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56/59

49.始まっている



 コルベットが鍛冶に没頭していた時のこと。


 鍛冶場に入れないルカたち三人の元にある男が近づいた。


「よう」


 クイールだ。その後ろには四人の冒険者たちがいる。

 ルカはうんざりとして追い返そうとしたが、その深刻そうな表情を見て考え直した。


「どうかしたの?」

「ロラスの言うとおりだった。おれは自分が特権のある身だと思って、調子に乗っていた」


 昼間と百八十度ちがう態度がロラスも気になった。


「冒険者はあっさりと死ぬ。夢や理想、志よりも先に教えるべきことをおれは……」


 クイールのこの態度の変化は数時間前、四人の冒険者と出会って起きた。




 ギルドでルカに脅されて引き下がったクイールはその後も調査隊に加わらず、コルベットを観察することにした。案の定彼らを監視しているのは彼だけでなく軍と城主の私兵もいた。


 クイールが四人の冒険者と遭遇したのは全くの偶然。

 コルベットたちが服屋を出た後、リグスビーの店を訪れて間もなくのことだった。


「あ、クイールさんだ!」

「おう、おめぇらか。声を落として話せ」

「うわ、ストーカー? ナンパ? 浮気する気?」

「ちげぇよ。それよりお前らしばらく見なかったな。訓練サボったって教官がキレてたぞ」

「いや……その……」

「なんだ?」


 クイールはその四人が赤鉛の駆け出しにも関わらずゴブリン退治で山を越えたことを知った。

 南門からこっそり出て、他にも何人か駆け出したちが出て行ったという。


「頭痛くなってきたぜ。それで? その馬鹿どもは今どこだ?」

「え? おれたちさっき戻ったから……」


 クイールは耳を疑った。


「何? 一緒じゃねぇのか!! まだ戻ってないってことか!! ちょっと待て、お前らいつ出た?」

「よ、四日前だよ。何匹ゴブリンを狩れるか競ってたんだ」


 クイールは頭を抱えた。戻って来たのはその一組だけ。

 

「どうして、ゴブリン退治なんて無茶をした!? お前らにはまだ受けられるクエストは無いはずだ!!」

「だ、だっておれたちはモンスターを狩るために冒険者になったんだ!!」

「そうだ、おれたちは薬草集めのために訓練を受けたんじゃない!!」

「クイールさんだって、野望を持て、でもお世話になった人や街へ恩義を忘れるなって言ってたでしょ?」

 

 クイールは目の前が真っ暗になった。

 尾行をしていた兵士と城主の私兵を捕まえて事情を説明し、ギルドに確認した。


 調査隊が出ていて兵力は限られる。城主が出した私兵は街の護りには長けているが山は専門外で二次被害の恐れがある。冒険者たちの中には探索できる者がたくさんいるが夜間の危険な捜索を行える者は限られた。しかし冒険者たちの話からいなくなった冒険者は判明した。駆け出しだけでなく山に入って戻らない冒険者がもう何組かあった。

 合計7パーティ、40名。

 その内駆け出しの新人は20名。

 いずれもモンスター討伐経験はまだない、若者たちだった。


 情報をまとめ、クイールはすぐにリグスビーの店に戻った。



「頼む、金は払う。捜索に協力してくれ!!」


 ルカたちに事情を説明しようとしたところでちょうどコルが鍛冶場から出てきた。

 クイールは状況を説明し、地面に手をついて懇願した。


「ギルドでのことは謝る。お願いだ」

「……」

 

 チラリとルカたちの方を見た後何も言わずにコルベットは周囲を索敵した。


「すまん!!」


 しかし、周囲の山の中から数人の冒険者を探すのはスキルに限界があった。


「何処に向かったかとかわからないの?」

「南から出た後の足跡はわからない。あいつらはまだ自分たちだけで山の中を探索した経験がない。ただ迷ってしまっただけかもしれない」

「ぼくらは東から来たけど結構ゴブリン以外のモンスターもいたし、危ないよ」


(そういえば谷で襲われてた冒険者がいたっけ)


「山の裏側にまで行ってたとしたら『索敵』じゃわからないよ」

「だめか……」 


 クイールは街にとって英雄的存在。そのクイールに憧れて冒険者になった者もいた。駆け出しの20名がまさにそれだった。彼らの命がクイールに重くのしかかった。


「おれのせいだ。冒険者のリスクをもっと伝えておけば!!」

「それはギルドの仕事だよ。でも、本人たちの責任でもある。冒険者になった以上知らなかったでは身を護れないからね」

「そんなこと今はどうでもいいでしょ。お金を払うと言ってるならこちらは正式なお客様よ。捜索の具体案を話すべきよ」

「その前に、ご主人様はスキルを確認しましたか?」


「え? あ、そっか」


 コルベットは南のゴブリン軍三百体を倒した後ステータスを確認していなかった。

 

(鍛冶スキルはゴブリンが持ってたのか)


 クイールに隠れて四人でこっそりステータスを確認した。

 

  ===ステータス===

■コルベット・ライソン(享年17)

・種族:アンデッド?

・職業:ゾ ン ビ ニ

・レベル.218→219

・体力:EX→SSS 魔力:SSS 精神力:SS→S パワー:SS スピード:SS 運気:S→A 器用度:EX

・スキル

 EX:『時 間 停 止』『霊 体 化』

 SS:『スキル強奪』

 S:『治癒』『言語マスター』『オートスキル』『経験値倍加』

 A:『☆クリティカル』『投擲・極』『火魔法・熟』『文筆・熟』『ステータス確認』

 B:『☆鍛冶・中』『☆千里眼』『☆洞察』『☆盾・中』『嗅覚向上・大』『視覚向上・大』『聴覚向上・大』『酸耐性・大』『解毒・大』『革細工』『改竄』『直感』『棍棒・中』『再生』『筋力向上・中』『斧・中』『火耐性・大』

 C:『☆土魔法・初』『☆水魔法・初』『☆風魔法・初』『☆大剣・初』『☆耐久力向上・小』『威圧』『縄・初』『拷問』『消化・吸収』『調合・中』『採取・大』『見切り』『潜伏』『索敵』『体温調節』『精肉・中』『格闘・初』『短剣・初』『飼育・中』『栽培』『裁縫・中』

 D:『金属加工・初』『粘着耐性・小』『風耐性・小』『光耐性・小』『解体・中』『弓・初』『調理・中』『掃除・中』『採掘・中』『伐採』『算術・初』

 E:『☆不安増大』『☆虚弱』『発声・初』『看病・初』『採石・小』『釣り』

 F:『☆運気ダウン』


「……コル君気が付かなかったの?」

「違うよ! 神様が何も言わないから!!」

《違うもん、コルベットが気にしてないから言わないんだもん!!》

「でもとりあえず『千里眼』と『索敵』を併用してみてはいかがでしょうか」

《もっといい方法があるよ》


 コルベットは『索敵』『千里眼』『嗅覚向上・大』『視覚向上・大』『聴覚向上・大』『直感』そして『オートスキル』を併用した。


《ピコーン!! はい、何を探す?》

「あ、普通に聞けばいいんだ」


『検索』という複合スキルをコルベットはスキルの併用で再現した。


「えっと、じゃあ検索、周囲の山にいるモンスターと人」


 検索にヒットした情報はコルベットの脳内でライブ映像のように処理されて視ることができた。

 しかし事態は駆け出し冒険者たちの遭難どころではなかった。


「どうだった?」

「マズイ。こいつら『潜伏』して街に迫ってる」


 コルベットの意識は北に向いた。


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