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新編聨合艦隊

感想をいただきありがとうございました。返信をさせていただきました。駆逐艦では「陽炎」型が、戦艦では『大和』は別として「金剛」型が好きなもんですから。前作とは異なり、年齢的にも絡めて行きたいと考えています。

 移転暦七年四月、中津島軍港、再編なった聨合艦隊の完成した全艦艇が集結していた。しかし、これですべてというわけではなかった。というのも、第二次世界大戦中の艦艇と現代の艦艇とでは、乗務員数が異なるからである。つまり、現代の艦艇では省力化が進み、兵装においても無人化が進んでいるため、艦艇を運用するために必要な人員というのは減少している。駆逐艦ではもっとも明確な差が出ている。いくつかの艦種で比較するために表にしてみると一目瞭然である。なお、艦艇によっては比較対象がないため、改装前と比較してみる。


戦艦「長門」型 改装前約一四○○名 改装後一○五〇名

戦艦「金剛」型 改装前約一四五○名 改装後一一五〇名

戦艦「大和」型 改装前約二五〇〇名 改装後二〇〇〇名

空母「赤城」型 改装前約二○〇〇名 改装後三○〇〇名(航空科八○○名)

空母「飛龍」型 改装前-----名 改装後三二〇〇名(航空科八○○名)

重巡「妙高」型 改装前約九〇〇名 改装後七〇〇名

重巡「最上」型 改装前約九五〇名 改装後七五〇名

軽巡「川内」型 改装前約四五〇名 新造後一九〇名(準「たかなみ」型)

駆逐艦「吹雪」型 改装前約二二〇名 新造後一九〇名(準「はつゆき」型)

駆逐艦「陽炎」型 改装前約二四〇名 新造後一九〇名(準「はつゆき」型)

揚陸艦「扶桑」型 改装前約一四○○名 改装後七五〇名


 というわけで、概ね減少していることとなる。どうしても余剰人員が出るわけで、そこで、艦艇数を増やして増強するとともに陸上勤務とすることで、山本大将のいう、過去の人間を一箇所にまとめる、を達成していたのである。


「長官、聨合艦隊は復活しました。私は任務は果たすことができました」桟橋から集結した艦隊を見ている山本の後ろから大井がいった。

「大井少佐か、世話になったな」

「いいえ、当たり前のことをしただけです」

「かなり無理をしたそうだね、田代本部長が言っていたよ」

「はあ、理解できない輩が多くて参りました。ですが、これで任務をはたすことができると考えています」

「まさか、再びトラックに進出させるとは思わなかったよ。設備は完成したと聞いている。対独戦はさけられんか?」

「はっ、おそらく一年以内には始まる可能性があります」

「そうか、ところで、あの人事案も少佐が提案したそうだね?」

「はっ、残念ですが、誘導弾が主流となれば、艦隊決戦など起こり得ないと考えます。ましてや敵艦に肉薄して魚雷発射などの水雷戦もありえないでしょう。となると、もっとも考えられるのが、航空決戦になります。その点を考えれば、適任者はおのずと見えてきます」


 この年三月、正式に新聨合艦隊の人事が決定している。適性検査の結果も踏まえ、大幅に変更されていた。戦艦部隊など基本的には変わらないが、もっとも変更があったのが機動部隊であった。年功序列で不得手な部署を任せることはなかった。大まかな人事は以下のとおりであった。


聨合艦隊

司令長官 山本五十六海軍大将


指揮艦艇群

『はるな』『ひえい』『しらね』『くらま』


戦艦部隊

第一戦隊

司令長官 高須四郎中将

戦艦『大和』『長門』『陸奥』重巡『那智』


第二戦隊

司令長官 近藤信竹中将

戦艦『金剛』『比叡』


第三戦隊

司令長官 三川軍一中将

戦艦『榛名』『霧島』


重巡洋艦部隊

第四戦隊

司令官 高木武雄海軍中将

重巡『愛宕』『鳥海』


第五戦隊

司令官 栗田健男海軍中将

重巡『妙高』『羽黒』


第六戦隊

司令官 細萱戌子郎海軍中将

重巡『高雄』『摩耶』


第七戦隊

司令官 小林謙吾海軍少将

重巡『熊野』『鈴谷』


第八戦隊

司令官 白石萬隆海軍少将

重巡『利根』『筑摩』


第九戦隊

司令官 宇垣纒海軍少将

重巡『三隈』『最上』


空母部隊

第一機動部隊

第一航空戦隊

司令長官 山口多聞海軍中将(昇進)

空母『飛龍』『蒼龍』


第二航空戦隊

司令官 草鹿龍之介海軍少将

空母『隼鷹』『飛鷹』


第二機動部隊

第三航空戦隊

司令長官 角田覚治海軍少将

空母『大鷹』『冲鷹』


第四航空戦隊

司令官 藤田類太郎海軍少将

空母『赤城』『加賀』


水雷戦部隊

第一水雷戦隊

司令官 南雲忠一海軍中将

軽巡『阿武隈』

駆逐艦『若葉』『子の日』『初春』『初霜』『響』『暁』


第二水雷戦隊

司令官 木村進海軍少将

軽巡『神通』

駆逐艦『嵐』『雪風』『天津風』『時津風』『秋雲』『磯風』


第三水雷戦隊

司令官 橋本信太郎海軍少将

軽巡『川内』

駆逐艦『舞風』『浦風』『初風』『浜風』『谷風』『萩風』


第四水雷戦隊

司令官 西村祥治海軍少将

軽巡『由良』

駆逐艦『朝雲』『峯雲』『夏雲』『朝潮』『荒潮』


第五水雷戦隊

司令官 田中頼三海軍少将

軽巡『大井』

駆逐艦『風雲』『夕雲』『巻雲』『霰』『霞』


第六水雷戦隊

司令官 大森仙太郎海軍少将

軽巡『長良』

駆逐艦『陽炎』『不知火』『野分』『早潮』『親潮』『黒潮』


第七水雷戦隊

司令官 岸福治海軍少将

軽巡『北上』

駆逐艦『三日月』『電』『雷』『曙』『潮』『漣』


第八水雷戦隊

司令官 市岡寿海軍少将

軽巡『木曾』

駆逐艦『帆風』『夕風』『霜月』『冬月』『春月』『宵月』


第九水雷戦隊

司令官 阿部弘毅海軍少将

軽巡『多摩』

駆逐艦『秋月』『照月』『涼月』『初月』『新月』『若月』


駆逐艦部隊

第一六駆逐隊駆逐艦『松』『竹』『梅』『桃』『桑』『桐』

第一八駆逐隊駆逐艦『杉』『槇』『樅』『樫』『榧』『楢』

第二○駆逐隊駆逐艦『吹雪』『白雪』『初雪』『叢雲』『磯波』『浦波』

第二四駆逐隊駆逐艦『敷波』『綾波』『朝霧』『夕霧』『白雲』『天霧』

第二六駆逐隊駆逐艦『海風』『山風』『江風』『涼風』『時雨』『有明』

第二八駆逐隊駆逐艦『白露』『村雨』『五月雨』『春雨』『夕立』『夕暮』


潜水艦部隊

第六艦隊

司令長官 小松輝久海軍中将

軽巡『香取』


第一潜水戦隊

司令官 山崎重暉海軍少将

潜水母艦『千代田』

「はるしお」型潜水艦七隻


第二潜水戦隊

司令官 醍醐忠重海軍少将

潜水母艦『千歳』

「おやしお」型潜水艦七隻


第三戦水戦隊

司令官 河野千萬城海軍少将

潜水母艦『日進』

「おやしお」型潜水艦七隻


第二連合特別陸戦隊

司令官 大田實海軍大佐

陸軍支隊

指揮官 一木清直陸軍大佐


「そのとおりだね。ところで、少佐は山口君の司令部に決まったそうだね?私としてもそばにいてほしかったが」

「はあ ありがとうございます。ですが、こればかりは希望が通らないこともままあります。私も軍人ですから、命令には従わなければならないと考えております」

「うん。しかし、皆うまくやってくれるといいんだが」

「はあ、近代戦、特に誘導弾戦の経験がないということで、本部から少将クラスを各司令長官の参謀長に、各戦隊司令官には大佐クラスを据えてきましたから。私もここまでされるとは思いませんでした」

「各艦には大尉クラスが乗り組んでいるそうじゃないか」

「はあ、習熟訓練期間が短いということもあるんでしょう。裏を返せばそれだけ希望者がいた、ということなんでしょう」

「確かに、艦長や副長クラスはともかくとして、各科の長の習熟期間が一年では短すぎる。ましてや、これまで聞いたことも見たこともない機械に触れるんだからね。その辺が解決できればいいんだが」

「トラック進出後は南洋州の巡回警備と商船護衛任務が課せられますので、時間不足を補えると考えています」

「そう願おう。問題は航空隊だな。これまでとは速度が違いすぎるし、戦術も違いすぎるからな」

「もっとも早くから訓練を行っていたのが航空隊です。整備兵もパイロットもほぼ基本訓練は終了していますが、皇国には母艦乗りはいませんから、将来的には逆教官として派遣されることもありえます。ともかく、実戦ではまた異なります」

「とにかく、残留部隊の面倒は見ることになろう」


 そう、ここに集まったすべての艦がトラック島に進出するわけではなかった。第六艦隊、基地航空隊、三個水雷戦隊、二個駆逐隊が中津島に残留することとなった。そして、聨合艦隊司令部はここ、中津島に置かれることとなった。そのための設備も既に完成している。


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