談場所に指定されたのは独立間もない、マリアナ連邦共和国のグアム島であった。
「ともかく、おとなしく待っているわけにはいかんだろう。第六艦隊だけでも動かしたいな」
「既に本土の一潜戦が動いているようです。反応動力ですから浮上する必要もありませんし、まず、不意の奇襲を受けることはないでしょう」
「第六艦隊はパラオとツバル、マーシャルか」
「はっ、米連合国の水上艦哨戒に就いております」
「対潜哨戒は?」
「はっ、対潜哨戒機が進出を始めています」
この頃、本国の第一潜水戦隊の「しょうりゅう」型攻撃原子力潜水艦六隻が交代で東サモア、パナマ沖、そしてカリブ海で監視任務についていたが、米連合国の動き、主に艦艇移動が慌しくなっていることを確認しており、中でも、最新鋭の「サモア」型潜水艦(水上二五〇〇トン)の移動が多数確認されていた。この米連合国の動きに対して、休養のため、横須賀に帰港していた第三機動艦隊および第四機動艦隊、いずれも「翔鶴」型航空母艦二隻を基幹とする、を再び黒海およびマダガスカル島へ派遣している。交代する形で、「改ひゅうが」型護衛空母、空母『瑞鳳』からなる第一特務艦隊を帰還させる手配をしていた。
第三および第四機動部隊の欧州、マダガスカル島派遣は、ソ連および米連合国大西洋艦隊に対する備えとするためであった。さらに、太平洋各地、独立したマリアナ連邦共和国、独立準備政府の樹立されたミクロネシア連邦共和国、パラオ共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、キリバス共和国に対潜哨戒機部隊が派遣されている。これら地域には二四〇〇m級滑走路が整備され、将来の国際空港とするための設備が整っており、航空機の進出にはなんら問題はなかった。
同様のことは、ニューブリテン島ラバウル、ソロモン諸島、ヴァヌアツ、ツバル、東ニューギニアに対しても大戦中に行われ、既に完成しており、航空機進出はなんら問題なく可能であった。むろん、対潜哨戒機だけではなく、F-3戦闘機を有する飛行隊も派遣される予定であった。ちなみに、両米国とも、皇国が英国に売却している艦載対潜哨戒機を入手しており、その技術を応用した機体を開発し、数は少ないが、MADを搭載した大型対潜哨戒機(多くは飛行艇や爆撃機を改装したもの)を配備していた。
期限までほぼ一ヶ月近くあったが、米連合国の動きはなかった。もっとも、それは表面上であって、水面下では太平洋への戦力増強が続いていたといえた。特に、潜水艦と駆逐艦、航空機の増強が明瞭であった。逆に、米合衆国は更なる対話を求めていた。それが証拠に、駐日大使が再三総理大臣との面会を求め、駐米合衆国大使が再三大統領執務室に呼び出されていたことに現れていた。
八月六日午前○時三一分、最後通牒期限切れから三〇分後、台湾台北、マリアナ連邦共和国グアム、ミクロネシア連邦共和国トラック、パラオ共和国コロール、ソロモン諸島ガダルカナル、キリバス共和国ギルバート諸島に対する潜水艦発射対地誘導弾攻撃、東ニューギニアのポートモレスビー、同ラエ、ツバルのフナフティに対する航空攻撃があったのである。○時五〇分、皇国はアメリカ連合共和国に宣戦布告し、後に両洋戦争と称される二国間戦争が勃発したのである。