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ローファンタジーに魔剣はいらない。  作者: 沖傘
どうせアニメ2期くらいになったら擬人化する。
4/4

真の勇者

「おい...おい!起きろって!!」


 肩を強く揺さぶられ、一気に目が覚める。次の瞬間、伸びをする暇もなく、目の前にとんでもない光景が広がってきた。

 どこかしこから聞こえてくる生徒の悲鳴、怒号を飛ばす教師、吹き飛んでくるパイプ椅子。いつのまにか舞台上に現れた巨大なスライムが、その体から幾つもの触手を伸ばし、暴れ回っている。


「な、なんだコレ!?」


「知らねえよ!お前も早く逃げ...うわ!?」


 頭上の何かに驚いて逃げ出す同級生。次の瞬間、視線を追う暇も無く、吹き飛んできた何かに押しつぶされた。


「ぶほぁ!?」


「うう...」


 パイプ椅子から転がり落ち、冷たい床に叩きつけられて一瞬止まる呼吸。何かが呻く声が聞こえ、かろうじて顔を上げると、巨大スライムに吹き飛ばされたであろう生徒が覆い被さっていた。


「いたた...あっ!?ごっ、ごめんなさい!大丈夫!?」


「俺は大丈夫だから...早く...どいて...」


「そ、そうだね...よいしょ...」


久万(くま)ぁーーーッ!!」


「ぶばぁッ!?」


 やっと体の重しが無くなろうとしていた所に、聞き覚えのある大声の主に勢いよく腹部を踏みつけられた。


「ぶ、部長!」


 催してきた吐き気に耐えながら再び顔を上げると、勇者部の部長がその手に剣と盾を携え、俺の上に仁王立ちしていた。


「無事のようだな!ネブが向こうで避難誘導をしているから、手伝ってやってくれ!」


「は、はい...!部長は...!?」


「勿論、戦う!」


「む...無茶ですよ!あのスライム、あんなに大きくて...絶対勝てないです...!」


「...よく聞け、久万」


「はい...」


「私はこの世界に生まれ落ちた時から、勇者となるために全てを捧げてきている。そんな私から、ありがたい言葉をくれてやろう。お前も勇者を志して長いな?」


「考えたこともなかったです」


「...それはそれとして。ともかく!勇者は生まれ持った力や、血筋で決定されるものではない!真の勇者とは!恐怖に抗い!自らを顧みず!他者の為に行動を起こす者のこ」


「なんでもいいから早く降りろォ!!!」


 いつまでも人の上で会話を続ける二人を怒鳴りつける。久万と呼ばれた生徒は思い出したかのようにずるりと体を起こし、部長の方は「お前いたんか」とでも言いたげな顔で驚き、そっと俺を踏み締めていた足を下ろした。


「...あっ!!貴様さっき逃げた失礼なヤツか!!」


「どの口が言っとんじゃァ!!」

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