王威通過後
◇【土ノ魔人】を討伐しました◇
◇第九十層の攻略を確認しました◇
・報酬が贈与されます────【緑宝ノ盟珠】を獲得しました。
◇秘匿忘楔【土ノ魔人 ロゥドノディン】の討伐を確認しました◇
・報酬が贈与されます────【土魔ノ宝雫:魔賜】を獲得しました。
◇称号を獲得しました◇
・『秘匿暴礼』
◇スキルを獲得しました◇
・《四柱継抱》
「────……こんなもんか。ま、相性も有利寄りだったしな」
階層全体を揺らすかのような、深く激しい大地の叫びが如き大震動。それを足の裏で受け止めつつ、ポツリ呟くは拍子抜けを示す言葉。
ステータス……は、ともかくとして。おおよそ四分強に亘る戦闘もとい一方的な蹂躙劇にて被弾ゼロ、それゆえ身体に傷は刻まれていない。
そうして地揺れと緑光、とりあえずの最後と思しき魔人が残した残滓の中で、輝く白金の〝鎧〟が宙を舞うまま光の粒子となって霧散した。
完勝も完勝、いっそ申し訳なくなるほどの完封試合を叩き付けた果て────
◇【真説:王鍵を謡う契鎧】がスキルを獲得しました◇
・《メテオバスター》
・《ギガント・ウェーブ》
・《ジガ・インパルス》
・《プリミティブ・クライ》
・《レディレントハート》
◇【真説:王鍵を謡う契鎧】のスキルが成長しました◇
・《大剣適性》⇒《捧剣執行手》
・《グランドスマッシャー》⇒《ノア・グランデスト》
・《スカイクラッシャー》⇒《コスモサイト・ノヴァ》
・《リガストハープーン》⇒《アガストラルレイ》
・《ガッツウィル》⇒《失釰剛拳》
・《メテオバスター》⇒《メテオライト・ガッシュ》
・《ギガント・ウェーブ》⇒《タイタン・ブレーカー》
・《プリミティブ・クライ》⇒《ハウルフォース》
・《レディレントハート》⇒《身剣一体》
────とまあ、そんな具合にリザルトが長いこと長いこと。
諸々の仕様から仕方ないとはいえ、一息で読みつつ理解するには少々しんどいレベルで何行も何行も積み重なるログの洪水。
視界端のソレを目で追い苦笑いを浮かべつつ……俺は満足半分の物足りなさ半分が締める心のまま、役目を終えた【廻り回輝する楔の霊剣】を宙へ放った。
然らば、解放状態の双腕および賢頭に次いで剣も解け消え元通り。基本状態こと手套深靴を手足に残して、辿り着いた『真説』の力を存分に………。
ま、半分は魅せ付けられたであろう【真説:王鍵を謡う契鎧】は黙した。
「おつかれさん。……次は、もっとガッツリ本気出せるといいな?」
なんて、思わぬ抜群好相性にて土ノ魔人をボコボコにしてしまった我が語手武装へ冗談めかして語り掛けたところで────
「まあとりあえず。全力披露一発目は、以上ぁッ!!!!!」
言うまでもなく、背中に、ひしひし、ずッッッッッッッと感じていたモノ。
即ち親愛なるパーティメンバーの視線×五へガバッと振り向き拳を突き上げ、迫真のスタンディングを披露してみればハイ知ってた。
若干一名のニコニコほわほわ、更に加えて一名の高テンション不器用ホクホク仏頂面を除いて、俺を見る常識人寄り三名の瞳は完全に『いつもの』であった。
◇◆◇◆◇
────早い話が、俺にとって二つ目の『明確な意志在る武装』ってなわけだ。
ゆうて【真白の星剣】の如く自発的かつ好き勝手に動き回ったりはしないが、それはおそらく【真説:王鍵を謡う契鎧】の〝性格〟が理由にすぎないだろう。
気ままな相棒こと星剣に対して、忠実な僕たる契鎧。
基本形態の自在展開可能な『鎧』然り、解放形態のVer.1こと『腕』然り。契鎧が自発的に動くのは主、つまり俺に迫る脅威を俺自身が対処しようとしない場合のみ。
例の『被撃転換』を含む自動防御を除けば、命令なくして逸ることはない。
これに関して肝なのは、俺に委ねられているのは『指示』であって『操作』ではないということ。先の戦闘で魔人の殺人パンチを捻った技は俺が思考によってどうこうしたわけではなく、正真正銘『腕』の技巧による物ということだ。
つまるところ、実質【神楔の王剣】そのものである。
砂漠に秘されし亡路の最奥にて挑戦者を待ち受け、試練を望む者の武威を学習模倣することで、プレイヤーの上位互換めいた圧倒的脅威と成り得る巨鎧の騎士。
高みに至り〝武威の学習〟を完璧に発現させた【真説:王鍵を謡う契鎧】は、俺が辿る戦いの中で読み取った経験から力と知を蓄積することで────
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◇Status / Teller◇
Name:真説:王鍵を謡う契鎧
VIT(頑強):200
◇Skill◇
・捧剣の執行手
《ノア・グランデスト》
《コスモサイト・ノヴァ》
《ジガ・インパルス》
《アガストラルレイ》
《メテオライト・ガッシュ》
《タイタン・ブレーカー》
《ハウルフォース》
《身剣一体》
《失釰剛拳》
・Passive
《王義完現》
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単なる武装を超えて、不完全ながらもステータスを獲得するに至ったわけだ。
ちなみに半分推測になるが、おそらく獲得可能なスキルは大元の由来【神楔の王剣】の基本武装である『大剣』カテゴリのアレコレのみ。
更に加えて、回帰霊剣を握った俺が大剣ツリーの攻撃技ことグラスマを発動できたことから察せられるだろう。この『ステータス』は────……
「完全着装時か顕現解放時限定だけど、俺の追加ステにもなるってな寸法よ」
「もう純粋に犯罪ですね」
「ちな、ステ以外に装備としての補正値でVIT+100続投な」
「流石に逮捕された方が良いのでは?」
と、いうことだ。……そんなこんなで、長い長い解説は一区切り。
然らば、冗談か否か割かし辛辣な感想を普通に真面目な声音で寄越してきたのはショウとレン。その奥でデフォのニコニコほわほわ聖女様はヨシとして、兄弟の言には同意しかできないゆえ俺は慎ましやかに微笑むのみである。
さておき、主に誰のためかと言えば興味と興奮を仏頂面で爆発させていたゲンさんのための説明会だったが、思いのほか時間が掛かってしまった。
キリも良いし、九十一層以降の攻略は明日に持ち越しだろう────
「……ハル?」
「はいなんでしょう」
「ニヤニヤしないでください」
「やだ見ないで」
お隣ジト目の相棒曰く、どうやら微笑みではなくニヤつきになっていた模様。
恥ずかしい。
とりあえず半分は情報開示できたよ(絶望)
ちなみにドバっと出た大剣スキルに関しては特に気にしなくてオーケー。
大体は純粋アサルトかつ基本『腕』がバカスカ使って大暴れするだけだからね。