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26話 南東湾岸エリア

 その後拠点に戻り、案の定俺が居なくてあたふたしていた歌恋さんと合流する。


 そうして、今日もSCARLET EYESの調査に──


 と言いたいのは山々なんだけど、正直言って当てが全く無いからどうするべきなのか分からずにいた。


 歌恋さんは一度自宅に戻るとかで、パトカーに乗り拠点を去っていった。


 ……ってか、今更だけどあのパトカー、完全に私用車みたいに使ってるけどいいのかな。ホントあの人自由すぎる。



 そうして、コーヒーを淹れて、テーブルに積んであった余ったデリシャス・ドーナツのドーナツを朝食代わりにむしゃむしゃと食べていると、マイさんから連絡が入る。


 内容はSCARLET EYESについての情報であった。タイミングドンピシャというか、なんともありがたい。


「SCARLET EYESは現役高校生である可能性が高い?」


 彼女から伝えられたのは意外な情報だった。


『そ、信頼できる筋からのリーク』


 マイさんはそう説明してみせる。


「ソース元は?」


『ごめーん、それは明かせない』


 そう言われると余計気になるんだけど。


「ってか、マイさんもコッチの仕事手伝ってくれませんか。同業者でしょ?」


『あはっ、それは無理。私も今忙しいからー』


 ダメだ、全く協力してくれる気配はなさそう。まあでも情報を提供してくれただけマシか……


「ってか、高校生だってわかっただけじゃ」


 この新京市内に何人の高校生がいると思ってるんだ。


『あっ、ごめーん。用事あるから切るねー』


「ちょ……まだ話は──」


 ……ダメだ、切られた。


「うーん、というか高校生ハッカーかぁ」


 なんだか急激にSCARLET EYESに親近感が湧いてきた様な気がする。


「はぁ、どうすっかなぁ」


 ソファーに座る、取り敢えずSCARLET EYESが関わったと思われる事件の洗い出しでもするか。


 っと、その前に。また専スレを確認してみよう。あそこってスレの流れ早いから。


「……ん? 何だこの書き込み」


 朝から増えているレスを確認してみると、ある妙な書き込みが目に止まった。


《新京市湾岸区エリアでSCARLET EYESと名乗る人物と接触した》


 ただシンプルに、それだけが情報として残されている。


「……」


 南東湾岸エリアか、確かさっき走りに行った場所からさらに東に行ったエリアだったか。


「うーん、どうなんだろう」


 ネットの書き込みなんてあまり当てにするもんじゃ無いのだが。


 とは言っても、他に目ぼしい手がかりもないしなぁ。こんなのにも縋ってみるしかないのが実情だったり。


「……でも確か、あのあたりって」


 南東湾岸エリア。確か不良グループが多く集まっていて外縁部程じゃないが治安が悪かった様な。


 不良つっても大体、中学生〜高校生くらいの奴らばかり、まあ要するに少年ヤンキー達が多い。


「あんま行きたくないけど、他に情報無いしなぁ」


 気は進まないが、行くだけ行ってみるか……



 という事で、歌恋さんが戻ってくるのを待って俺たちは拠点を出発する、パトカーに乗り南東湾岸エリアへと向かう。


 シーブリッジを渡り、先ほども通過した湾岸高架道路を駆ける。


「南東湾岸エリアかぁ、私いった事ないなぁ」


 と、運転席の歌恋さんがそう呟く。


「俺だって行った事無いですよ、出来れば一生行きたくなかったですけどね……」


 そんな危ないエリアに好き好んで行くわけがない。


「あはは、でも先輩も後で合流するって言ってたし。葵ちゃん、危なくなったら私たちが守ってあげるからね!」


「は、はぁ……」


 龍二さんはともかく、歌恋さんは頼りにしない方が良さそう……



 そうして暫く走り、目的のエリアへと迫って行く。湾岸の真新しいビル街を通過すると、どんどんと景色が雑になって行く。まるで世界が変化していくように。



「ここかぁ……」


 湾岸南東エリア、倉庫などが多く並ぶ無機質な場所だ。


「っても、ここも結構広いからなぁ」


 書き込みは、このエリアでSCARLET EYESと接触したという、あまりにも簡潔かつシンプル過ぎるものだ。


 他の細かい情報などは一切、まったくと言っていいほど提示されていない。


「うーん、なんか雰囲気からして危ない感じ漂ってるねぇ。ま、外縁部ほどじゃ無いけど」


「まぁ、そうっすね」


 外縁部は治安最悪の世紀末エリアだし。まぁあそこに比べたらまだマシな方かもしれない。


「本当に居るのかなぁ」


 正直、単なる釣り情報の可能性の方が高い、というか十中八九そうだと思う。


 いやいやでも、マイさん曰くヤツは高校生らしいじゃないか。もしかしたらこういう場所に出入りしている人間の可能性もあるかもしれない。


「…………っと」


 あぁ、また変な頭痛が。なんだかいやーな予感がしてきた……


「取り敢えず、ぐるっと見て回りますか?」


 ともあれ、まずはパトカーに乗ったまま、エリアを流してみるのがいいだろう。いくら不良とはいえ流石にパトカーに乗った人間には手を出してこないだろう。


 まあSCARLET EYESがいたら警戒されるかもしれないけど、正直言って外出たくないし。


「りょうかーい」


「じゃ、エリアを流し見してみましょう」

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