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プロローグ

 春。それは花も虫も動物も目覚め、元気いっぱいに世界を彩る。そんな目覚めの季節。


 春。それは少しの不安と期待を胸に抱き、新しい一歩を踏み出す。そんな成長の季節。


 春。それは――



**********************************************



「ぶえっくしょいぃ!!……ずび」


 う~ん、なんだかとっても春を感じるなぁ。

 くしゃみは連続するわ目は痒いわ鼻づまりは酷いわで嫌になる。取り敢えずティッシュティッシュ……。


 チーーーーーン!


「ううぅ……。嫌な春の感じ方だよ、本当に」


 ゴミ箱に入っている大量の鼻っかみティッシュを見つつ、今使い終わった三つのティッシュをゴミ箱にシュート。

 よし、全部入った。

 本当この季節はこれさえなければ好きな方なんだけれど、治らないからね。どうしようもないよ。

 部屋の窓から見える景色の特に遠くの方に視線を移し、今は暗くて見えないそこに居るであろう杉に向かい諦めと少しの不満を私はぶつける。おのれ花粉。


「はぁ……。髪も乾いたことだし寝る準備整えましょうか」


 開けっ放しになっている押し入れの襖から畳んである敷き布団を引きずり出す。

 少し重いが和室と布団を選んだのは私だし、あれやこれやと不満を垂れ流しても仕方ない。

 花粉は別だが。

 花粉はそもそも選んでない。勝手に向こうからやって来たのだ。


 全ての不満を花粉へと変換してぶつけつつ、手を止「へっくしょ!」……めないで布団を敷くことは出来ない。

 結局、押し入れから掛け布団と枕を出して寝る準備の出来る状態まで整えるのに三回ほど手を止めることとなった。

 所要時間はおおよそ五分。


「なんでこんな簡単な作業に時間をかけにゃならんのじゃ私は」


 肉体的疲労感以上に精神的疲労感を覚えるがゆえに、いけないとは思いつつもぶつくさと小言を言いたくなる。

 確かに私は非力な方ではあると思うし、身長も十二歳の平均に届いていませんからね。ええ、あと一週間もすれば高校生なのにね。

 ……悲しくなるしやめよう。


 とにかく今は寝る準備!

 枕元にティッシュとゴミ箱とライトよーし。

 水の入った小さめのペットボトルもよーし。

 ちょっと遅めの朝ごはん用の目覚ましセットよーし。

 携帯もしっかりと充電されてるからよーし。

 何かあった時のための懐中電灯もよーし。


「ふわぁぁ~~……っと準備完了ー。後は寝るだけかな。んや、その前にお手洗いと水分補給を済ませないとか」


 眠気と花粉のダブルパンチで目が少ししか開かない中、襖を開けてお手洗いに向かう。

 自室の明かりを頼りに廊下をのそのそと歩く。

 無事到着と。


「んー。まだ微妙に冷えるへくっしょっ!」


 お手洗いと鼻かみを無事に済ませた私は、またのそのそと廊下を歩き、


「った!……何か踏んだ?」


 踏んだ何かが足に刺さっていない事を確認し、何を踏んだのかを探すためにその場でしゃがみ、目を凝らす。

 何を踏んだんだか……。

 お、見つけた。


「なんじゃいなこれは。んー?小さい……ごみ?」


 指でつまんでみる。硬いな。

 あ、割れた。

 中身は……からっぽ?何かの殻だったりするのかな。

 いつこんなの落としたんだか。

 んー、取り敢えず眠いし。


「ゴミ箱行きでいいよね」


 部屋に戻って襖を閉めて、そのままゴミ箱に投げ捨てる。

 どうせ今日も鼻づまりで寝るまでが大変なんだから、さっさと水分補給して布団に入っちゃいましょ。

 部屋の電気も電気を消してっと。

 いざ布団へ!


「んぬゅーぃ……!ぬくーい……。厚手の掛け布団で正解……へぶっっし!」


 ああ嫌になる。

 枕元のティッシュに手を伸ばし鼻をかみ、ゴミ箱にシュート。


「はぁ……。おやすみなさぁい。」



お読みいただきありがとうございます!


初めまして。鳥株兎です。花粉症です。

すごく見切り発車な小説です。

更新もすごくゆっくりです。

暇潰しになればと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

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