神を祀るは楔の王剣、世界が祝しは詠歌の天秤 其ノ漆
◇『埋没せし忘路』を踏破しました◇
◇称号を獲得しました◇
・『表裏一身』
◇スキルが成長しました◇
・クイックチェンジ⇒ブリンクスイッチ
・アクセルテンポ⇒コンボアクセラレート
・順応走破⇒飛燕走破
・フェザーフット⇒フェイタレスジャンパー
・ボアズハート⇒ライノスハート
・護走健脚⇒守護者の揺籠
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◇Status◇
Name:Haru
Lv:65⇒81(160)
STR(筋力):50
AGI(敏捷):430(+10)
DEX(器用):200(+10)
VIT(頑強):5
MID(精神):5
LUC(幸運):10
◇Skill◇
・全武器適性
《ブリンクスイッチ》 Up!
《ピアシングダート》
・《クイット・カウンター》
・《浮葉》
・体現想護
・重撃の躁手
・コンボアクセラレート Up!
・韋駄天
・飛燕走破 Up!
・フェイタレスジャンパー Up!
・ライノスハート Up!
・守護者の揺籠 Up!
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◇Status◇
Name:Sora
Lv:42⇒67(250)
STR(筋力):50
AGI(敏捷):100(+10)
DEX(器用):100(+10)
VIT(頑強):70
MID(精神):100
LUC(幸運):50
◇Skill◇
・魔法剣適性
《オプティマイズ・アラート》 New!
魔剣念動
追尾投射 New!
魔剣生成効率化 New!
・光魔法適性
《クオリアベール》
・《スペクテイト・エール》⇒《天秤の詠歌》up!
・《観測眼》
・癒手の心得
・見切りの心得 New!
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「えっぐ」
ずらっと並ぶスキル成長アナウンスに加えて、連続レベルアップに伴う続けざまの発光エフェクトがアバターを覆う。発光回数が十を超えた辺りでステータス窓を呼び出してみれば、レベルの数値は冗談のように跳ね上がっていた。
「16も上がってら……ソラさん?」
俺に倣ってステータス確認をしていたソラが、何やら隣で挙動をバグらせている。声を掛けてみれば、彼女は呆けた様子で窓を可視化させて見せてくれた。
「どれどれ、幾つくらい上がってヴェ゛ッ……」
え、Lv.67……?確かこのエリアに挑む前が40辺りだったはずで……加えて、成長すれども新規獲得は無かった俺とは逆に、新たなスキルが四つも追加されている。《天秤の詠歌》も併せれば、もはや戦闘前とは別物のステータスだ。
「……私、レベル上げってコツコツ積み重ねるものだと思ってたんですけど」
「普通はその認識で合ってんじゃないかなぁ……」
アルカディアは俺が持つMMOの常識と照らし合わせると、比較にならないほどレベル上げが容易なのは確かだ。とはいえ、限度というものがあるだろう。これまでもボス戦の度にゴリっと数字を積んできたが、今回の上昇幅は流石にゲームメイクのバランスから逸脱しているように思える。
倒せるはずのない相手を倒す。経験値という概念が存在するゲームにおいて、そんな無茶苦茶に対する報酬は二極する事が常であり……。
「適正外判定でめちゃくちゃ不味いパターンもあるけど……アルカディアは桁外れに美味いパターンだった訳だ」
とは言ったものの、今回みたいなのを狙ってやるのは不可能だろう。訳の分からないシステム的な忖度が、そう何度も降ってくるわけがない。
「踏破……確か、砂漠でもそうだったんですよね?」
「ん?あぁ、そうそう。討伐じゃなくて踏破ってアナウンスされた」
前回の【流転砂の大空洞】ではクリア時にログアウトしていた為、ソラはその時のシステムアナウンスを見ていない。
「なら、やっぱりその……また色々と普通じゃないことを?」
「やらかしたなぁ……いや、今回はやらかされた側だけど」
ともあれ、一応の〆は入った訳だ。ぼちぼち転移門が現れるか、自動的に帰還転移が開始される―――
「んん?」
転移門の有無を確かめるために辺りを見回して、気付く。
開戦時に砕かれ散らばった壁面の瓦礫、従来のゲーム的な常識に則れば処理の都合ゆえに短時間で消滅するのがお約束なのだが……長時間に及ぶ戦闘が終わってなお形を残しているそれらに混じって一つ―――明らかな異物が目に留まった。
「どうかしましたか?」
「いや、あれ……」
前回同様、討伐判定ならずだった故に物品報酬は無いものと思っていたのだが……もしかすると。そう思い、首を傾げるソラを連れてそれの元へと向かってみれば―――
「マジか!」
「え、えっ?」
瓦礫の一つに紛れるような「破片」ながら、かつての威容を感じさせる白金の輝き。表面に見覚えのある精緻な彫刻が刻まれたその金属片―――と呼ぶには少々大き過ぎる、直径一メートルほどの金属塊を期待のままにタップしてみると……
【神楔鎧の萎片】―――展開したウィンドウに記された、その名。
それは紛れもなく、【神楔の王剣】の遺した戦利品であった。
お付き合い、ありがとうございました。
これにて大きな山場を越えまして、ようやく第一部の終わりが…………その、あと二万五千文字ほどでございます。先が長いですね。
変わらず毎日更新を続けて参りますので、もう少々お付き合いくださいませ。