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不死鳥 チキン南蛮 仲介業者

作者: IronLotus

こんな夢を見た。

ある日、買い物に行くと、いつもの繁華街で、不死鳥の肉が売りに出されていた。

不死鳥ならば肉は残るまい、おおかた偽物だろうと思うと、どうやらそうではない、不死鳥とは不死であって不老ではなく、老いた所を「えいや」とひと思いに特殊な制法を以て締めたものらしい。

聞けば、一口食べれば滋養強壮、二口食べれば無病息災、三口食べれば不老長寿間違いなしというのだ。

威勢の良い売り文句に叩かれるまま、同量の鶏の3倍程度の値段でそれを買った私は、早速帰ってそれをチキン南蛮にするべく仕込みをはじめた。

ただ、下ごしらえの途中でタルタルソースを忘れていたことに気づき、その日はそのまま寝てしまった。

翌日目が覚めると、台所には紅く小さく燻るひよこがいた。

こうなると食えたものではないな、と眺めていると来客がある。

出てみると物々しい様相の警部が現れ、昨日街で不死鳥の肉を買わなかったかと言う。

あんな様子ですよ、と台所を指差すと警部は安心した様子で

「いや、食ってないならよかった。万が一食っていると、えらいことだった。」

と胸をなでおろす。

聞けば、私にそれを売ったのは悪辣な仲介業者で、幾度でも灰から出づる不死鳥の性質を悪用し、幾度でも売れる肉として不死鳥の身を悪用していたというのだ。

ここにいる、まだ目も開かぬひよこは、その不死鳥の一部なのだという。

小さくともやはり不死鳥ではあるので、警部は分厚い耐火手袋でもって、重そうな鳥かごにそれを詰めた。

被害の補填などは追って連絡させていただきます、と慌ただしく去った警部と紅いひよこを見送ると、なんだか無性に腹が減ったので、近場のチェーン店で牛丼を食べにいった。


もしあの不死鳥を食べていたらどうなっていたのか…?

そう思うと、鳥肉はしばらく食べられないと思った。

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