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32.新たな仲間


 復興二日目。


 朝、アンジェリスに昨夜の本『勇者召喚の危険性』を見せようとした。でも、アンジェリスは劇的に朝に弱い。宿代わりの冒険者ギルドに戻ると案の定彼女は布団をかぶってぐっすりだ。

 元々サキュバスが夜型らしく、起こそうとしても逆に悩ましい吐息をつくか、ベッドに引きずり込まれるというわけだ。なるほど、一つ学んだ。寝間着で抱き着かれると色々直接当たってマズイ。


 普段ぼぉっとしている神様も心なしか注目しているように見える。そんなつぶらな瞳で見ないで。


 無理やり引きはがすとどうなるかわからないので『霊体化』してすり抜けた。こういう使い方もできるとは便利だなぁ。いや間違っているとおもうけど。


「お仕置きモーニングタ〜イム♪」


 背後でルカが謎のイントロを繰り返す。怖い。

 

「仕方ないでしょ。その分アンジェリスには夜働いてもらうし。じゃあルカでいいや」

「む、その言い方は傷つくなぁ! 私は常にコル君の第一候補でいたい!」

「わかった、わかった。昨日禁書庫でさぁ――」

「聞き流さないで! 私も女子なんだぞ!」


 そうだった。ルカは見た目美人さんの年齢不詳お姉さんだった。ルカにアンジェリスにロラスに神様。みんな綺麗だからなんか感覚がマヒしてきた。


「ごめん。ぼくの第一候補のお姉さん。昨日分かった大事な話があるので、一番に聞いて下さい」

「え〜、まぁ〜いいけどぉ?」

「神様がこの本をアンジェリスに渡せって」


 ぼくは本を見せた。


「これもらってきたの? 神様って、ああ―――あのバグ対策ソフトね。コル君、神様なんてものはね、一人ひとりのことなんて見てないし、たぶんコル君が想像しているような人じゃないよ?」

「なんか、まるで知ってるみたいだね」

「まぁ、その辺は―――」


《ルカについて知りたい?》

「え?」

《ルカはコルベットに隠し事しているの。彼女も、この世界の理の外から来た、バグなの》


 どういうことだ? ルカは異世界人じゃないってハッキリ否定したし……。


「―――女の秘密を知るには、まだコル君は子供だからね」

「それを言うならこの先ずっと子供のままだけどね」


 神様はルカについて重要な何かを知っている。でも、それを知るなら、ルカ本人から聞かないとダメだ。ぼくは神様の暴露に興味がないフリをしてやり過ごした。


「それで、その本がアンジェリスと何か関係あるの?」

「それは教えてくれないんだけど、もしかしたらぼくが人間に戻る手がかりになるかもしれないんだ」

「本当に? ふ〜ん。そのソフト壊れてるんじゃない?」

《むぅぅ!! ルカは適当なこと言う!! 私は壊れていない!!》


 おおう、ぼくを介してケンカしないで欲しいな。


「ルカ、神様が怒るからあんまり憶測で言わないでおくれ」

「怒るって……プログラムに感情は無いはずけど」

「髪を振り乱しているよ。激情に駆られているよ」


 もう本当に、わかりやすいぐらいに私は怒っているという動作だ。口をぷくっと膨らませている。絵に描いたように怒っている。


「本格的におかしなことになってるわね」

《おかしいのはルカの方なの!! 人間やってるなんてありえないもん!! だって―――》


 言いよどむ神様。


「だって?」


 人間やってるってどういう意味だ?


《……うう、コルはその人信用しない方がいいの》

「大丈夫、信頼してるけど信用はしてないから」

「よくわからないけど、ひどい!!」


 頼りにしているけど、実はルカのことよく知らないしノリが未だに掴めないときがある。でも好きだしやっぱり信頼しているのが本当のところだ。


「それでさ。この本のこともあるけど、ちょっとこの国出てみようかと思うんだけど」

「どこでも付いて行くよ」


 ほっとした。

 ぼくが変わっても何を言っても信じてくれる。神様には悪いけど、ルカは大事だ。例え彼女が何を隠していても。


「それで、どこ行く?」

「まずはナローン帝国かな」

 

 ここから近い。山を二つ越えたらもう帝国だ。


「国境越えられるかな?」

「多分、スキルを使えば大丈夫、だと思う」


『時間停止』のスキルについて、ちゃんと把握しておかないとね。時を止めて全員国境を越えれば誰にも気づかれない。


「ヤッホー、おはようさん、ドモドモ! 快適に過ごせているかね、救世主諸君?」


 そこへ部屋にロラスがやって来た。相変わらず無駄に陽気だなぁ。朝からこれか。


「おはよう、ロラス。朝食はまだだよ」

「あら〜、催促に見えたかい? 違うよ違うよ。ちょっと君たちにご相談が」

「ちょっと待って!!」


 ロラスの前にルカが割って入った。ロラスの周りを回って、観察し始めた。


「なぁに、この時間?」

「まぁ良し」


 うちの連れがごめん。何がしたかったのかはぼくにもわからない。


「ああ、うん、じゃあご相談させていただくんだけれども。私を仲間に入れてもらえないかな」

「え?」

「ふん、まぁ考えてもいいけど、訳を聞こうかしら。どうぞ掛けて」


 だからそのノリが分からない。なぜ椅子に座って脚を組むんだ。その手を合わせて机の腕で組む姿勢は必要なの?


「事情次第ではダメってことかい?」


 そうだよ。こんな大変な時にギルドマスターがいなくなったらダメだよ。


「私とキャラが被るとダメなのよ。癒し系お姉さんポジは譲れない。今空いているのは自由奔放なドジっ娘かしらね?」

「彼女は何のお話をしてるんだい?」


 すいません、ぼくにもわからないです。


「あの、ぼくたち多分もうすぐ街を出るんだけど」

「うん、連れてってくれないかい?」

「でもギルドは?」

「クビになっちゃった! えへへ」


 なんで!?


 恥ずかしそうに頭を掻くロラス。


 ロラスは皆を守るために戦った、功労者じゃないのか?


「なるほどね。一番損壊がひどいのはギルドだものね。その責任を取らされたのね。というか、今回ギルド職員で唯一働いたあなたがクビってことは、もしかして他の職員の身代わりになった?」


 そんなのひどい。と言うか、訓練場の大半はぼくが壊したし、もしかしてぼくのせいでもある?


「……私は元々、ノリで冒険者を始めて、職員になったのも頼まれたからだし、別にいいんだ。ハイエルフってのは中々死なないから、どうやって暇をつぶすか考えるのが大変なんだよ。でもコルベット君たちといっしょなら退屈しなくて済むし、一応自主的に引退ってことになってるから、元ギルドマスターって肩書は便利に使ってもらえると思うんだ」


 退屈かどうかは分からない。ぼくは終活するからなぁ。わくわくドキドキの大冒険を期待してたらあとでガッカリさせてしまうか? でもロラスが何を楽しみにしているかわからない。


「帝国って行ったことある?」

「ナローンへ行くのかい? 私の故郷だから案内するよ。大体どこでも行ったことあるよ。ちょっと家に顔出したいな」

「採用」

「採用」

「やったー! これでコルベット君の料理が毎日食べられる!」


 料理に釣られたのか。

 でも、ぼくは気が合うし、一緒に戦った仲だ。

 ぼくがゾンビだと知っているし、それで接し方を変えなかった。上手くやっていけるかも。


「じゃあ、さっそく、この眠り姫の代わりに仕込みを手伝ってよ」

「私もご主人様って呼んだ方がいい?」

「絶対やめて」


 こうして金髪のハイエルフ、ロラスが仲間になった。




ヒロインが増えたのでキャラの容姿とかまとめますね。

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