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決着

「今更仲間を呼んだところで意味はないぞ?」

「そうかよっ!『速切り』!」


ホーリーがニロをここまで連れてくる時間さえ稼げれば良いので足元まで駆け込み、足を斬りに行く。まぁ切り傷が付く程度の威力しかでないがそれでも再生を遅らせられるのなら充分だ。


「邪魔だ!!『地震(弱)』!」

「うおっ!?」


ゴブリンキングが傷の付いていない方の足で強く地面を踏み付けると同時に足元が一瞬だが強く揺れ、そのせいで体勢を崩してしまった。


「おおぉ!」

「ぐっ!?」


体勢を崩されたせいでその後の蹴りをモロに受けてしまって斜めの後ろの壁に強くぶつかった。

背中、後頭部、踵が凄く痛い。何とか立てている状態たが限界は近い。仕方ない……か、心が痛むが残っているゴブリン達には俺の代わりに時間稼ぎをして貰うしかないな


「『従魔召喚』」


俺とゴブリンキングの間に大量の魔法陣が現れ、次々とゴブリン達が出てくる。


「お前ら、可能ならあいつを殺せ。そして最低でも時間稼ぎの糧となれ」


「「「「クギャギャ!!!」」」」


何体ものゴブリンの声が洞窟内に反響する。そしてその反響した声と共にゴブリン達はゴブリンキングに向かって走っていく、辿り着いた者はひたすら足に斬りかかり、ゴブリンウィザードは後方から魔法を撃ち、ゴブリンプリーストは傷付いたゴブリンを癒し、ゴブリンソルジャー、ハイゴブリンソルジャーはゴブリン、ハイゴブリンよりも強く斬り付けている。勿論、ゴブリンキングもさっきと同じ方法でゴブリン達を屠っていくが一回の攻撃で殺せるのは4体が限界、充分な時間稼ぎとなるだろう。


「………………クソッ」


自分で指示しといて何言ってんだと思うが惨たらしいな。俺は死なないように、ゴブリン達の邪魔をしないように後ろでその光景をただ見ているしかないのか...……俺がもっと強ければ、賢ければゴブリン達と上手く連携してニロに頼らずに倒せたのかもしれないな。そうすれば今死んでいるゴブリン達が、これから死にゆくゴブリン達の命が助かったのかもしれない。

駄目だな、俺って。

一度覚悟を決めたなら、一度そうするとしたならば、最後までそれを突き通す位の心持ちをしとかないといけないんだけどな……

俺は今ここでたった一つの事を決断した、これから何があっても揺らぐことの許されない事を、ゴブリン達が殺されているこの惨劇を見ながら決意した。


「今後、何があっても、例えその選択で俺が死ぬとしても……!俺は、従魔の共に戦い、必ず傍にいるとここで誓う!!」


これ以上、あのゴブリン達のように命を散らしてはならない。俺のせいで死んでしまった命は俺が背負わないといけない。


「ご主人様〜!!ニロちゃんを連れてきたました!」

「あぁ、ありがとう。それじゃあニロ、早速だが今残っている全魔力で魔剣を作ってくれ」

「いや、それは良いんだけど……あのゴブリン達何があったの!?いや、多分ツッコんじゃいけないんだろうけど……」

「あぁ、あれは……」


俺は手短に俺がした罪を話した。それを聞いたニロの顔はなんとも言い表せない顔だった。


「そうなのね……まっハクがそれだけ思い詰める必要はないわ。確かにあのゴブリン達はハクの命令によって死んだみたいなものだけどいつかは冒険者によって殺されていた命よ、それに冒険者に殺される前に何人かの人を殺していたかもしれないのよ?」

「それはそうなんだが………俺がテイムしたせいであのゴブリン達は死んだんだぞ?それなのに思い詰めるなって方が無理があるだろ」

「まぁそれもそうなのかもしれないわね……けどね、ハク。この世は弱肉強食よ、弱い者は強い者に殺される、それがこの世界なの。あのゴブリン達が強ければ、ゴブリンキングに殺される事はなかったのよ」


そう語るニロはどこか遠い目をしていた。俺が寝ていた間にニロは何を目にしたのだろうか?村を出る前のニロからは想像できない姿を前に俺は何も言うことができなかった。

ホーリーは俺の方を見て少し不安な表情をしている……気がする。蛇の表情って思ったより分からないんだな。


「うーん……まぁいいか。今更だが思い詰めるとか俺らしくないな、うん。これはあれだ、この短剣のせいだ!」

「いや、そこまで割り切ることじゃないと思うわよ……?あとなんかその短剣さっきよりなんか禍々しさました気がするんだけど!?」


どうやら俺は暗くなり過ぎていたらしい。やっぱり短剣のせいだな、うん。

あれ?というかニロの言う通りさっきより禍々しくなってない?もしかしてだけどこの短剣って思ったより自我が強いのか?


「それと……はい、これが私の残りの全魔力を使って作った魔剣よ。無駄にしないでね?あとホーリーちゃん……そろそろ倒れるから……あと、よろしく……ね?」

「はい、分かってますよ。ご主人様の為にありがとうございますね」

「…………」

「ありがとうな、ニロ。安心しろ、この魔剣であいつを絶対に殺してやるよ」


気を失ったニロにそう言うと、俺は大体のゴブリン達を殺したゴブリンキングの方を向いた。


「はぁはぁはぁ……どうだ、これでお前の駒はもうないぞ?」

「言ってろ、というかずっと攻撃していたせいで回復仕切ってないじゃないか。そんなんで勝てると思ってるのか?」

「貴様ァ!!」


ゴブリン達を倒しきったゴブリンキングたが安い挑発に乗るのは変わってないらしい。

ゴブリンキングの片腕が拳を作り俺の方に向かってくる。なんでだろうか、不思議とその動作が遅く見えた。俺はニロから貰った魔剣と少し禍々しさが増した短剣を強く握り、拳を横に避けるとそのまま魔剣を振り下ろし手首から先を切断した。


「ぬおっ!?な、なぜ切られた!?」

「さぁ、なんでだろうな!!」


魔剣が使えるのはおおよそだが一、二回だ。その一、二回で首を斬れたら良いがおそらく無理だ、なら魔剣が使える間にするべきことは一つだ。


「『速切り』!!」

「っ!!」


俺はすぐさまゴブリンキングの足元まで移動して魔剣で両足を切断、魔剣が崩れて始めているがそのまま倒れたゴブリンキングの背中に魔剣を突き刺した。


「ぐぬぬぬ……!」

「なんだ、呆気ないじゃないか。お前の負けだよ、コブリンキング」


案外すんなりと終わってしまった。コブリンキングの身体を見ると所々に傷があり、再生が追いついてないのが分かる。

その傷はコブリン達は役に立った、無駄に命を散らした訳ではないと表しているように思えた。だからこそ俺はコブリンキングに問いかけた


「ゴブリンキング、お前には選択肢がある。俺の従魔となるか、それともここで俺に殺させるかの二つだ」


ゴブリンキングが従魔となれば心強い仲間となるだろう、それに死を選んだとしてもゴブリンキングともなればきっと魔石を落とすだろうからこっちとしてはマイナスはない。


「だ、誰が貴様の配下などになるものか!!それに魔剣がなければ貴様は我の首を落とせるはずが……」

「『首狩り』」


俺はコブリンキングが言い終わる前に『首狩り 』で首を切り落とした。直ぐにコブリンキングの身体はダンジョンに吸収され、おそらく心臓があったであろう位置には赤子の握り拳程度の大きさの石が落ちていた。

やっぱり魔石を落としたか、しかもこの大きさなら金貨二枚くらいは貰えるんじゃなかろうか?


「うん……えっと、倒した……の?」

「あぁ、死体も無事?ダンジョンに吸収されたしな」

「よ、良かったぁ〜」


ニロは安心しきったのか地面に横になってしまった。


「おいおい、まだ安心するのは早いぞ?安心するのはこのダンジョンから抜け出してからだ」

「そ、そうね……それじゃあさっさと抜け出しましょ!」

「だってよ、ホーリー。それじゃあ索敵は頼んだぞ?」

「了解です、任せてくださいご主人様!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ダンジョン(洞窟)コアの間


「いやぁ中々に面白かったね〜まさか冒険者になったばかりの若者がゴブリンキングを倒すとは思いもしなかったよ」


まぁ良くて従魔が死に、どこかに治らない傷を負いながらも辛うじて逃走だと思ってたから予想外の結果におじさんも驚いたよ。ただ……あの呪われた短剣は危険過ぎるね、というか何があったらあんなに呪いが溜まるんだろうねぇ……


「お、あったあった。それじゃあこれでおじさんの仕事は終わりかな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「っ!!ご主人様、急いでください!」

「え、急にどうしたんだホーリー?確かに急いだ方が良いがコブリンも見当たらないし、というか怪我が痛むからそんなに急がれると困るんだが……」

「そんな事言ってないで急いでください!ダンジョンが崩壊し始めてます!!」

「え、嘘!?」


どうやらおっさんは要約ダンジョンコアを壊したらしい、まぁどうせあのおっさんの事だから俺が倒されるかそれともゴブリンキングを倒すかを待っていたのだろう。


「なるほどなぁ……って言ってる場合じゃないな!!走るぞ!」

「ちょっと待ってくださいよ、ご主人様!」

「というかなんでそんな怪我で走れるのよ!?」

「いや、それは走っている俺が知りたい」


まぁある程度検討はついてるけどな、この短剣は多分というか絶対に『身体強化』の効果があるはずだ。あとは……『痛覚緩和』とか『再生』とかの効果があるんだろ、多分。いや、傷は普通に痛むからどちらもないか。


「お、出口が見えてきたな!」

「はぁはぁはぁ……や、やっと出られるのね!」

「大丈夫ですか、ご主人様?またこの前みたいに気を失わないでくださいね!?」

「安心しろ、多分大丈夫だ」


そうして俺達は無事にダンジョンから脱出することができた。


「よっ!遅かったな、坊主」

「……なんでコアを壊したはずのおっさんが先に外にいるんだよ」

「そりゃ単純におじさんの方が早いからだねぇ。安心しなさい、鍛えた上で魔力による『身体強化』にスキルの『身体強化』を重ねがけできるようになればおじさんよりか早くなれるよ。おじさんは魔力による身体強化だけだから」

「スキルによる『身体強化』に魔力による『身体強化』ってなんだ……?」

「あぁ〜……今度おじさんがそこも含めて教えてあげるよ。君は中々に頑張れる人間だからね、おじさんが直接修行を着けてあげる」

「え、本当ですか!?」

「あぁ、本当だ。おじさんは嘘をつかないからね。まぁ取り敢えず今日と明日はゆっくり休みな、修行は明後日からにしようか」


という訳で俺はおっさんに修行をつけて貰う事になった。ちなみにニロは哀れな目で俺のことを見ていたが……どんな修行なんだろうか?

「あっホーリー、お前は着いてこいよ?」という風にホーリーの方を見るとホーリーは頷いた、どうやら伝わったらしい。

この後俺達は何事もなく街に帰り着くことが出来た。宿に戻ると女将さんがいて俺達に早く休むように促した、表情から心配しているのが分かる。この宿の女将さんはいい人だな。

ニロ、ホーリーと部屋の前で別れ、部屋に入ると直ぐに俺はベッドに横になった。

明日はゴブリンキングの魔石の換金とゴブリンジェネラルのだろう小さい魔石の換金をした後はゆっくり休むとしよう。そう思いながら俺は深い眠りに入った。


アフタちゃん「ハクって責任感強い人間だった??」

サブちゃん「まぁ強い方ではあるそうですよ?」

アフタちゃん「へぇ〜主人公って大体責任感強いけどハクもその部類なんだ。というか話変わるけどニロちゃんの魔剣強すぎない??そりゃ《魔剣士》が騎士団とかに採用されるわ!武器壊れても作れるとかチートだろ!」

サブちゃん「ちなみにそんな魔剣士の発現条件は魔法と剣に才能があって尚且つ剣の才能の方が強い事ですね」

アフタちゃん「そう聞くと簡単そうに聞こえるけどこの世界で魔法の才能がある人って普通に珍しいんだよねぇ、例えるなら現役で難関大学に合格する人位かな?」

サブちゃん「設定としてはその位ですね、おっと今回はここまでのようです」

アフタちゃん「えっ!?早くない??えーっと……作者のせいで投稿頻度が低いけどこれからもこの作品も宜しくね!」

サブちゃん「それじゃあ読者の皆様、次回もお楽しみに〜」

アフタちゃん「サブちゃんなんか緩くない??」

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