発見ですか?
裸足パジャマ枝装備の不審者スタイルに、新しい不審者要素が加わりました。
鏡がないので確認できてはいませんが、恐らく目が赤く充血しているでしょう。
ええ、今の私はとても目が痒いですよ。
「ぐうぅ……痒いいぃ……。ただ、絶対に今の状況で目に触ったらマズイよね……! ぐおおおうぅ……」
今まで水に出会っていないという事は、汚れがほぼ全く落とせてないという事。
落ちてた石拾ったり枝を装備したり、そもそも休憩時とか普通に土で汚れるしね。
そんな状態で目なんて触ってみなさいな、確実に悪影響が出ますよ。
だから今の私に抗うすべはないのです。
歩きながら喚くことしか出来ないのです。
「うおおぉぅ……これホントにそういうことなのかな……? 流石に無いと信じたい……っと。また石発見だね」
最初の石を拾った地点からもう四十分は歩いたのかな。
今みたいに石を拾った事が何回かあった。
その都度少し目印を残して石を回収しているので、ポケットの中には今回の含めて5個になった。
「ん、よいしょっと。石を拾えてるってことは川か何かに近付いてるって事だと思うんだけど……。大丈夫だよね?」
ぽつりぽつりと定期的に石が落ちているのはちょっと……とっても不自然ではあるけど。
ただこれに頼るしか今は方法が無いです。
うろ覚えの知識とちょっと不自然な石に頼らなければいけない状況とは一体……。
「へくしょおぉぃ! ……っもおおおお!! 嫌がらせにもほどがーーーー」
ミシッッッッ……ベキベキベキベキドシャアアアアアアア!!!!!!
「…………ぁ……ぇ………………ぅえ……?」
恐る恐る音のした方を向いてみる。
すぐ、とまでは言わないけど、少なくとも結構近くの木が根本から一気に倒れたっぽい……?
えっ……なんでそんな唐突に……?
「これ、絶対に近寄らない方が良いよね……?」
何故折れたのかは気になるけど、私が見たところで分からないでしょう。
というかまず確実に倒れた木の近くとか危険だよね。
最悪何か居たらそれは命の危機に直結でしょう。
という事で、倒れた木の方向から離れるようにして歩き始める。
ちょっと足が震えてるけどそこは仕方ないと思う。
だって怖いもん。
確かに何もなくて油断していたと思う。
何せおもっきし、くしゃみの音森に響かせてただろうし。
ここが異世界の森の中と言うのを絶対に忘れちゃ駄目だね。
「なるべく静かに過ごさなきゃいけないけど。――はへっっ……っしゅ。……この調子じゃ中々難しそうだねー」
くしゃみを我慢しろと言うのは難易度が高い。
一応さっきの事があったから声は抑え目にしたけどね。
そうして周囲と足元に気を使う、今まで以上に疲労が溜まる歩き方をしていると、先の方が明るくなっているのが目に入る。
!!! 遂に森を抜けられる!?
少し急ぎ足になりながらも、ここで怪我をしたら最悪なのでしっかりと安全確保をした上で、明るくなっている場所を目指す。
明るくなっているのだからぜひ! 私に希望を与えてくれる場所であっておくれ……!
「飲み水飲み水飲み水飲み水飲み水飲み水飲み水飲み水飲み水――」
流石にこれだけ歩いていると、切実になってきています。
緊張状態も続きましたし、色々と水分が体から飛んでいってる感じがですね?
「やったぁ森抜けた……!?」
明るくなっていた場所に到着すると、そこには念願の川がありました。
……数メートル下の方に。
流石に飛び込むのはちょっと遠慮したいですね、はい。
運良く怪我しなくても風邪引くわ。
「向こう側は川と同じ高さにあるのに……! こっちだけ高いとかそんな馬鹿な事があっていいのか……!」
ちょっとどっかしら緩やかな斜面になってる場所無いですかね。
流石に上流の方まで行かなきゃ駄目だなんて事は無いでしょう。
……無いよね?
「んーーーと……。あ、あの辺りなら何とか……? 」
辺りを見渡すと、緩やか……とは少し言い難いけど、まあ他と比べたら下に行けそうな場所を見つけた。
私の今居る場所は全体的に高い場所にあるようです。
渓谷……が近い言い方なのかな? 行ったことないから分からないけど。
とにかく、少しでも川に近づくためにあそこの多少マシな場所を降りていきましょう。
そして念願の飲み水を……!!!