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2.学食

 私は小学生の頃交通事故にあったらしい。


「らしい」と言うのは、当時の記憶が曖昧で夢なのか現実なのかうろ覚えなのである。恐らくはその事故後の後遺症…

 

 気まぐれな神様のありがた迷惑なプレゼントとでも言うのだろうか?私は、人が纏う光のようなものが見えるようになっていた…


 最初は目がおかしくなったのかとも思ったが、何日経っても変わらず見えるその光を、ありふれではあるが便宜上「オーラ」と名づけた。


 事故直後は常に、というわけではなく、ふとした瞬間に見える感じだったのだけれど、最近ではある程度集中というか意識すれば見える感じだ。


 人によって様々な色のオーラが見えた。はっきりとした原色もあれば、例えようのない色や、同じような色でも少し違ったり、さらにその時々の感情によって多少色は変化するらしい。


 もっとも、明暗が多少変わるぐらいで、心の中が読めるという訳でもない。逆にその多少の感情変化や内面性が見える事によって、変な先入観や考え過ぎが湧き上がり、かなり邪魔な能力にさえ感じる。


冷静に自己分析して、社交性はある方だと思うので、「友人」は多い。けれど、先刻のような理由と考え過ぎる性格も相まって、心許せる友人は殆どいない。麻里は貴重な存在なのだ。


 因みに他人のオーラは見えるが、自身のオーラは見えない。きっと自分は綺麗な色では無いんだろうなと、なんとなく思う…


「ねえ、菜奈は今日のお昼どうする?お弁当持ってきた?」


 曇り空の広がるハッキリとしない天気の昼休みに麻里が話しかけてきた。いつもの柔らかな緑色オーラを発しているが、少し靄懸かってみえるのは何かを悩んでいるときに見られる現象だ。


 おそらく今は昼ごはんのメニューが原因だろう。


「う~ん。私は今日も学食かなぁ…麻里は?」


「私もね今日はお弁当ないから、菜奈一緒に学食いこ~~」


「うんうん。何食べるかな~悩むね~麻里?」


 こういうと麻里のオーラの霞が少し強くなる。素直な麻里をこうやってからかうのも実は少し楽しい。


 この学園の学食は意外と混んでいる。手ごろな値段とボリュームは学生の味方なのだ。


 日替わりA定食を手に、空いてる席を探す。

運よく麻里が4人がけ席をゲット。麻里はこういう「間」というか「運」がいい人だった。二人で席に着き、食事を始めようとしたところで…


「よお、ココいいか?」


 出た。この前の変な奴。そんなに親しい訳でもないのに、なんだこいつの馴れ馴れしさは…


「あ、晃くん。いいよ~一緒に食べよー」


 すんなり受け入れる麻里。


(え!?)


「なに!?麻里、知り合い??」


 麻里が普通に答えた事に驚いて、また変な声を出してしまった。


「うんうん。知り合いだよ~」


「この変な人が?麻里の知り合い?」


 思わず失礼な事を口走ってしまったけれど、なんとなく許される気がした。


「変な人とは失礼な奴だな。100円玉」


 一応私の事は覚えているらしいが、すでに「君」は省略されていて日本国通貨扱いだ…


「ん?菜奈も知り合いだったの?なら紹介は省略できていいね。早く食べよう~」


 麻里は意外と肝が据わっている。物事に動じないというか、適当にスルーするというか…


 食事中、高橋の相変わらずな変人発言にも麻里のスルースキルが炸裂していた。


 しかも二人のオーラは安定している。こんな人達もいるのだと勉強になった…気がした…タブン…


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