07 いつか絶対に追い出してやる
不審者がやばいのはそれだけじゃない。
極めつけは……。
お嬢様の屋敷に遊びに行くと、三階の部屋からたまに手を振ってくれる事がある。
「ヨルン!」
僕はそれに手を振り返すのだけど。
何か、後ろにあやしいのがいる。
そのあやしいのは、お嬢様の首に手を回そうとしていた。
「う、後ろ後ろ!」
僕が必死に警告してやってるのに、幼馴染(お嬢様)はかわいらしく小首をかしげるのみだった。
危機感、仕事しろ!
で、そうしている間に不審者が、がっとお嬢様の首を掴んだ。
絞め殺される!
僕は慌ててお嬢様の部屋に向かった。
けど、部屋の中に行くと。
「もう、あれくらいで落ちたりしないわよ!」
「……」
「窓からおっこちるなんて、子供じゃないんだから」
「子供だろ」
「子ども扱いしないで!」
なんてやりとりがあった。
いや、あれ絶対殺そうとしてた。
絞め殺そうとしてた。
こいつ、しらばっくれてるな。
僕が来たから、慌てて犯行をやめたに違いない。
「ヨルン、どうしたの? そんなに怖い顔して」
「何でもありません」
僕は新たに心に誓った。
どんな方法を使ってもいい。
このやばい不審者を幼馴染(お嬢様)の屋敷から絶対に追い出してやると。
結局その努力が実らず、それから何年も居座り続けることになる不審者と、あれこれ騒動が起こるのはまた別の話だ。