縁側日陰九匹目 アステネリアの新時代
レールを敷く作業も終わり、王都ウィールドで何故か他国の一部を来賓に呼び、シルヴィアさんの出身国やポールステルラ魔道王国に、西の隣国スイローベンを呼び新たな列車の御披露目と、キャスバル国王直々に招待状を送り新たなアステネリアの産業を御披露目をした。
「なんと、ニュークロイツの次はアステネリア王国か………我々もうかうか出来ませんね」
「何を仰る、私は貴国にも我が国とこの列車で、国交を更に強く結びたいと思って居る」
何やら少しワルオヤジ的な顔で、各国の王や首相や特使に演説の様に話をしてるらしき身振り手振りで、何かを語ってるが………隣には何故か変装したシルヴィアさんが腕に抱き付き、何故か学校を休み空いた腕に抱き付くフリージアさん、何が起きてるかは分からないが………二人の柔らかさと暖かい体温は、私の緊張を解して…………ほぐれるかよ!
「まったく、マスターははしたないシルヴィアさんには靡かないよ」
「史郎は私に靡くわ、ねぇ史郎」
甘い声で二人は言うが、私に何故にモテ主人公的なイベントが起きてる、おかしいだろう普通におかしいだろうよ、フツメン以下でポッチャリ以上だぞ私は………前より痩せてるが、それは結構修行で体脂肪が何故か減ったからだろう。
「お嬢様より平民な私よ」
「私はお嬢様ではなくてよ、フリージアさん」
何か二人の間に閃光が見えるのだが、あと何故に常連のプリムローズさんとシャルロッテさんが居るのかな?
「息抜きに珍しい式典に来ましたが、人混みで酔いそう………」
「私もです、シャルロッテ様………こんなに人混みは初めてです………」
まあ民衆や旅人や冒険者とか、色々ソワソワしながら『何が始まるんだ』の期待に満ちた視線を感じる。
そしてガリレオさんが魔法を使い、王都の何処からもキャスバル王の演説と此れから行う式典を、魔力を大量に使いながら発信しそれをまた別の素材を通じ、各市町村に伝達する宝珠を使い魔法の映像を送る。
威厳の或声を出し、キャスバル王は身振り手振りで演説し国民や来賓に向け、新たな門出に成る列車の御披露目と国民を虜にする、力強き演説で人々を更に引き寄せ足を止め、キャスバル王の演説に耳を傾けそして演説を終えると国民が歓喜の拍手を挙げる。
「流石我が国の国王」
「アステネリアに栄光を!」
「アステネリア王国に、新たな息吹を!」
「キャスバル国王、バンザーイ!」
「有難う諸君、私は素晴らしき国民の国王で要られて嬉しく思う」
「「「「ウォォォォ!!」」」」
「「「国王様、有難う御座います」」」
私は思った、日本の政治家もキャスバル国王の垢でも少し飲めと、国民の幸福度の差が完全に違うし、まだ発展途上の入り口だが日本とは違い此方の国民は多種多様だが、日本の様に経済が一時悪くても国民に税を強いて苦しめる政策はしなかった、何か色々と雲泥の差を感じるな………日本の治安は昔より悪く成ってるし。
そして来賓や大臣の一部が立ち、キャスバル国王を筆頭にテープカットをし来賓や国王一家を乗せる、特別個室車両に乗り大臣やその家族に先並びの一般客を切符売場に並び、少しの混乱以外は数十分間隔発車の列車に乗れるので、そこまで騒ぎには鳴らなかった。
キャスバル国王の列車は、各駅停車ではなく特別運行としてキャスバル国王が気に入った、クラシック曲を発車曲にし何故か、シルヴィアさんがピアノを引く様な手付きで、曲に合わせて指を動かす………絶対音感な才能があるのかな?
こうして二十一両の特別列車は発車した、先頭は機関部でありD51の様な見た目だが一部煙は演出による、煙幕を使い雰囲気を出しそして汽笛もちゃんとあり、水の魔法石や普通の水をタンクに入れ、小型の火力発電は車両の各動力電源や、客車や食堂車の照明や換気冷暖房として使われる。
食堂車はグランドアルプスから発見した、ガス田で精製したガスを使い調理をしてる、因みに客車よりもシビアに振動対策が一番完璧に行われてる為、何かの災害で緊急停止しても食堂車にはブレーキによる重力負荷は起きない、まあ重力制御術式により他とは異質な場所なだけだが、温かい食事や飲み物が買えるし飲食スペースで、軽くパンケーキ程度や紅茶を楽しめたりする。
そして一両目、国王一家の乗る客車は特別仕様で、メイドや執事さん達が普通に立てる仕様の特別車両であり、アンナ特製のふわふわソファーにゆっくり腰を労るラグジュアリーフットレスチェアーと、一応書類仕事も出来る仕様のデスクも完備。
「………余分な物を作り拠って…………」
「キャスバル様、公務が出来て素晴らしい車両ですな」
「うるさい、セバスよ!」
苦虫を噛み潰したように苦々しい顔で、ふかふかな椅子に座りドスッとセバスに置かれた各地域の経済状況や、次の路線の土地買取や鉱石等の運搬経路の開発予算の承認に、鉱山と新・工業都市の運搬線路の承認等、キャスバルは新たに増えた仕事にのほほんとお茶を飲む息子を睨みながら、書類に目を通す。
「セバス、工業都市の計画進捗は………」
「はい、生活区画や労働者の既婚や独り者寮の建設予定地、史郎殿が申してた環境対策に必要な地下水脈の調査を完了し、地盤の脆弱な場所を大賢者様が調査を終え、区画整備の杭を打ち始めました」
「よし、少し人数を増やして区画整備に平行し、鉱石用ターミナルや貨物ターミナル成る整備と、街に来る労働者や移住者等の駅舎の整備、宿舎の建設を早めに行え」
「御意に」
「後は、錬金術を使い金のインゴットを売る経路の確保や、装飾職人に金や銀を安く提供して、職人達の技量を上げ貴金属市場を更に活発させよ」
「御意に」
元々アステネリアは貴金属職人の腕も良いが、今はガラス職人の方が活気が強く魔力による時計産業も、貴金属職人の技量停滞により売り上げが停滞してる。
だが後に職人達のやる気が上がる交流が起き、それはアステネリア以外のアステネリアを中心にした、新たな同盟による国にも影響を与える。
そして数時間後、綺麗な白を基調にした芸術の街ミューンヘンドに特別ホームに到着し、再びキャスバル国王は演説し国民にこの先更に路線を広げる事を約束し、更に新たな都市の住人募集も開始した。
「次の計画は、ヴェルッアの街の予定だ、また次の開通時にはヴェルッアで再び開通式を行おう」
「「「うおぉぉぉぉ!!」」」
熱気は最高潮の内に、再び車両に乗り王都ウィールドに向け、上り線が発車し再びキャスバル国王は執務に追われた、息子にも仕事を割り振りそしてウィールドに到着後に、ミューンヘンドから延線しスイローベンの首都に沿線計画と、アルステア王国の若き国王と先々代国王との会合で、アルステア王国にも繋ぐ事に成った。
土魔法が使える者を集め、ガリレオの講義を受け土木工事を更に短期にする人数が揃い、更にガリレオの魔法を習う為に識字率を上げる平民に開かれた学校建設に、他国からウィールデン経由で仕事を求めて来た者や、スパイ等が来たが諜報員は漏れなく迷走の情報により、アステネリアの新しい技術の特定にまったく尻尾処か抜毛すら見付からない絶望を、そのキャリア経歴に刻む事に成る。
そしてガリレオは、ポールステルラ魔道王国に借りを作る為に派遣され、史郎と共に魔の森のモンスターを撃滅し、途中でウィールデンで生き倒れて拾った孤児を連れ、白鯨で親の仇を打つ特訓を終えた少女と少年二人は頼もしい顔に成り、更に実戦の戦闘を魔の森で行い、フリージアを合わせた史郎達デコボコパーティーは、ソロのライトニング・ラビットやラッキースケベ野郎等の二つ名を持つ、色々な意味で有名な白髪の少年ベルと、プリムローズの九人を含めたパーティーで魔の森の魔王を倒し、孤児達三人がラストアタックにより、小さき史上最年少勇者三人が爆誕した。
まあどんな攻撃も無効化する、皮鎧とどんな硬い鉄も切り裂く軽い剣により、英雄冒険者ベルと天才魔道師プリムローズと大賢者ガリレオの名が、ルーウエルド大陸に轟き名を広めた。
因みに史郎はそんな肩書きは嫌な為、討伐パーティーに居た事実を隠蔽しフリージアも毒親に、何を頼まれるか嫌な予感しか無い為に名を伏せた、因みに名無し二人の従者が居たとの噂が流れたが、名が無い者に民衆は色々な妄想を膨らませ、美男美女の影の勇者が居たとか大賢者ガリレオの弟子ではとか、色々な憶測が飛び交った。
因みにポールステルラ魔道王国は、魔道王は事実を知ってるが大賢者ガリレオを敵に回したくなく、娘や妻にも言えずに悶々と数十年モヤモヤしたのは言うまでもない。
そしてポールステルラ魔道王国では、少しずつ魔の森を開拓したが数人の聖女が瘴気を清めるが、魔王亡き地でも強敵のモンスターが闊歩し、ポールステルラ魔道王国の国土拡張は余り進まなかった。
因みに聖女シャルロッテは、ウィールデンから出る気はなくそして史郎のパーティーの、最後の九人目な聖女シャルロッテだったりする、因みに数週間シャルロッテは教会で何故か神父や神官に色々質問責めを受けて居たが、史郎や史郎から貰った装備の秘密や同行したフリージアの事は喋らなかった。
そしてカフェでは、期間限定のモンスター牛のビーフカレーとビーフシチューに、チーズ濃厚クリームシチューを出したが………何故かカレーが売れる、何故かシチューは一部の女性客にしか刺さらなかった。
「マスター、クリームシチューおかわり」
「………まだ実家に帰らないのか?」
何故かモンスター騒ぎは解決したが、ギュネス家に帰らないプリムローズ嬢と何故か目が笑ってない、変なプレッシャーを放つシルヴィアさんとフリージアさん。
「早く実家にお帰りに成っては、天才魔道師さん」
「私は生涯の伴侶を見付けたみたいですから、その方と添い遂げるので帰らないですよ」
「何で増えるかな…………」
何か不満げにボソボソ言うフリージアさん、何か女の争いが起きてるシルヴィアさんとプリムローズさん、そして呑気にカフェラテを飲むガリレオさんと、今日も朝から限定カレーを食べる常連の爺さんとその奥さんに、教会から抜け出し何故か私の前のカウンター席で優しい瞳で私を見つめるシャルロッテさん。
「マスター、辛口カレー……マスターの愛情入りで」
「そんなサービスは御座いません、お客様」
「聖女なのに、メス顔でマスターを見ないでよ!」
「何を言ってるか分かりません」
フリージアさんとシャルロッテさんが、何か睨み合ってるが無視をし、今日も朝から平和だなと思いつつ私はカレーが入った鍋の蓋を開け、少し辛みを増やしてからそっと皿をシャルロッテさんに出したのだった。
「マスターの愛情たっぷ…………辛ぁ!!!!」
この日聖女シャルロッテの、不思議な叫びが店の外まで響いたそうな。
次回に続く。
・三人勇者
ブロンドロングの少女勇者クラーラと、少年勇者の緑髪の光を得意とするアルスと赤毛で熱い少年のルークの三人は、冒険者だった両親の敵討ちを目標に強く成った孤児達、因みに犯人はもう冒険者ギルド経由で、各国の裁きにより処刑やもうこの世に居ない。
因みに闇組織ダーク・スコーピオンのボス、ドン・コキントーレは三人に後に討たれます。




