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死闘

「ホーリー、右側頼む!」

「了解です、『シャープファング』!」

「グギャ!」

「ハク、後ろ!」

「了解、『初級短剣術 首狩り』!」


初級短剣術 首狩り、首に当たらなければ不発に終わるが当たればほぼほぼ首を切れるから割と重宝するスキルだ。


「にしても……思ったより数が多いな。このままじゃジリ貧だ」

「そんな事言ってないで……!手を動かしなさいよ。まぁ事実だけど」


まだ余裕はあるが結構ギリギリだ。魔力的に魔法はあと1回だけなら撃てる、『アースニードル』か『アースクラッシュ』かだが……数を殺るなら『アースニードル』の方が適任か?まぁ撃つのは余裕がなくなってからだな。


「っ!?ご主人様、あれを見てください!」

「うん?ってなんか明らかに見た目が違う奴がいるな」

「一体あれはなんなのよ!?明らかに魔力の質?が違うんだけど!?」

「魔力の質が違う?」


俺は魔力の質とか言われても分からないんだが!?まぁ見た目で明らかに他のゴブリンと違うのは分かるけども……デカイし頭に王冠被ってるし……横に侍らしているであろう王冠が違うゴブリンが居るし。というかあいつが指揮官か?それって……不味くね?指揮官に届くかどうかは置いて俺とホーリーが来た方向に陣取られてる訳だろ?あいつら倒さないと逃げれないじゃん!


「ふぅ……ニロ、ホーリー、覚悟を決めた方がいいぞ、死ぬ覚悟をな」

「急にどうしたのよ!?まだ死ぬと決まった訳じゃないじゃない!」

「そうですよご主人様!まだ怪我もしてないですし!」

「いや、そうなんだが……」


うーん……あっそういえば、おじさんがダンジョンブレイクするまで耐えれば良いのか?なら何とか耐る事も……可能だな。


「すまん、急に弱気になってしまった」

「もう大丈夫なの?」

「あぁ、勝ち筋がハッキリしたからな『初級土魔法 アースニードル』!!」


『アースニードル』で出す棘を一本に限定して大きさを大きくし、遠くに陣取ってるゴブリンキング(仮称)を狙う。まぁ察知されたのか避けられて持っていた大剣でぶっ壊されたけどな。

そしてこっちを見て気持ち悪い笑みを向けている、明らかな挑発だな。だが……


「これは宣言の代わりだ、絶対にお前の元にたどり着いてやるという宣言のな!!」

「ちょ!?いきなりどうしたの!?」

「ご主人様、そんな一面があるんですね……」


おじさんがダンジョンブレイクするまで耐えれば良いと分かれば出し惜しみしてる必要なんてない。というかあの人の察知能力の高さ的にどうせこっちの事はある程度把握してる気がする。ならばきっとこれはおじさんなりの試練なのだろう、何故かは知らないがそんな気がする。


「『初級短剣術 速切り』!」

「グギャ……」


『速切り』は無駄な動作を無くしてただただ速く切るスキルだ。この状況において俺は敵の攻撃を躱しつつ攻撃しなければならない、それなのに攻撃が遅ければ他の敵にとって俺は格好の的となってしまう訳だ。だからここで体力の温存なんて考えず『速切り』を多用して安全に敵を減らした方が良いと判断をした訳だ。


「グルギャー!」

「うおっ!?」


適当に切り回っていると他のゴブリンを押しのけて目の前に一回り大きいゴブリンが現れた。

流石にこれは……一人じゃ無理だな。


「『従魔召喚』!」

「え、ちょ、ご主人様!?」

「補助は頼んだぞ、ホーリー!」

「あぁもぉ!!分かりましたよ!『硬化』『蛇睨み』!」


『蛇睨み』の強いところは視界の範囲全ての生物の動きを止めることができるところだ。まぁレベル差で効力が弱くなるせいかゴブリンジェネラル(仮称)にはあんまり効いていないな。


「グルギャ!」


ゴブリンジェネラルは大斧を構え、横薙ぎに振ってきた。

動きが鈍っているとはいえ俺より圧倒的に身体能力が上だった。その証拠に完全に避けきる事ができず短剣で防ぐのが精一杯だった。


「ご主人様!!」


ホーリーの方を向くとゴブリンに囲まれていた、どうやら視線を遮るつもりらしい。確かに()()()()ならその戦法は通じただろう。だがな……


「ニロ、ホーリーの守護を頼む!」


俺の叫びとゴブリンの真下から剣が生えてきた。一体どういう魔法なんだろうか?というかいつの間にそんな事できるようになってたんだ?思わず少しの間動きを止めてしまった。


「ハク!驚いてないで早くそいつを倒しなさい!!ホーリーちゃんはしっかり守るから!」


その言葉に助けられ、吹っ飛ばされたがゴブリンジェネラルの攻撃を防ぐことが出来た。油断はしてられないな、というか俺の悪い癖だ。戦闘中なのに余計な事を考えてしまうな。


「はぁー……ふぅー」


思っいきり息を吸い、吐いた。目の前の敵だけを見ろ、そし首を狙え。そう自己暗示してから俺は痛む身体を動かした。まず狙うのは足だ、それで少しでも相手のスピード削ぐ!


「ふっ!」

「グギ!?」

「そんなに驚くなよ、『速切り』!」


突っ込んで急に姿勢を低くしたからか相手は多少の驚きを見せた。俺はその隙に『速切り』の連続使用で両足首に切り傷を入れる。思ったより深く刃が入りゴブリンジェネラルは体勢を崩した。


「『首狩り』」


体勢を崩した反動で振り下ろされた大斧の柄を足場にしゴブリンジェネラルの背中に飛び乗り背中から飛び降りる時の勢いを利用して『首狩り』でゴブリンジェネラルの首を切った。

これで討伐完了だ。


「クギャ……?」

「クギャギャ!」

「ギャギャ!」


強ければ強い程、死んだ時の影響力は大きい。それは例えより上の存在が居たとしても適応される、それが自然の摂理だ。まぁ上からかけ離れてる程その影響力は弱いんだけどな。何にしても影響が出ている今がチャンスだ!


「『速切り』!!」

「クギャ」

「クギ!?」

「クギャャ」

「ハク、あまり一人でも先に行かないで!『魔剣生成(小)』!」


なるほど、『魔剣生成』を使って下から剣を出していたのか、素材はそこら辺の小石とか砂なんだろうな。忠告の事は一旦置いておく。何故なら俺はそろそろタイムリミットだからだ。

一軍隊並の数のゴブリンがここに居るんだぞ?しかもどうやら後ろの方にまだゴブリンジェネラルがいるらしい。というか現在進行形で進化しているのか?武器がゴブリンの時のままだぞ?これもゴブリンキングの能力なのか?だとしたら早く倒さないと不味い......!?


「ーーー!?」


ゴブリンを狩っていると横から魔力弾が飛んできた。吹っ飛んで壁にぶつかったが幸いな事に貫通性はなく、致命傷には至ってない。魔力弾が飛んできた方向を見ると黒いローブを着たゴブリンがいた。多分こいつがゴブリンウィザードだな。


「ったく......痛いじゃねーか」


余裕を装ってへらへらしているがこちとらまだスライムの時の傷治ってない病み上がりだぞ?

身体は節々が痛いし、力を入れるのも難しくなってきてる。


「クギャー!ギャ......」

「はぁはぁ」

「クギャギャ!ギャ〜」

「はぁ...ふぅ...はぁ...ふぅ」


もはや動くことは難しく、向かってくるゴブリンを一体ずつ処理するのが限界だ。このままじゃ、間違いなく死ぬ。チラッとホーリー達を見るがあっちもゴブリンに囲まれていて何も見えない。ニロを助けに来たのに、ここで俺達全員が死んだら本末転倒じゃ済まないな。


「ギャギャ!!」

「はぁ!!」

「ギャギャー......」

「グルギャ!!」

「ははは......遂に第二の将軍様の登場かよ」


駄目だ、今の状態じゃあゴブリンジェネラルは殺せない、なんならサンドバックになって死ぬだけだ。せめて盾かなにかが......そうだ、ホーリーの硬化で攻撃を防いで......って何考えてんだよ、俺......


「おらっ!」


俺は自分の頭を殴った。そんなに力が入らない状態だからか痛くはなかった。たが冷静にはなれたと思う。人間は死にかけの時、どうしても自分優先に考えてしまうんだろうなと思った。

俺は仲間であるホーリーを盾にしようとした。テイマーとしては一つの正解なのかもしれないが俺にとって、その行為は間違いだ。だがそんな正論ばっかじゃ生き残れないよな。

そう思ってすぐ、俺はゴブリンジェネラルによって吹っ飛ばされた。受け身の体勢も取れず、強く壁に打ち付けられた。


「あぁ......」


駄目だ、完全に身体が言うことを効かない。俺、ここで死ぬのかな......ははっ旅に出て今日で何日目だっけ......嫌だなぁ、死ぬの。

俺はどうやら戦意喪失したらしい。身体が、心が、このまま楽になろうとしている。


「グギャギャ!!」


最後に見るのがこんな醜い笑顔なのか......

そう思った時、脳内にある言葉が響き、その言葉がスっと声に出た。


「憎い......殺したい......全てを......壊してやりたい」

アフタちゃん「え?なになに急に闇堕ちルート!?」

サブちゃん「いえ、というかハクは闇堕ちしませんよ?」

アフタちゃん「いや、明らかに最後のシーンで闇堕ちしてるでしょ!?というかハクこの短期間で死にかけ過ぎじゃない?作者はもっとハクに優しくしてあげて!!」

サブちゃん「アフタちゃんの事は無視しといて......最後のシーンはハクが現在持っているものに影響を受けてます」

アフタちゃん「無視しないで!?そしてハクが持っているもの......まさか!?いや、入手経緯がおかしかったけどさ!?」

サブちゃん「お?今回はここまでですね!それでは次回もお楽しみに〜!」

アフタちゃん「あれ?最後の方の私のセリフなし!?作者のバカヤロ〜!!」

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