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アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
尊き君に愛を謳う、遠き君に哀を詠う 第六節

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side:Team.E


 ────────……


 ──────……


 ────……




 ◇【隔世ノ擬神像アポクリフェイト・ヴェルミカーネ】を討伐しました◇


 ◇第百層の攻略を確認しました◇



 ◇基底樹路の完全踏破を確認しました◇






「「────きぃッッッッッッッッッッッッッッッつぅ……!!!!!」」


 決して頂上ではないと明確に告げられながらも、紛れもなく遥かな高み。


 鍵樹迷宮は第百層の最奥にて。異形の巨躯を緑光と散らした女神像の残滓に照らされながら、同時に背から倒れ伏した勇士二人は意気投合の叫びを天井へ投げた。


「アホちゃうかマジ……! ゴリゴリの少人数お断り案件オーバーレイドやんけッ……‼︎」


 片や、堪らずカランと槍を傍らに放った虎柄衣装のツンツン茶髪。


「そもそも完全上位互換・・・・・・無理ダメだって……!」


 片や、取り落とすように両脇に力なく双短剣を投げた軽装ふわふわ鉄色ヘア。


 【大虎】と【重戦車】────それぞれ北陣営の七位および南陣営の二位であり、揃って突出した対人戦闘力だけでなく対エネミー戦に関しても高位寄り。


 そんな二人が大の字になって口々に文句を叫んでいる……ならば当然、


「………………コレを、二人で、伸したのかい。剣の御二方……」


 例えば、キャラを守るため辛うじて倒れず座るに留めている黒衣一色。


「…………………………どうやって一般勢がクリアする想定なんだ……?」


 例えば、誰よりも駆けずり回った果て真っ先に倒れ伏していたヒーロースーツ。


 単純な武力に限って『序列持ちの中では控え目』に位置付ける【詩人】と【散溢】……それぞれ南の九位と北の六位が息も絶え絶えなのは、極自然なこと。



 ()()()()()()()()()()()()()()()()()



 だがそれは『序列持ちパーティが惜しまず力を振るった結果』であり、未知の怪物を相手に二時間も全力を要すとなれば如何な天上人とて疲労は避けられない。


 誰も彼もが無尽蔵と思えるほどの仮想的体力スタミナを持つ【剣ノ女王】や【剣聖】あるいは【無双】……加えて【曲芸師】のような枠外存在ではないのだ。


 冠を戴けどもヒト。限界に達すれば倒れもする。



 つまるところ、裏を返せば、


「────ふぁ、ぁ……ぅ…………おつか……ぇ……おやす……………………」


 お役目は終えたとばかり、暢気な大欠伸を残して夢の世界へ旅立つ少女とか。


「………………ふん」


 緑光を静かに眺めつつ、なにを思うか軽薄な笑みを零す彼あるいは彼女とか。


 怪物相手とて、相性差やプレイスタイルを理由に必死を要さないのであれば。いくら踊ろうとも汗の一つも散らさないのが仮想世界の序列持ちである。


 斯くして、今日も今日とて顕現した〝城〟の寝台にて眠りに落ちる【城主】然り。いつもの如く銀麗の美貌を愛想皆無な表情で染める【銀幕】然り。


 ここ二週間弱・・・・・・。終始それぞれ変わらぬ様子と余裕を貫いた二名のパーティメンバーを横目に、ぶっ倒れているリーダーは誰にも聞かれぬ静かな溜息を一つ。


「ったく……。ほんま無限に可愛げないやっちゃで、いけ好かん」


 槍を拾い上げつつバネのように跳ね起きると共に、余裕組二人……既に意識を微睡に浸らせている少女は置いておき、優しくない言葉を片割れへ投げ付けた。


 勿論のこと、言葉に反して顔も声音も冗談塗れの揶揄い塗れ。


「っは、んなもん私に求めんな」


 然らば受け取る方も受け取る方。二週間近くの付き合いプラス以前からの面識交流も併せて、既に相性判定や人柄様子見の段階は遥か過去。


 【大虎】と【銀幕】────顔を合わせれば自然と始まる憎まれ口の応酬は、今に始まった話ではなく。仲が良くもなければ悪くもない延々フラットな関係は周知の事実、仲間たちも今更に反応を見せたりはしない。


 前者が絡み、後者が蹴り返す。


 ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と、彼あるいは彼女の難儀な性質を知る仲間ものたちが揃って微笑ましく見守っているのは、言わずもがなだ。


「はぁ…………──さておき、俺たちが二位かな?」


 そんな悪友ならぬ悪知人の定例じゃれあいを他所に。リーダーに続いて、こちらは「よっこいしょ」と緩やかに身体を起こしたユニが独り言ちる。


 誰へ向けたものでもない、誰かが反応するだろうという類の呟きを、


「うん、二位だね。今のところ百層踏破の報告はナシだよ」


 拾うのは、同陣営の八咫。展開したコミュニティウィンドウに目を通しながら返した同僚の言葉に、ユニは己の魂依器を拾い上げながら「はは」と軽く笑い──


「ま、そりゃそうか。ウチ暇人の集まりだったし」


「なんでやねん暇ちゃうわ」


「一緒にすんな暇じゃねぇわ」


 即座のツッコミが仲良く二つ。それに続く苦笑いが揃って二つ。


 そして残るは……。



「んん……、……ぅゆ………………………………」



 ────安らかな寝息が一つ、といったところで。


 期限まで残り三日の木曜日、五十層からの所要時間おおよそ十一日。


「はぁ……まあええわ。全員おつかれさん」


「トラもね。リーダーおつかれさま」


 【大虎】率いるEチームは無事、順位二着にて鍵樹攻略を締め括った。






トラチョロ以上にユニトラは相性良さそうだよね。良き。

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― 新着の感想 ―
825話と847話を見る限り100階のボスってハルソラの能力を混合タイプな気がする...    少なくとも白座戦と楽園の関わりあるエネミー視点(?)を考えると825話でハルソラが出てるし、847話…
無尽蔵とは言いつつ一応緑繋戦(おそらく前座)で曲芸師さんは寝落ちするほどではありましたから...。(なおそこまでの過程と戦果と経過時間は考えないものとする。) 【隔世ノ擬神像】...隔世?...そうい…
>誰も彼もが無尽蔵と思えるほどの仮想的体力を持つ【剣ノ女王】や【剣聖】あるいは【無双】……加えて【曲芸師】のような枠外存在ではないのだ。 しれっとハルも化け物扱いで草 百層ボスがどういう系か分からん…
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