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アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
尊き君に愛を謳う、遠き君に哀を詠う 第四節
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一方その頃(過去)


【Iris】:ハル


【Iris】:今、どこにいるの?



 ────────────……


 ──────────……


 ────────……


 ──────……


【Haru】ぶっちぎり遠かった塔に現着

【Haru】今から潜る。他二つは任せた


 ────────────……


 ──────────……


 ────────……


 ──────……


 ────……


【DooBru】:大虎班に合流したので報告します

【DooBru】:『竜』型の特異個体【adminiアドミニstratorストレータ:01】を撃破済み

【DooBru】:現在コンソール解析中。鉄延殿曰く進捗は「まずまず」とのこと


【DooBru】:更に報告。追加で小隊二組が合流

【DooBru】:職人四名にて解析継続。進展あり次第また連絡します


 ──────……


 ────……


 ──……


【Sora】:【adminiアドミニstratorストレータ:04】を倒しました。

【Sora】:モチーフは不明。説明が難しいので詳細な情報は別の場で共有します。

【Sora】:現在【遊火人】さんと【百発屋】さんの二名が解析中です。


【Sora】:報告終わります。こちらも進展がありましたら、また。


 ────────……


 ──────……


 ────……


【Gin】:ソラちゃんグループに合流

【Gin】:途中で剣聖様も拾ったさかい、一箇所に戦力えらい浮いとるよ

【Gin】:時間あれやし、解析しとる間は近場のダンジョン周っとこうか?


【Iris】:ジンは待機。連絡役は貴方が適任

【Iris】:東の二人にお願いして。それぞれ単騎で十分でしょう

【Gin】:了解。ソラちゃんは?

【Iris】:待機。職人の護衛を彼女に任せて

【Iris】:ソラ一人で十二分よ。追加の増員があれば同じく時間稼ぎに割り当てて

【Iris】:ただし塔の近場に限る。各々の脚で百秒以内に戻れる範囲に限定


【Gin】:了解しました。ほなね


 ──────……


 ────……


【Haru】:【adminiアドミニstratorストレータ:03】撃破。亀型

【Haru】:コンソールはニアが解析中


【Haru】:アー

【Haru】:アイリス、今ここ見てるか?



【Haru】:オーケー。連絡終わる


 ──────────……


 ────────……


 ──────……


 ────……


【Rickey】:トラさんチームに合流した

【Rickey】:進捗は相変わらず「まずまず」らしい



 ◇◆◇◆◇



「…………」


「ったく、クソ面倒な仕様だわなぁ」


 それは果たして、想い人の呼び掛けにタイミング悪く答えられなかったことが理由か否か。そこまで親しいわけでなくとも薄っすら読み取れてしまう不満気な無表情を横目に呟けば、無敵の姫君は刹那の内に取り繕い・・・・


「ん。どう工夫しても、十全な連携は望めない。もしナツメが序列ここへ台頭してくれていなかったらと考えると……前回までと同じく攻略は絶望的だったかも、ね」


 お澄まし顔で冷静を装うアイリスを見て、こころは小さく笑みを浮かべた。


 重ねて、特に交友を持っていたわけではない。なればこそ、そんな自分でさえ読み取れてしまう程度まで表情豊か・・・・になっているということ。


「カウント見ろよ。今回も既に、わりかし絶望的だぜ?」


「…………」


 ほら。適当な意地悪を言っただけでも、この通り。


 相も変わらず察知困難の極みではあるが、微と無では真実えらい違い。無類の負けず嫌いから滲んだものだろうムッとした表情が、大層可愛らしいではないか。


「……ハルから、追加の連絡がないんだもの」


 そして、次いでの表情も同様に。


 残るカウントは僅か三つ────即ち残り三十秒と少しで攻略の是非が決まってしまう状況に在って、よくもまあそんな顔ができるものだと感心するばかり。


 一体全体、なにを思って今、笑みに至れるのやらと。


「周りも含めて、()()()()()()()()()()()()()()()()()時は……────」


「時は?」


 文字通りの圧倒的最高戦力ゆえ、最高効率の時間稼ぎを望まれたのだろう。


 その手に巻かれた〝糸〟が彼女を塔へ引くことはなく、開戦よりペースを落とすことなくダンジョンを蹂躙し続ける【剣ノ女王】が足を止めずに微笑んだ。


 笑んで、暫し口を噤み、まるで焦らすように……。



 これから、なにが起こるのかを、信じていたかわかっていたかのように。



 数えて、ちょうど三十秒。



「────ほら、ね」



 愛おし気な呟きと、先の激震に勝るとも劣らぬ大激震。同時に去来した二つのモノへ、名高き【灼腕】が返すは……当然のこと、呆れ果てた笑み一つだけ。


「どういう信頼関係だよアンタら。夫婦か」


「そうね。将来的には」


「あーあ、ここ絶対にアーカイブで使ってやろ。曲芸師と世界中にいるアンタのファンが一体どんな顔すんのか見ものだね」


「ふふ」


「余裕綽々で笑ってんじゃねぇよ。相変わらず揶揄い甲斐のない奴だぜ────」




 斯くして、ある意味での似た者同士。


 逼迫した状況に追い回されながら終ぞ会話に緊張感を交えなかった二人が、一方を抱える一方の脚に運ばれるまま豪速でフィールドを駆けてゆく。


 詳細不明、二度目の変遷。ステータスバーから消失した時間制限タイムリミット


 なにが起こったのかなど知る由もなし。ただ一つ理解できるのは、このレイドがまだまだ続くのだろうということだけ────然らば、


 進路を転じて近場の塔へと一直線に向かう二人の視界端。突如に訪れた甚大な異変を理由に、避けようもなく沸き立つレイドチャットの末尾……。






【早駆】:現着


 こちらも誰かさんとの似た者同士。


 あるいは誰かさん以上に簡潔かつ端的で……その実、単なる口下手てれやなだけ。レイドで唯一開幕からソロ運用・・・・・・・・されていた者の声音が、文字としてポツリと記された。






どこに着いたのか書けよなハヤガケ氏はどうでもいいとして、

一生懸命カチッとした文章を書いたのであろうソラさん可愛いですね。

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― 新着の感想 ―
姫かわ 早駆□ あとがきで他でもない作者にどうでもいい呼ばわりされてるのマジ早駆氏って感じですね
きっちりソラかわー(挨拶 >> 「そうね。将来的には」 ここでアイハル派閥は死因:尊死でアーカイブ視聴リタイアかぁ 移動と武力と解析(職人)の3要素で1つ扱いの組み方されてるレイドでソロやってると…
2025/05/25 06:35 しおりすぐ無くす読書好き
今レイドのチーム編成は、移動・戦力・職人の三要素から成っているわけですが…… 西陣営所属のハヤガケ氏、まさか一人三役!? アーカイブでは三カプ三様の惚気が提示され、世界中の脳を焼く……ってコト? つ…
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