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ホーリーとの共闘

ハクがスライムの核に初めて攻撃が届いたのとほぼ同時にニロはギルドに辿り着いていた。


「はぁはぁはぁ……ね、ねぇ!誰かハクを助けて!!」

「どうしたんですか?受けていたのは薬草の採取でしたよね?」

「そ、それが……」

「なるほど……話は分かりました。ですがその状態だと助けを出すのは粗不可能ですね」

「な、なんでよ!」

「まず、話を聞く限りだとそのスライムはジャイアントライデンスライムという魔物です。そうなると推奨討伐ランクはDランク以上の冒険者になります。冒険者というのは常に死と隣り合わせの職業です、その為ギルドにも助けを出す条件というのがあります。その条件というのは冒険者ランクが相対している魔物の一個下というものです。理由として二つ以上下だと著しく生存率が低下します、その為助けに行っても殆どの場合死体となっていて助けに行っても行かなくても変わらない状態なんです。勿論例外処置とかありますが……今回の場合適応されません」

「なんで……なんでそんなに冷たく対応できるのよ!!」

「多くの冒険者の死を見てきたから……ですかね。昨日酒場で笑っていた冒険者が次の日帰らぬ人となっているなんて良くある話です。だからギルドの受付嬢っていうのは心を殺すしか無いんですよ」

「……っ!もういいわ!!」


そう言ってニロはギルドを出て森に向かって走り出そうとしていた。しかし、走り出そうとするニロの肩に手を置き、その動きを止めた者がいた。


「な、なによ……」

「そうだねぇ……その話、受けて上げるよ」

「え……?良いの?報酬なんて出ないわよ?」

「良いの良いの、おじさんは未来ある芽を摘まれるのが嫌なだけだからさ。という訳でさ、場所を教えて」

「わ、分かったわ!着いてきて!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はぁはぁはぁ……グっ!!」

「ーーー!!」

「ご主人様!もう良いから逃げに徹しましょうよ!」

「それが出来たら……!苦労……してない!!」


吹っ飛ばされたことにより足を強く打ったせいで俺もホーリーも逃げられないでいた。攻撃自体は触手攻撃だけだから何とかなっているが……また突進やあの魔力砲を撃たれるとお陀仏だな。というかこのスライム、最初に比べて色が薄いような……まさか魔力砲を撃ったから魔力が枯渇してるのか!?だとしたら動きが遅いのも納得出来るな。つまり殺るなら今のうちって訳か


「ホーリー、俺がこいつの気を引いてるうちに核を喰らえ!」

「無理です!私の口じゃ核に届きません!!」

「何!?さっきの俺の攻撃が届いたんだから届くはず……ッチ!そういう事かよ!」


さっきまで核は割と表層部分にあったはずだ、なのに核がスライムの中心部分より下になっている。あれじゃあ俺の短剣も届くかどうか怪しいぞ……動きが遅いうちに逃げるか?いや、駄目だ。攻撃していることで魔力の回復が遅いのだとしたら逃げたところで魔力の回復が早まりすぐに追いつかれる可能性が高い。


「ははは……万事休すってやつか」

「『硬化』!ご主人様、何諦めてるんですか!あんまり役に立ってない私が言うのもあれですけど最後まで諦めずに生きようとしましょうよ!!」


腕が疲れ果て、戦う気力すら無くなった俺とスライムの間にホーリーが入り込み攻撃を身体で受けている。ホーリーはまだ戦う気力があるんだな……仕方ない、最後まで付き合ってやるよ。出会って従魔にされたのになんでホーリーは……いや、今はどうでもいい。


「ホーリー、もういい」

「ご主人様が諦めても私は諦めませんからね……!!」

「あっすまん、言葉が足りなかったな。もういいからそこをどけ、俺がスライムを仕留めに行く」

「…………!?」

「そんな驚いた顔すんなよ、というか俺を護りながらのその芸当、さてはホーリー、お前結構余裕だな?」

「い、いいから殺るなら早く殺ってください!『硬化』の効果が切れたら私だって結構辛いんですから!それに徐々にですが火力が上がってます、チャンスは多分今回だけですよ?」

「あぁ、分かってる。それじゃあ……ヘイト管理は任せたぞ!」

「はい!!」


ホーリーの返事と共に俺はスライムに向かって走り出した。狙いは勿論、核だ。位置は前見た時と変わってない、つまり短剣じゃ、届かないという訳だ。ならどうするか、手は一つしかない!


「くらえ!一か八かの『生活魔法』!」


短剣をスライムに刺し、剣先に生活魔法を展開して自分の魔力を全て注ぎ込んだ。これで魔力暴走が起こる。魔力暴走は魔法の許容量を超えた魔力を魔法に注ぎ込む事で起こり、最後には使用者本人と周囲を巻き込んで大爆発を起こす。さぁ、共に逝こうか、スライム!!


「ご主人様!?何やってるんですか!?それじゃ魔力が暴走を起こしますよ!?」

「それが狙いだ!お前はさっさと逃げろ!!巻き込まれるぞ!」

「っ………!!ご主人様の馬鹿ー!」

「馬鹿で充分だよ、それじゃ短い間だったけどありがとうな」


自分の中の何か……まぁ魔力なんだが、それが無くなる感覚が俺を襲う。そして俺を殺そうとホーリーを襲っていた触手が俺の肩を貫いた。だがもう遅いぞスライム、お前は俺と死ぬんだよ。あぁ……段々と意識が……じゃあな、ホーリー。自由に生きろよ……って口が動かないから聞こえてないか……

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ご主人様……!」


ご主人様が起こした暴走はスライムの体内で更に膨張しているのが分かる。本来は使用者本人の魔力のみで成長するのに……スライムの中で起こしたからなのかスライムの魔力すら吸い込んで成長している。


これじゃあ今から逃げても間に合わない……かな。せっかく以前とは違って良いご主人様に出会えたのに……私はこれからご主人様と一緒に幸せになるって思ってたのに……お母さんごめんね、お母さんの分まで幸せになるって約束したのに……ご主人様が口を動かして私に何かを言ったのが見えた。一体何を言おうとしたんだろう……死ぬ前に、それだけは知りたかったな。だって好きになった存在の最期の一言なんだから……


私はご主人様の傍に向かって進み始めた。どうせ死ぬならせめて好きになったご主人様の傍で死にたいから。倒れたご主人様の背中の上に頭を置いて目をつぶった時、肌で感じていた魔力の圧が全て消え去った。驚いて目を開け、スライムの方を見てみるとそこには一振の剣に似た何かを持っている一体の人間に似た何かが居た


「ふぅ……間に合ったかな?でもって、君がニロちゃんの言っていたホーリーちゃん……でいいんだよね?」

「シャー!!」


思わず威嚇してしまった。肌で感じる魔力の圧が強いせいか、それとも人間の見た目をしているのに人間ではない事に対する恐怖感に似た何かからかは分からないが威嚇してしまった。


「あぁ大丈夫、君のご主人様を助けに来ただけだからさ。多分もうすぐニロちゃんが来ると思うんだけど……あぁ来た来た」

「やっと追いついた〜!!ってハク大丈夫なの!?」

「うーん魔力暴走を起こそうとしてたみたいだね。何とかギリギリ不発で終わったけど……もう少し遅かったらおじさん諸共吹き飛んでたね」

「ホーリー、ハクは生きてる……でいいのよね?」


ご主人様との従魔契約が解消されていないから生きてるいるのは確実だ。なので私は頷いた


「良かったわ……おじさん、ありがとう。けれど本当に良いの?報酬なしで」

「ははは……出会った時にも言ったけどおじさんはただ若い芽が摘まれるのが嫌だっただけだよ」

「そう?けど本当にありがとう、感謝してもしきれないわ」

「それじゃあ街に帰るまでは護衛してあげるから帰ろうか」

「護衛までしてくれるの!?本当にありがたいわ」


この男……一体何が目的なのだろうか?人間では無いのに本当に人間かのように振舞っている……こんな奴にご主人様は預けられない!!

私は直ぐにご主人様の服を咥えて持ち上げた。ご主人様には悪いがこれで運ぶとしよう。


「えぇ……ホーリーちゃん、その運び方は流石にどうかと思うわよ?」

「はっはっは!!慕われてるんだねぇ、その子。十年近く冒険者やってるけどそんな風に行動する従魔を初めて見たよ。世の中には従魔に命を狙われ続けてるテイマーや調教師もいたからねぇ……」

「へぇ……そんな人も居るのね。ってそんな事より早く帰りましょう。もうすぐ夜になるわ!」

「そうだねぇそれじゃあ急ごうか」


その後、私達は無事に街に着いた。あの男はスライムを倒したにも関わらず核をくれた為宿代に困ることはなく、ご主人様が寝ている間にご主人様の幼なじみが依頼に行く必要もなく看病に専念する事ができた。ご主人様が倒れてから三日後にご主人様は目を覚ました。

アフタちゃん「色々言いたいことがあるけど……ホーリーって前の主人が居たの!?」

サブちゃん「軽く情報出すと、ホーリーの前の主人というよりホーリーのお母さんの主人ですね。あっ父は不明です。それでその主人なんですが……ストレス発散に従魔に暴行を加えるクズでした。既に死んでます。あっ今出せる情報はここまでだそうです。まぁ詳しい事は今後判明するんじゃないですかね?」

アフタちゃん「なるほどねぇ〜……じゃあホーリー関連は一旦置いといて……おじさん何者!?一撃でスライム仕留めてるんだけど!?しかもホーリー曰く人間じゃないみたいだし!?」

サブちゃん「今出せる情報は……あっ無いですね」

アフタちゃん「ないんかい!!」

サブちゃん「それと今回はここまでだそうです」

アフタちゃん「え!?まだまだ言いたいことあるんだけど!?」

サブちゃん「諦めて下さい、それじゃ今回もありがとうございました」

アフタちゃん「次回も〜……お楽しみに!!」

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