表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
尊き君に愛を謳う、遠き君に哀を詠う 第四節
832/980

Re:観測者たち

「────……おおよそ、想定通りの運びではありますね」


「そう、だな」


 複数の大型モニターから滲む明かりのみが照らす薄闇の部屋。観測者として己が席に座す男が一人と、その傍らに立つ雇い主が一人ずつ。


 それぞれの瞳が映す画面を賑やかに彩るのは、決して自分らが触れること叶わぬ遠い夢の世界の語りごと。資格者たちが遊び生きる、そのもの英雄譚を形にしたが如き────夢幻にして無限の可能性を描く壮大な舞台。


 そんな輝きに満ちた光景を眺める二人の顔には、


「「………………」」


 今に限り、沸き立ち浮き立つような感情の色は皆無。ただ一つの存在、形容し難い〝黒〟を見つめながら、識る者たちは蚊帳の外にて来たる未来を思うだけ。


 ふと、二対四つの視線が同期する。共に〝黒〟と同じ黒……けれども、確かに今を生きる存在として意思を宿した黒目が、同じ〝者〟へと向けられる。


 それは果たして、誰であったか────知るのは本人たちばかり。斯くして片方、自らの足で立っていた雇い主が踵を返し、モニター群へ背を向けた。


「もう宜しいので?」


「今回については、元より結果がわかっているからね」


 引き留めるでもなく掛けられた言葉へ、四谷徹吾が返すは穏やかな声音。


「私は一足先に、後の問題・・・・へ備えておくとするよ」


 そうして、薄闇の『部屋』から気配が一つ忽然と消える。なんとはなしに、あるいは見送るように、振り返った千歳和晴の目に映るのは、



「………………ご苦労様です。心から」



 出入り口の存在しない立方体に満ちる、無人の空気のみであった。






今日中にもう一本更新しますが、今これから描き始めるので早くとも23:00予定。

良い子のアルカディアンは健やかに寝て待たれよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
カラードの黒・・・だったり?
なんか緑繋攻略で現実にもアルカディアが侵食してきそうなのが今までの言動からしてあり得そうなのが怖いですね
黒いのは生きていた誰かのなれの果て?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ