ノノミナ(リナ)Radio
『────ッハイどうもー跡形もなく燃やされた皆のミィナちゃんでーっす‼︎』
『………………』
『ほーらほらMAXお疲れなのは超わかるけども頑張って挨拶さんはいっ!』
『……リィナ、でーす』
『やったぜノノちゃんせぇーのッ!』
『『 リ ィ ナ ち ゃ ん か ぁ ー わ ぃ ー い え ー い っ ! ! ! 』』
『……うるさい。アレの後で、なんでそんなに元気なの』
『そりゃもう訳がわからない内に勝負を掻っ攫われたモヤつきをですねぇ! カメラへ思う存分に可愛いを振り撒くことで発散していこうってね!!!』
『意味がわからない』
『そりゃもう前回は叶わなかったミィちゃんリィちゃんと絡む機会がやってきてぇ、お姉さんちょっとテンション上がっちゃうというかデュフフヘヘヘ』
『気持ち悪い』
『とかなんとか言っちゃってぇ』
『律儀に反応してくれるリィちゃんが、お姉さんたち大好きだぞっ!』
『………………もうしない。二人で喋って』
『『ってな訳でラストへ向けてやってこうぜ! お疲れリィナちゃんを挟んで愛でつつ、まだまだ元気なノノミナRadioゥッ!!!』』
『…………………………………………はぁ……』
『んじゃまずはサクッと会場の皆さん共通の疑問からー。途中の怪獣大戦争は今更として、ラストのアレは……って、さっき訳わからない内にとかなんとか』
『言ったねぇ。まあ十中八九お兄さんがなんかしたんだと思うけどもさ……いきなり雛ちゃんの炎が勢いを増すわ、こっちの風は乱されるわで「は?」って思う間もなくぶち抜かれてジュッですよ。美少女二人、丸焼きどころか蒸発ですよ』
『ははぁー……んじゃまあ、それは後で〝あっち〟に聞くとしてぇ……あ、必殺技のチョイスは? どうして〝風〟だったーとか?』
『んー? それは単に消去法』
『消去法?』
『わざわざ勝負を吹っ掛けてきた雛ちゃんが詠唱を待ってたの、多分きっとおそらく男の子大好き必殺技のぶつかり合いを成立させるためじゃないし』
『というとー?』
『あたしらが勝負に乗る前に撃ってたら、ほぼ負け確だったかんね。こっちはまだ一枚だけ守り残ってたし、それと併せて耐熱防御メッチャ頑張ればギリ凌げたと思うよ。んで、そしたら雛ちゃん戦闘不能。後に残るのはぁ……』
『守りを切らしたとはいえ動けるミィちゃんたち、そしてハルさん&レプラちゃんと……成程、そうなったら流石に私でも勝負の未来が見えますねぇ』
『あ、ただしこっちが乗ったのも舐めプとかじゃないかんね。いやーだってさぁ、流石に対【曲芸師】専用で組んだ超絶切り札に対してビビらずふっっっっっつぅーに突っ込んでくると思わないじゃん? メ ッ チ ャ 笑 顔 で さ 』
『アレ多分だけど本人気付いてないよ』
『いや怖いっつぅの。ドヤ顔ポーカーフェイス作るの必死だったっつぅの』
『ドヤ顔ポーカーフェイスて』
『だからそう。こっちも割と洒落になんないくらいギリギリだったから、安定択に乗った…………つもり、だったんだけどねぇ。やられたねぇぐぬぬのぬー』
『おや、お姉様との撃ち合いを安定択とか言っちゃいます?』
『言っちゃう。まだ抜かれてないって自信あったし、実際お兄さんがなんかやらかすまでは完全に押してたじゃんね────んでまあ、エメラルドをチョイスしたのが消去法ってのはアレです。一発で二人とも沈めないとだったから』
『はいはい』
『まず両方とも影響範囲に収めないとって部分でダイヤモンドかアクアマリン、エメラルドの三択。で、地上一掃型は爆速で飛んで逃げられるのが目に見えてたし、アクアマリンは火力特化のデザインじゃないから雛ちゃんとの撃ち合いに勝てない、自動的に撃った瞬間から余波でお兄さんの牽制もできるエメラルドってこと』
『なぁるほどー?』
『実際、対お兄さんも結構いい感じに働いてたっしょ? あの人VITスカスカなせいで衝撃波の類に激よわだから、壁にビターンなってたし』
『なってたねぇ』
『その状況から一矢報いてたのは、横目に見て「馬鹿なの?」って思ったけど』
『それは私も思った。多分だけど観客の皆さんも思ってたはず』
『だからまあ……最後になんかがなければ、あたしらが勝ってたねコレ絶対』
『自信家なミィちゃんも可愛いなぁ』
『堂々と胸を張るだけの実績があるもーん!』
『さておきー』
『なんでそこ置いちゃうの。もっと褒めて!』
『さておきー! なんかさっき〝対【曲芸師】専用の切り札〟とかなんとか?』
『それも言ったねー。やー相も変わらず姫ちゃんは特別枠ってことで、あたしらが負ける可能性いっちゃん高いのが【曲芸師】だと思ったからさぁ』
『おぉう、後輩君にメッチャ警戒してたんだっ』
『そりゃーするでしょ。例の〝桜〟然り、あたしらの天敵要素しか持ってないし』
『…………………………なにをしてくるのか予想も付かないし、一番怖かった』
『と、リィナちゃんが申している通り。なのでまあ、大先輩として恥を晒さないよう二人で一生懸命に作ったのがアレ────名付けて〝独り舞台〟』
『ソロダンス???』
『そ。まあ二人で作ったとは言っても、ほぼリィナちゃん頼りの技なんだけどね』
『えーと……仕組み、聞いちゃっても?』
『別にいいよー。元から今回限りの玩具だったし、お兄さんにしか機能しないし。もう見せちゃったから、そのお兄さんにも次は効かないもん。ねー!』
『………………』
『ってことで、リィナちゃん解説ぅーハイハイ面倒臭そうな顔しなーい』
『…………あれは、簡単に言えばミスリードの魔法。【悉くを斃せし黒滲】みたいなとんでもないエネミーを、自由に召喚できるようなモノじゃない』
『んんーと……?』
『つまり、アレを喚び出したのは私たちじゃなくて、お兄さん自身』
『んんっ?』
『私が描いたのは、一番最初の【選定の石人形】……それから【砂塵を纏う大蛇】に【神楔の王剣】まで。流れを作った後は、全部お兄さんが描いたモノ』
『えぇえぇぇええぇと……??? え、あれ、つまり、えーと』
『あれは〝相手に想像させる〟魔法。起動条件と機能順路を普通なら上手く発動しないくらい思い切り難しくして、理論値のスペックを無理矢理に跳ね上げた』
『………………ヤバいこと言ってない?』
『言ってるね。『記憶』のギフトを持ってるどこかの誰かさんみたいに、瞬時にバッチリ精彩に強敵を思い描いてくれないと発動すらしないよーって。しかも、上手く想像させるために順々に過去の強敵を描いて思考誘導しないとだし』
『上手くいって良かった。流石お兄さん、あんなの私じゃ描けない』
『ちなみに、起動条件はリィナちゃんの《夢幻ノ天権》の権能譲与を一度でも受けてパスが通ってることでーっす。四柱前にちょっと機会があったんだよねぇ』
『えー、あー、えー…………要約すると、仲良しの超人にしか効かない魔法?』
『あっはそれウケるノノちゃん採用。どーだお兄さんこんにゃろうウチのリィナちゃんは凄いだろ参ったかーっはっはっは!!!』
『……負けたのは私たちだけど』
『や、てか、初めの三体はリィちゃんが描いたってことでしょ? すっごいねほんと、もしかして《クイックチェンジ》もハルさんみたく使えるんじゃないの?』
『試したことないから、わからない』
『えぇー……もう、凄いなぁ二人とも。後輩が訳わかんないくらい立派になってお姉さん素で感無量────っとぁーっとぃ!!! やっべ時間やっべ!!!!!』
『うわビックリしたぁいっ!? な、なにっ、時間、え、なにっ』
『ちょちょちょごめんごめん夢中になっててスタッフさんのメッセガン無視してた! あの、そのっ、ではではこれより予定通りお次のプログラムぅ!』
『時間過ぎてる時点で、予定通りじゃな』
『リィナちゃんシーッ……! ノノちゃんのプロ意識を抉らないの……!』
『聞こえてるよぅっ!!! ほんとごめんなさい次お願いしまーっす!!!!!』
主人公にしか作用しない上に奴の想像力をコントロールしないと脅威を生み出せない一発芸。つまりどういうことかと言えばリィナちゃんは可愛くて凄いってこと。