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ダンジョン侵入

洞窟に入るとまず目に入ったのは武装をしていたゴブリンだった。木の棍棒を持ち、胴体にはレザーアーマーを着ていた。


「へぇ.....これはちょっと厄介そうだねぇ」


そう呟きながらおじさんはゴブリンを一刀両断していた。そういえばおじさんの持っている武器は剣とは異なっているけど……なんなんだろう?


「うん?あぁそういえばこの辺では珍しいんだったっけねぇ、この武器の名は刀って言ってね、おじさんが東の大陸で買ったものだよ」

「東の大陸?あの、おじさんは一体どこから……

「ほら、急がないとニロちゃんが死んじゃうよ?」


出身地を聞こうとするとおじさんは言葉を遮ってから洞窟の奥に足を進め始めた。どうやら教えてくれないらしい。


「そういえば何が厄介なんですか?武装したゴブリンはあんまり珍しくないはずですけど……」


ゴブリンは弱い魔物の筆頭だが手先が器用で武器を持っている事や装備を着ている事はそんなに珍しくない。だとしたら何が厄介なんだろうか?


「そうだねぇ……これは経験するしかないから分からないのも当然だね、ゴブリンってのは基本的に群れているんだ、一匹一匹は弱いからね。けどあのゴブリンは弱いのに群れていなかった、勿論群れとはぐれた可能性はあるけどあのゴブリンの感じからして……」


おじさんが話すのを途中でやめた、何故かと思っていると遠くから何かが大勢こっちに向かってきているのか大量の足音が聞こえる。


「ホーリー、『索敵』頼む」

「分かりました、『索敵』…………相手はゴブリンソルジャーとゴブリンウィザード、それにハイゴブリンです!」

「なっ!?」

「へぇ……これは想像以上のダンジョンかもねぇ」


ゴブリンソルジャーにゴブリンウィザードといえばゴブリンの派生種でスキルを身につけたゴブリンで魔法系はゴブリンウィザード、物理系はゴブリンソルジャーだ。そしてハイゴブリンは二つ以上のスキルを持っているのが殆どだ。

正直、冒険者になったばっかりのルーキーではまず勝つのは不可能だ。

どう戦うか考えてる間にゴブリンが目に見える距離にまで来ていた。どうしようもないと考えているとおじさんが刀を鞘に戻して姿勢を低くしていた。


「お、おじさん、一体何をするつもりなんですか!?」

「ご主人様、多分ですが近づいたら駄目です。巻き込まれる予感がします」


いや、それは見れば分かるだろ、と心の中でホーリーにツッコミをしているとおじさんが目をつぶった。


「ふぅー……『抜刀術 死祭り(デスパーティ)』」


おじさんが刀を鞘から少し抜いたその後、目には見えない速さで何かが通ったという事だけしか分からなかった。そしてゴブリン達を見てみると全て例外なく切られていた。


「いやぁ……おじさん、久しぶりに『抜刀術』なんて使ったよ。やっぱり疲れるねぇ……さっニロちゃんを探そっか」

「あ、は、はい!」


俺はおじさんの抜刀術を見てから話しかけられるまでその場で立ち尽くしていた、生物としての格の違いを見せつけられたような、そんな気がした。俺はいつか、おじさんに勝てるようになれるのだろうか?


「あの……今更なんですが、名前教えて下さい」

「本当に今更だねぇ……それに、おじさんはおじさんで良いんだよ」


ん?ちょっと何言ってるか分からないがおじさんで良いらしい。って呼び方の問題じゃない


「いや、呼び方じゃなくて……単純に知りたいんです、おじさんの事が」


人の強さには必ず理由があると昔親父に教えられた。親父は強かった、けどそんな親父も今では行方不明……ってそんな事は今はいい。俺はただおじさんの強さの秘密を知りたいだけだ。


「おじさんの事を知ったってなんの得にもならないよ……まぁ一つだけ言うなら昔仕えていた人が居てね、その人の為にただ強くなろうと思って努力して気づいたらここまで強くなっていたってだけだよ」


そう語ったおじさんの顔は昔を懐かしむような、それでいて寂しそうな顔をしていた。多分既にその人は……これ以上は聞くべきでは無いな。


「教えて下さりありがとうございます、それじゃあニロの為にさっさと進みましょうか」

「そうだね」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それからはひたすらに洞窟の中を進んだ。階段があり既に二回降りている。道中にも大量のゴブリンが居たが全ておじさんが倒していた。正直俺達はただ後ろから見ているだけだ、何かできればと思うが早すぎて動きすら見えない。圧倒的実力差を感じるのが限界だった。


「ん?これは……」

「あっ!ご主人様、人間の反応です!『索敵』に人間の反応がありました!ちゃんと生きた人間の反応です!」

「本当か!?」


おじさんは探知系のスキルを持っているのかホーリーより早く気づいたらしいがそんな事はどうでもいい。ニロが生きていると分かっただけでも大きな情報だ。


「どうやらニロちゃんはこの階の奥の方に居るっぽいね、ハクはニロちゃんの方をお願いできるかい?」

「うん?それだとおじさんは何を……ってまさか!?」

「え?普通に分かんないんですけどこの人は何をしようとしてるんですか!?」


ホーリーは分からなかったらしい。ダンジョンで強いおじさんがニロを方を任せて単独行動する理由、そんなの……


「ダンジョンブレイクする気なんですか!?」

「うん、そうだよ。ゴブリンは繁殖能力が高いからね、スタンピートを起こす前に潰しておかないといけないんだよ。という訳で頼んだよ!」


おじさんはそう言うと急に姿を消した。おじさんは本気で動くと目で追えない程早く動けるのか……『抜刀術』には必須のスキルなんだろうなぁ


「ほらご主人様、あの人に負けないように急ぎますよ!」

「そうだな、それじゃあ急ぐぞ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それからホーリーの案内でできるだけゴブリンと遭遇しないようにしながらニロがいる場所を目指した。


「グギャ!?」

「よし、これで進めるな」


近くの石を拾い、奥に投げてゴブリンの気を引き後ろからの奇襲で倒さないと進めないのは面倒だが特に苦戦することなく倒せているので問題はない。


「もうすぐで着きます!」

「もうすぐって……ここら辺は隠れられる場所が見当たらないんだが……」


走りながら隠れられる場所を探すが長時間隠れられるくらい大きな岩や建物なんかは一切なく、おかしな事にゴブリンも見当たらなかった。


「ホーリー、本当にここら辺にニロがいるのか?」

「ニロさんかは分かりませんが、私の『索敵』はここを指してます。ん?ご主人様、あの岩変じゃありませんか?」

「え?」


ホーリーが向いた方向の先には大きいとも小さいとも言えない岩がある。しかもポツンとそこだけに。確かに変ではある、けどもちゃんと見るまでは変とも感じなかったし……認識阻害を受けていたのか?とりあえず話しかけてみるか


「おーい、ニロ聞こえてるなら返事をしろ!」

「…………」


残念ながら返事は無い。うーん別人か?けども洞窟に入るのなんてダンジョン探してる冒険者か魔物ぐらいしか思いつかないしなぁ……よし、思い切って攻撃してみるか!


「『アースクラッシュ』!」

「ちょっ!?何してるんですかご主人様!?」

「何って……初級土魔法だよ」


初級土魔法アースクラッシュ、なんかこの前の魔力暴走未遂のおかげか土魔法が使えるようになって最初に使えるようになった魔法の一つで地面限定だが軽い爆発を起こせる魔法だ。大岩程度ならギリギリ壊せる程度の威力は出る、というか出た。

さぁて、土埃が無くなってきた……ご尊顔を見せてもらおうか!


「ケホッケホッ……いきなり魔法撃ったのはどこの馬鹿よ!?」


…………黒いローブの人が出てきたんだがどうすれば良いんだ、これ?あっけど身長や声はニロとほぼ同じだ、つまり……ニロ?


「えーっと、ニロ……で合ってるのか?」

「え?ってハクじゃない!良かった、目が覚めたのね!」

「いや、まぁそうなんだが……なんでお前岩になってたんだ?」

「あはは、えーっとねぇ……」


簡単に話を纏めると魔法が使えるゴブリンの攻撃で岩になったらしい。

魔法が使えるゴブリン……ゴブリンウィザードか?本当にそうだとしたらこのダンジョン、相当レベルが高いな……多分ダンジョンブレイク推定ランクはD〜Cだろう、俺達に攻略は無理だ。


「ちょっとハク、話ちゃんと最後まで聞いてた?」

「聞いてたよ、とりあえず俺達はダンジョンを出るぞ」

「ねぇ話の逸らしかたに無理があるわよ?それに師匠はどうするのよ、一緒に来てるのよね?」

「あぁそうだが……あのおじさんは一人でも大丈夫だから問題ない」

「えぇ……けどそれじゃあ」

「ご主人様!!話してる途中で申し訳ないですが魔物の集団が凄い速度で向かってきています!」


ニロが何かを言おうとしたのに被せて、ホーリーが大声で緊急事態を知らせてくれた。

これあれだ、魔法が解消されたら術者本人の方が感知できる系だったんだ。ってそんな呑気な事考えてる暇ないな!?


「おいニロ!今すぐ戦闘態勢を取れ!!」

「ちょ、なんでよ!?というかホーリーちゃんはなんて言ったの!?」

「大量の魔物がこっちに向かってきてるんだってよ!緊急事態だ、急げ!」

「分かったわ!!」


大勢の何かが走ってくる音がどんどん大きくなっていく。まぁ十中八九魔物、それもゴブリンなんだが……一体何体来てるんだよ!?俺達だけで捌ききれるのか……?


「ホーリー、推定何体か分かるか?」

「現在『索敵』に引っかかっているのは20体ですが……まだ増え続けてます」

「ははは……マジかよ」


どうやらゴブリンとて少数の仲間で来ようと思う程馬鹿ではなかったらしい。いや、本来のゴブリンにそんな知性は無い。間違いなく、指揮官となる存在がいる。まぁその指揮官がこのダンジョンの主なんだろうな


「ハク、第一陣が見えてきたわよ!!」


ニロのその言葉で思考を切り替えた。

今は考え事してる余裕なんてない、まずは目の前の窮地を脱しないとな


「『初級土魔法 アースニードル』!」

「えっ!?ハクって魔法が使えるようになってたの!?」

「まぁな」


初級土魔法 アースニードル、地面から何本かの棘を出す魔法だ。これで何体かのゴブリンを倒せたら良かったんだが……結果は二体、か。まぁ倒せないよりかはマシだな。


「グギャー!」「クギャ!」「クギャギャ!」……


「ここまで沢山いると気持ち悪いな……ニロ、ホーリー、突っ込むぞ!」

「了解よ!」

「分かりました!」


こうして俺達とゴブリン(大量)との戦いが始まった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※ダンジョン(洞窟)奥地


「グォォ……!」

「はぁ……まさかとは思ったけどエンペラーかぁ」

「グオォォ!!」

「はぁ……勝てると思うなよ、ゴブリン風情が」


ゴブリンエンペラーが持っていた大剣を振り上げると同時に腕が消え、大剣が折られていた。


「お?若者に大きな壁かぁ……良いねぇ、結末が決まるまで待ってあげようか。って事でそれまでは生かしといて上げるよ」

「グ……ォ」

「あ、コアの位置はもう分かってるから変なことをしない方が良いよ?別にコアさえ壊さなければダンジョン自体は生き残るからね。まぁそれだとせっかくの壁が低くなるから生かされてるって事を忘れんなよ?」

「グォ……」


アフタちゃん「おぉ〜……次回はハク達とゴブリンとの死闘かな?これは楽しみだね〜」

サブちゃん「あれ?おじさんについては触れないんですね」

アフタちゃん「だってさぁなんか明らかな強者じゃん?で、ホーリーから人外認定でしょ?」

サブちゃん「そうですね」

アフタちゃん「だとしたらもう……ね?正体絶対にあれ関連じゃん!」

サブちゃん「あれってなんですか?」

アフタちゃん「あれって言ったら……あれだよ!」

サブちゃん「もしかして分かってるふう装って分かってないんですか?」

アフタちゃん「良いの!?言うからね!?壮大なネタバレだからね!?絶対おじさんは魔王関連なんでしょ!?」

サブちゃん「おぉ〜まっ正解かどうかは言いませんけどね。正解か間違いかの一文字目を言うなら《ま》ですね」

アフタちゃん「え!?じゃあなんなの!?」

サブちゃん「それじゃあ今回はここまでです、次回もお楽しみに〜!」

アフタちゃん「答えろよぉぉ!!」

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