渦中にして蚊帳の外
◇【白座のツァルクアルヴ】の討滅を果たしました◇
・討滅報酬が贈与されます――――【転身の硝子玉】を獲得しました。
◇称号が更新されました◇
・『白座を目指す者』⇒『色彩を識る者』
◇スキルが成長しました◇
・《フリップストローク》⇒《十撫弦ノ御指》
・《ウェアールウィンド》⇒《ルミナ・レイガスト》
・《エクスチェンジ・ボルテート》⇒《エクスチェンジ・インプロード》
・《先理眼》⇒《鏡天眼通》
・《剛身天駆》⇒《剛魔双纏》
・《魔力運用効率化》⇒《魔を統べる者》
・《体現想護》⇒《白竜ノ加護》
◇東陣営イスティアに於いて、評価値の更新が認められました◇
◇東陣営イスティアの序列を再構築します◇
――――――――――……
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――――――……
◇東陣営イスティアの序列が再構築されました◇
――――――Ranker's Title――――――
◇First【天下無法】―――【天元】◇
◇Second【剣聖】―――【Ui】◇
◇Third【総大将】―――【ゴルドウ】◇
◇Fourth【無双】―――【囲炉裏】◇
◇Fifth【左翼】―――【Mi-na】◇
◇Sixth【曲芸師】―――【Haru】◇ Rank up!
◇Seventh【右翼】―――【Ri-na】◇
◇Eighth【熱視線】―――【雛世】◇
◇Ninth【不死】―――【Tetra】◇
◇Tenth【双拳】―――【ゲンコツ】◇
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◇おめでとうございます、貴方はイスティア序列第六位に昇――
「そぉいッ‼」
滂沱の如く次から次へと流れてくるシステムログのウィンドウを、クシャクシャに丸めて遥か彼方へ全力投擲。
なにからなにまでひっくるめて疑問とハテナと困惑、及びツッコミどころしかありゃしねぇ。リザルト眺めてキャッキャはしゃいでる場合か。
とにかく、まず俺が第一に仮想世界へ問いたいことは――
「おソラ様を序列入りさせないとか正気か???」
「意味がわからない」
「へっ!? なっ、にゃ……むぇっ」
なによりも意味がわからない不当なリザルトに対して呆れ百パーの言葉を連ねれば、ノータイムで同意を示したアーシェの反応こそが正しいもの。
で、なにを驚いていらっしゃるのかな? この四谷御令嬢は。
アルカディアの序列が『広い意味での戦士としての価値』を評価基準として対象者を選定しているのならば、個人集団問わず戦闘力抜群かつ支援役も十分以上にこなせる上に指揮能力まで備えるソラさんが選ばれないはずがないのですが。
あと顔良し声良し性格良しと、マジの意味で文句の付けようはないはずだ。いや冗談ではなく、その辺の魅力やらカリスマ性なんかも評価基準には関わってくる疑惑があるらしいから……真面目に、なぜ?
また謎に俺の順位だけ上げてる暇があるのなら、不在の一位をういさんかゴッサン辺りに取っ換えてソラをランクインさせるべきでは――
「い、いいです! そんな、私なんてまだまだということで……!」
「――いりませんが通るなら、僕だって全くこれっぽっちもいらないんだけど」
あの光景を見せられて、勝鬨を上げるという雰囲気でもない戦場跡。
各々が戸惑いを浮かべつつ『とりあえず死ぬほど疲れた』と腰を下ろす中、傍までやって来た身内が不満げな声をソラへと投げかけた。
クランメンバーとして交流するにあたり彼が『願わくば肩書きを投げ捨てたい』と思っている事実を知るマスター様は、むぐりと言葉に詰まり困り顔。
「まあ、あれこれ『なんで』は後でいいんじゃない――おつかれ」
「おう」
「お疲れ様」
「です……」
直接戦闘をするスタイルではないと言えど、流石のテトラも疲労を隠せぬ顔ですぐ傍にドサリと座り込む。
そんな彼に、動く気になれないまま三人揃って言葉を返せば……その瞬間、張り詰めていた糸がぷつりと切れたのを感じた。
「……………………はぁあぁああぁぁあああ……っ!」
背中合わせの女子二人に凭れかかる訳にもいかず、硬い地面だろうが知ったことかと勢いよく前方へと身体を投げ出す。
始めたばかりの初日とは違う。
派手に顔面スライディングを決めたところで、レベルが上がった上に装備で多少なりとも耐久ステータスが積まれた身体にダメージはないのだ。
「俺はもうダメだ…………一週間後くらいに起こしてくれ……」
「とかいって、どうせ明日には元気に飛び回ってんでしょ」
疲労のまま地に伏せながら適当なことを宣えば、相変わらずの先輩からは素っ気ない答えが投げ返される。
言うじゃねえの――『色持ち』討滅の報が盛大にワールドアナウンスされて、今まさに大騒ぎになっているであろう世間が……果たして、そんな平和な明日を許してくれるもんかね?
まあともあれ、
「勝った……で、いいんだよな」
「ん……最後は、呆気なかった」
「呆気ない……と、言っていいんでしょうか、アレは」
現実感がない、と言外に疑問を呈した俺。そして素直な戸惑いを表に出しながら、肯定とも言えぬ曖昧な頷きを見せるアーシェ。
そんな臨時パーティで唯一の一般枠……と、本人は思っているのであろう逸般三枠目は、苦笑いを浮かべながら首を傾げていた。
いやね、確かにソラもアーシェも俺もそれぞれにガチの〝必殺〟を叩き込んだわけで、そこらの一般レイドボス相手なら一歩間違えばワンターンキルも望める……かもしれない程度の極大火力だったことは認める。
けれども、今回の相手は他でもない『色持ち』だったわけで――
「…………HPなんて、最初からなかったのかもしれない」
「んえ?」
「少なくとも、あの〝白竜〟には」
おそらくは、彼女自身は俺たちほど疲労困憊というわけでもないはず。立ち上がろうとせず座り込んだままなのは、俺が離脱して二人で背中合わせとなっているソラを支えるためだったりするのだろうか。
そんなアーシェは、いつものように早過ぎる頭の回転をもって……なにかしらの『もしかして』に、一人辿り着いたのかもしれない。
意味深なことを呟いて視線を集めた彼女は、二度三度と静かに瞬きをして、
「…………わからない。祝勝会までにまとめておく」
ほんの少し、疲れたように微笑むと――
実に珍しい様子で、悪戯っぽく『おあずけ』を宣言してみせた。
ということで全編〝乱回転〟でお送りした白座討滅戦から引き続いて、
これより色々な意味で三章の〝結〟を綴っていきます。
斯くも斯うての第四節、張り切って参りましょう。
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◇Status◇
Title:曲芸師
Name:Haru
Lv:100
STR(筋力):250
AGI(敏捷):300
DEX(器用):0
VIT(頑強):0(+150)
MID(精神):300(+350)
LUC(幸運):300
◇Skill◇
・万能ノ腕
《コンストラクション》
《フリップストローク》⇒《十撫弦ノ御指》Up!
《ウェアールウィンド》⇒《ルミナ・レイガスト》Up!
《エクスチェンジ・ボルテート》⇒《エクスチェンジ・インプロード》Up!
《欲張りの心得》
・水魔法適性
《アクア》
《フラッド》
《水属性付与》
・Active
《リフレクト・エクスプロード》
《ブレス・モーメント》
《空翔》
《浮葉》
《先理眼》⇒《鏡天眼通》Up!
・Passive
《体現想護》⇒《白竜ノ加護》Up!
《アテンティブ・リミット》
《超重技峨》
《剛身天駆》⇒《剛魔双纏》Up!
《兎乱闊駆》
《ランド・インシュレート》
《流星疾駆》
《極致の奇術師》
《危輝回快》
《削身不退》
《月揺の守護者》
《魔力運用効率化》⇒《魔を統べる者》Up!
《以心伝心》
《四辺の加護》
◇Arts◇
【結式一刀流】
《飛水》
《打鉄》
《天雪》
《枯炎》
《七星》
《鋒雷》
口伝:《結風》
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