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アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
君がために在る世界、誰がために去る未来 第二節

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首脳陣会議中


 ────お泊まり会の後日。


 即ち、お馬鹿さんからトラウマの大きさ重さを共有された後の日。


「……ということで、今回ハルは留守番させる」


「聞いてはいましたが、そこまでのものでしたか……」


「ま、しゃあねぇわな」


 場は南の集会場。四陣営を纏める『代表首脳』と言えばで知られる三人こと【剣ノ女王】並びに【侍女】および【総大将】が、常なる形で顔を合わせていた。


 プレイヤーの代表たる『序列持ち』の内からも突出する代表。カリスマ云々だけではなく、智謀に長けるがゆえ信を預けられた姫が一人と大人が二人。


 いつもいつとて、一体どんな叡智満点の会議が成されているのか……といったところが、過去も今も変わらない世間が向ける好奇心の内訳だが────


「アイツも人の子ってことか。可愛げあっていいじゃねぇの、なぁ?」


「ん」


「なぜ貴女が誇らし気に?」


「将来的な夫の〝可愛げ〟を誇ってる」


「うわぁ……」


「カッカ! 気が早ぇって坊主に引かれるぞぉ?」


「問題ない。今のハルは喜んで受け止めてくれる」


「わぁ……」


「いやぁ若けぇなぁ……おいヘレナ。いい加減お前も見習っ」


「は? なにか?」


「さって会議を進めるとするかぁ! なに話してたっけかなぁ!?」


 実際のところ彼ら彼女らも『人の子』に過ぎないゆえ、世間が思うほど会話内容が常の如く浮世を離れることなどない。ほどよく穏やかに、ほどよく緩やかに、気を抜いて……誰かさんの心が溶かされた約一年前から、それは猶更のこと。


「私の王子様は留守番。それ以外の面子からパーティを組む」


「おいどうするよコレ。多分もう今日ずっとコレでいく気だぞコイツ」


「なにか問題が?」


「お前も引いてたじゃねぇかよ。急に全肯定すんなビックリするから」


 アルカディアの代表攻略会議は、至極平和に進行していく。



 ────とはいえ、


「とりあえず、私は出るつもり。()()()()()()()()()()()()()()()()


「ま、それがなくとも」


「当然ですね。【銀幕】様から提供していただいた情報によれば、件の【青源の深域】は推定難易度〝無制限大規模戦闘オーバーレイド〟級……序列持ち部隊を組んだとて」


「あぁ。舐めねぇ方がいいだろうからな」


 じゃれあい、おふざけ、それはそれ。三人の『会議』が真剣かつ意味あるものであるという事実は、今へ至る仮想世界攻略の道筋が確かに示し続けている。


 ゆえに


「ただでさえ絶対的にプレイヤー不利な水中ステージです。変化が生じて現在は攻略の道が存在するとしても、それが見えない・・・・ことに変わりはありません」


手探りになる・・・・・・ぞぉ……? 水ん中への適正は勿論、馬鹿おっかねぇ環境で長時間フラつかねぇとならねぇんだからな。特別タフな奴じゃなけりゃ堪えらんねぇぜ」


「疲労や消耗に関しては、交代要員を充てて緩和したいところですが……」


「ん……水中適性持ちの絶対数が足りてない」


「お前さんの他には……()()()()()()()()()()()()()だな」


「えぇ、彼女は確定ですね。攻防共に要となるでしょう」


「そしたら相方マルを挙げたいとこだが、繊細技巧は水と相性が悪りぃ────」


「思い切って、メイを連れて行こうと思ってる」


「あぁー……そりゃ、成程」


「………………そう、ですね。手堅過ぎる・・・・・択にはなりますが……」


「多分、オーバーレイド級だとしても私とリンネで火力は足りる。ダンジョンが直通で『青点』攻略にでも繋がっていない限り、ゲーム的枠内で用意された相手に通用しないということはないはずよ。……多分、きっと、おそらく」


「……それで、もし通用しない事態になれば」


「そん時、また考えればいいこったな」


「ん。────それから、感知系が一人必須」


「それだ。【糸巻】の嬢ちゃん……は、ダメか」


「〝糸〟と水中の相性が悪過ぎます。機能停止とまではいきませんが」


「あとサヤカ。支援効果バフによる水中での活動時間延長も必須」


「リンネも『音』による疑似的な感知は可能でしょうが、それよりも攻守にリソースを割かせたい上に本人の適性問題が……その、少々、言いづらいことですが」


「あまり、よろしくない」


「………………最悪、ニアの嬢ちゃんでも連れて」


「だめ、流石に可哀想。精神安定剤ハルなしで極限ホラー空間には連れていけない」


「んだよなぁ……ヘレナ。もうあれだ、お前さんが」


「戦場を退いて何年経っていると? もう悪巧み以外で役には立てませんよ」


「そうかぁ……したら、なんだ。とりあえずアイリス、リンネ、サヤカ、メイで四人。もう一人を感知系として…………最後の六人目は、やっぱソラか?」


「…………いえ、違う。感知系と広域殲滅火力は言い出した人・・・・・・に担当させる」


「うぉ、マジか。いやまあ、流石に今回は首を縦に振る、か……?」


「……全く手堅くない択ではありますが、道理ですね。では、最後の六人目は?」


「ん、決めた」


 つらつらと、紆余曲折しながらも淀みなく連ねられた言葉の果て。



「幅広い意味で────【無双】に頑張ってもらいましょうか」



 今日も今日とて、会議は決に行き着いた。






お師匠様? 火力は足りてるんで迷子の達人は留守番していてください。


道標皆無の水中行とか二秒ではぐれても不思議じゃないとアーシェは思ってる。

ちなみに次点候補はテトラ君とリッキー氏でした。残念だったな非モテ雲。

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― 新着の感想 ―
お師匠様ってあらあらうふふお姉様だけど、お弟子さんぐらいしか言う事聞かなそう 闘いにおいては特に
迷子の達人は草、よく考えるとダンジョンアタック適性が相当低いのかお師匠様
ハルとソラの汎用性の高さがな(居なくても回るくらいには層は厚いが最良ではなくなる感じ) ある意味安定のお師匠様w
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