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アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
桜花一片、無窮の天嵐は影と遊ぶ 第一節
464/977

不在の一時

「――――結局のところ、納得できちゃうから憎めないんだよなって」


「それな」


「序列持ちの男性陣、好青年とイイ男しかいない問題」


「やっぱ単純な実力だけじゃ選ばれないんだろうなぁ」


曲芸師クラウン君はアレだね。その上で割と普通っぽい・・・・・のが良き」


「わかるわぁ」


「親しみやすさがね、地味にこれまでになかったタイプっすよね」


「からのギャップが過去一にひどいタイプでもある」


「ある意味あざとい」


「ノリノリで純粋に楽しんでる感いいよね。見てるこっちまで楽しくさせてくれる雰囲気持ってるのは、エンタメ的にも相当強いよ」


「戦闘スタイルも映え映えだしな」


「たまに映えごと視界から消失するのはご愛敬」


「いろいろ丁寧に解説してくれたけど、完全に理解できた人います?」


「ふ、フワッとなら……」


「ニュアンス的には……」


「心意気は伝わってきたかな……?」


「言ってる意味はわかるけども、呑み込んで実践できるかと言われたら……」


()()()()()()()()()って、言うほど簡単じゃねえんだよなぁ」


「長くこの世界に浸ってると余計にね」


「数百キロの速度で身体が飛び出すのをわかってて全力で踏み込む勇気よ」


「覚悟どうこうじゃなくて、普通は本能的なセーフティが働くんだぞっと」


「ガクンって止まるよね、身体アバター


「彼に限った話じゃないけど、やっぱ上位勢は根本的に感性がズレてると思うよ。イカれてるって意味ではなく」


「VR環境への適応性……やっぱ才能だよなぁ」


「〝一般人〟も徐々に脳が適応していつかは――それこそ『才能ギフト』が発現するレベルまで成長できるらしいけど、本当なのかね?」


「無い無いって笑い飛ばしたいけど、他でもない四谷の御言葉だから……」


「いつか(数十年後)という可能性」


「それでも嘘にはならんな……」


「まあでも、ステータスもスキルもそのままで日に日に成長が実感できるのは確かだから。その辺モチベが維持できるのは嬉しい」


「三年前の俺が今の俺を見たら確実にビビると思うわ」


「自分、最初は思考操作で文字書くことすらできませんでしたよ」


「マジか。それで今は魔法士やってんなら大したもんだ」


「僕なんかも初期は馬鹿猪フールボアの突進すら躱せませんでしたけど、今では思考加速なしで【縫蜂ソーネット】の針弾ヒョイ避けできますし」


「なお群れからの一斉射」


「それは言わないお約束です」


「【縫い針の大塚パッチワーク・ヒル】旨いっすよね。俺も時々クラメンと蜂蜜取りに行きます」


「もうちょい街から近ければなー」


「まあまあ、遠征もアルカディアの醍醐味だし」


「イベント終わってからも、良ければこのメンバーで集まってどっか行きません? 折角のご縁ということで」


「お、イイね。皆フレンド登録しようぜ」


「…………ノノミちゃんニアちゃんは女子だしハードル高過ぎだから置いとくとして、曲芸師さんにフレンド登録って申し込んでいいのかなぁ」


「うーん、本人はサラッと快諾してくれそうだけども」


「遠慮しちゃうよなー。有象無象の名前でリストごちゃつかせていいものやら」


「グループ分けでいくらでも整理できるし、そこまで気にしなくてもいいんじゃない? 俺は気にせず申し込めるとは言っていない」


「……とりあえず、終了直前まで保留かな? なにかの間違いで、ご本人様から申し込んでくれたら万々歳ということで」


「まあ、それが安牌だよな……」


「「「異議なーし」」」


「そして何事もなくスッと縁が切れるのであった」


「言うな」


「世は無情」


「一般人と有名人なんかそんなもんだろうて」


「切ないねぇ」


「ま、縁が切れても俺は()()()()()を推させてもらうが」


「ぶはっ……!」


「やめろオマエ……!」


「草」


「聞かれたら空中散歩の刑に処されますよ」


「まあしゃーなし、アレは卑怯」


「等身大の青年が女体化とかもうね……ある意味で無敵のアイドル性なんよ」


「なんだろうね、下心なく見れる未知の存在というか、なんかこう……」


「そこまでにしとけ、脳が壊れるぞ」


「もう壊されてる疑惑」


「男だって百わかっちゃいるのに視覚情報でバグるんだよなぁ……」


「あーれは世に流れたら大惨事ですよ」


「あの人の周りいっつも大事件大惨事大騒ぎじゃねえか」


「ここ数ヶ月マジで脳が暇しない」


「曲芸師の名は伊達じゃないんだなって」


「いやほんとに――いろんな意味で、このグループは一等賞でしたね」




 暇に飽かして口々に気安い言葉を投げるまま、賑やかに盛り上がる縁の輪。


 その様を少し離れた調理場から眺めつつ、彼らが今回のグループ分けを『一等賞おおあたり』と称する一因に違いない料理人は――


「…………」


 一足先に抜け駆けをさせてもらい、フレンドリストに刻まれた新たな友人。かの人気者・・・がこれを聞いていたら、一体どんな顔をするものかと。


 夕飯の仕込みを続けながら、無愛想を自認する顔には薄く笑みが浮かんでいた。






モブ諸君もいい空気吸ってるというお話。

ちなみにオークス氏やリゼノン氏を始めとして、三十二名全員名前あります。

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― 新着の感想 ―
みんな楽しそうで好き!
[一言] 脳みそオーバーヒートしちゃったかぁ。 アイリス辺りにハルが胃袋掴まれて速攻でフレンド登録した物静かな料理人いるよって教えたらどんな反応するかちょっと見たい
2024/06/24 22:24 しおりすぐ無くす読書好き
[一言] なるほどね、じゃあジェットコースター建てよう
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