縁側日陰三匹目 二人目のお客様
一人目の老人が店を出たのと同時に、地味の中に可愛さもある薄い水色系のローブ姿をした、プラチナロングの長い髪をし、何処のお嬢様かは分からないが朝から出歩いてるのは珍しい。
たぶん年齢的には、高校に入った位の年齢に見えるが、この異世界は十代中盤から容姿が変わらなく成るから、実年齢は見た目とは違うかも知れない。
そんな女性が店内をキョロキョロ見渡す、何故か興味津々に………私は少し興味本位も込め、スキルと店内スピーカーを連動させて少し川のせせらぎと緩やかな朝にぴったりなピアノジャズを選曲し、流してみれば何故か女性は店内を更に何かを探す様にカウンターに来た。
「いらっしゃいませ」
「…………此処は食べ物屋さんでしょうか?」
たぶんさっきのご老人に出した、モーニングの香りで思ったのだろう、一応看板は在った筈だが…………。
「はい、喫茶店で御座いますよ」
「喫茶店?」
「まあカフェみたいなモノです」
「………はぁ…………」
なんとも言えない顔で、何か微妙な反応だった。
「お席は自由にお座り下さい、メニューは近くに在りますので、ごゆっくり選んで下さい」
「メニュー? 席は何処でも良いのですか?」
「はい、窓際でも私が居るカウンター席でも、中庭が見える窓際席でも」
「…………中庭とは、彼方の奥ですか?」
女性が指を指す場所は中庭が見える窓席、因みに植物とかはまだ植樹などあまりされてないが、小さな川や滝等の庭園は出来上がってる。
因みにアンナと撫子が、紫陽花の植える種類で討論をし、そこに何人か集まって決まらない為、お試しオープンとは言え何も植えれないで居る。
因み楓は植樹出来たが、何となくだがレイアウトミスぽいから秋辺り映える様に、一本以外は後回しにした。
因みに花の苗は、思い付きにより種をうっかり買った為、白鯨で育て中だ………花壇もちゃんと在るよ。
「………何か中庭は、殺風景………」
ボソッ聴こえて来る、『殺風景』の言葉………まあ仕方ない、私はカウンターから出て水とぬるいおしぼりを持って行った、一応前の老人にもおしぼりは出した様な気がする何か、訝しげに睨まれたが無料と言った様な気がする、まだ忙しくないのに記憶曖昧だな………後で仮眠を取ろう、疲れてるのかも知れない………私は女性のお客さんに、水とおしぼりをテーブルに置く。
「水とおしぼりです、メニューはコチラに成ります」
「水? ………私頼んでませんよ?」
「ああ………水は無料サービスです、おしぼりは手を拭くのにご利用下さい」
(お冷やや水の扱いは、日本以外の国と変わらない扱いかな、まあ国内にも有料とか出ない店が有るらしいが、基本水は無料が当たり前だよね)
何故か驚き固まる女性のお客さん、まあ日本で成れてると何でと思うが、何故か驚き顔で聞き返される。
「水が本当に無料ですか!?」
「はい、当店はですが………他店は知りませんので」
「普通は出ないと、思います」
まあガリレオさんのおかげもある、そのガリレオさんには開店前に甘いカフェラテと、食パンの両端の部分をトーストして、イチゴバターや生チョコクリームに発酵したコクのあるバターの三枚を、朝食に渡してるので今頃食べ終わってるだろう。
メニューを手に取り、眺め始めた女性のお客さんが一言、私を見ずに言う。
「何か絵に見えない、リアルな料理の絵ですね」
「…………」
それはメニューの写真ですとは言えん、この世界の写真はまだ白黒がやっと、映像は魔法のアーティファクトを使うが一般には出回ってないらしい、何処かの幼女にしか見えない高次元女神ちゃんが、何故かふらっと来てお菓子をおねだりしたついでに言って、何処かに帰って行った。
因みに撫子の試作蒸しプリンを、嬉しそうに持って行った。
「………甘い物は、色々有りますね………聞くのが初めてな物ばかりですが」
悩んでそうに見えるが、何か楽しそうに眉間にシワを寄せ乙女の葛藤的な悩みをしてるぽい。
「今の季節的には、イチゴのショートケーキがお勧めですかね」
(撫子達が苺を、つまみ食いを越え無いでくれて助かったよ、食べ尽くされてたらメニューに出来なかっただろう)
「イチゴですか………それを一つと、このミルクティー…………を一つ」
「イチゴのショートとミルクティー、以上ですね」
「はい」
何か間があったが、注文を聞いてからカウンターに戻る。
ミルクティーは湯を沸かして、茶葉を耐熱ガラスのティーポットに入れ、お湯を注ぎ切り分けてあるショートケーキを取り皿に乗せ、少し蒸らしてから少し濃いめに出た紅茶をティーカップに淹れ、生クリーム液体と牛乳をカップに入れ完成。
まあ普通はロイヤルミルクティーとか成るが、まあ大差はないだろう………はい筈だ。
テーブルに持って行き置いて行く。
「お待たせしました、イチゴのショートケーキとミルクティーです」
「…………絵よりも美味しそう」
「砂糖等は此方にありますので、甘さは常識範囲でお願いします、ではごゆっくり」
グラニュー糖が入った容器を開ける、女性のお客さんは何故か固まって居たがまあその後はグラニュー糖を二杯入れ、ケーキフォークでケーキを食べ始めた、何か笑顔で至福の時を感じてる様な感じだった。
ミルクティーは何故かおかわりが来た、まあ構わないが…………ケーキもかよ!
「このモモ? のショートケーキを、お一つ…………」
何故か赤い顔をしながら言うが、女の子だもんね…………甘い物には目がないよね。
「はい、おかわりのミルクティーと桃のショートケーキです、ではごゆっくり」
「…………何か艶々な果物!」
お嬢さん、桃は瑞々しいと言ってくれ。
「うん~甘くて此れも美味しい!」
何か入店した時より、顔の艶良くなってない? アレ? そんな効果、ケーキやミルクティーにはない筈だが。
「何か疲れが吹き飛んだ気がする」
何か栄養ドリンクやエナジードリンクを飲んだ様な、そんな感じな事を言い始めたぞ。
「今なら色々な場所を、沢山わって浄化出来る気がします」
何だろう………ヤバい客の、疲れを癒してしまった気がする、しかも仕事が生き甲斐的なワーカホリック的な感じだ。
「………本当に回復とか、そんな効果はないのだが…………」
史郎は知らない、白鯨で隠し要素がこの世界の人間にたまに起きる出来事であり、それはたまに起きてたまるか的な要素である。
「何か漲って来たァー!!」
おいおい漲るな! 漲るな!
「此れで私は、元気一杯二十八時間戦えるわ」
「戦うなぁー!!」
私は思わずツッコミをしてしまった。
ポカンとする女性のお客さん、徐々に恥ずかしく成ったのか大人しくケーキを、上品に再び食べ始めた…………なんだかなぁ~
食べ終わり帰る時に、値段に何回か聞き返してたな…………まあ、私一人だし苗の購入費以外は保々0円だしな、まあ撫子と試行錯誤したケーキだが、撫子はいくら食べても太らないし、アンナとか来て結局今のショートケーキが採用に成ってるし。
「またのご来店を」
まあ明日やってるかは分からんが。
そして数十分後、私は初めての地獄に遭遇した、朝にケーキが無くなる現象が起きたのだった。
因みに男性の客は、モーニングかナゴヤ風ナポリタンの二択だったので、撫子のおかげでそこは何とか捌けた、ありがと撫子…………茹で玉子や卵焼きを、此れだけおかわり食べたいと言う客も現れたので、今後…………検討しよう………撫子シリーズを増やすか考えてから。
この日は朝だけで閉めた、昼も開店してたら私一人だろうと従業員が居ようが、まったく手が回らない嫌な予感がしたからだ。
「お試しで開店したが、やはり従業員はそれなりに必要が分かった、厨房は撫子が補佐をしてくれるがホールだよな…………」
私は独り言を言いながらモップを片手に、床掃除を始めたのだった。
史郎は後で、ガリレオに二人目の客が聖女だと教えられる、それでは次回に続く。
・桃のショートケーキ
川中島白鳳苗や白鳳苗の桃を使ったケーキ、しっとり系を目指しジュレ等も撫子と試行錯誤し、生クリームも白鳳のシロップを混ぜた物を使い、甘味を抑えて白鳳の香りを引き立てた仕様のショートケーキに仕上げた一品。
因みにブルーベリーは植えるのを忘れた為、試作にはまだ至ってない。




