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転移ですか?

「……少し意地の悪いというか、話を重く深刻にし過ぎてしまったかな? 本当は君にここまでプレッシャーをかけるつもりは、背負わせるつもりは無かったんだよ。そこは本当に申し訳ない」


 そういって神様は頭を下げる。

 正直そんな事を言われても困る。

 実際に大変なのは本当なのだろうし、私が気圧されて引き受けてしまったのも事実。


「えっと、大丈夫です。ちょっと怖いですけど、大丈夫です」


 大丈夫って言わないと大丈夫じゃなくなりそうではあるけどね。

 

「そうかい? すまない、助かるよ」


 神様は頭を上げてそう言うと少し私から顔を背ける。


「しかし、やはり私にこういう真面目な話は向かないものだね。どうにも深刻に話を進めてしまうクセがある。それに加えてやはり私にも焦りがあったのだろうね。早く治したいものだよ」


 ぶつくさと小言で呟きながら私から少し遠ざかる。


「あの……」


「事実仮称外来種の進行状況は微々たるものだと言うのに、さも可及的速やかに解決すべき緊急事態かのごとく話してしまったのだからね。いやはや本来は春休みの異世界小旅行的な軽い感じで、そのついでに手伝いをしてもらう……という流れを予定していたのだが」


 んん?

 今何かとんでもない事が聞こえたような気がするんですけど?

 こっち向いてもう一度言って欲しい。


「か、神様。あの、さっきの言葉は本当ですか……?」


「おや、聞こえてしまったのかな。そうだね、本来なら小旅行を話の主軸に、ちょっとした手助けをして貰おうという魂胆だったのだけれどもね。どうにも物事は上手くいかないものだよ」


 神様は私の質問に何の躊躇いもなく答えてくれる。

 少しくらいは躊躇ってくれても、気まずそうにしてくれてもいいと思う。

 流石に精神面への負担の掛かり方が最初に話していたまるで世界を救ってくれと言わんばかりの内容と、異世界小旅行ついでの手伝いでは桁違い過ぎるよ……。

  

「因みに当初の予定通りに話が進んだとしまして、神様はお手伝いの内容をどんな感じで話すつもりだったんですか?」


「少し自然に異常が起きているみたいだから現地の精霊と確認してきて欲しいという風に言うつもりだったよ」


 それならあまり警戒せずに了承していたかもしれない。ずるい。


「さて、ではそろそろ君を私の属する世界へと連れていくとしようかね。ここで私の長々とした話を聞くのは嫌だろうからね」


 神様はそう言うと私の側までゆっくりと浮遊しながら近付いてくる。

 私は最初に逃げようとしてから今の今まで立ち上がれてないので、ゆっくり近づかれると正直圧が凄い。

 え、というか、早くないですか? 異世界行くまで。


「神様! 私まだ色々と質問したいことがあるのですが……。神様自身の事とか、私が居るこの謎空間の事とか、私が異世界に行っている間元の世界ではどうなるのかとか、それこそ異世界の精霊の事とか……。何より私は役割が終わったら元の世界に帰れますよね?」


 この神様見た目からは若そうとしか分からないし、全体的に中性的だし浮いてるし謎空間に連れてくるし不思議満載だから、少しくらい詳しい説明をして欲しい。

 少しでも信用できる要素を私にください。


「当初の説明では小旅行と題していたのだから、帰れるのは当然。時間の流れも君の属する世界とは違うので問題なし。この空間はただの中間地点。私の事は……別に気にしなくても良いのだけれどね。何せただの神なのだから」


 質問に答えながらも神様は私を転移させる準備をしている……と思う。

 指が規則的に、まるで虚空に何かを描いているかのように動いているので多分何かしているのだろう。


「では準備も出来たことだし、改めて色々と申し訳なかったよ。そしてこれから宜しく頼むね。君が無事に成し遂げることを私は切に願うよ」


 そう告げられると共に目の前が真っ白になる。

 とにかく眩しいので目を開いていられない私はすぐさま目を閉じる。

 まだ聞いてない事が!


「精霊の詳しい説明とかまだ教えて貰ってないんですけどちょっとまってくださ」


「良き旅を。そして救いを」


 本当にどちらも願ってるのですか神様!?



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