第1話 完全掌握者おしるこ
(フハハハハハハ!!! 完・全・掌・握!! ついにやってやったぞ! 最初から事情を説明した上で緩やかなカーストチェンジを実行していたのならばこうはならない。多少好感度が上昇した程度では只の人気者として扱われていただろう。しかし! 俺以外の全員を自然な形で反逆者として誘導した上で『反逆者の烙印』を押す事により優等生として、またクラスの頂点としての絶対的存在として認めざるを得ない精神状態を作り出す!! そして反逆者となってしまった駒共には『善哉おしるこというクラスの救世主』が居なければ取り返しが付かない事態に陥ってしまったという負い目を背負わせた上で仕上げである『最後』のチャンスを与える!! すると俺を絶対的優等生と認めるしか道がなくなるのだ……藤堂ではなくこの俺をな……)
そんな考えに耽っているとおしるこの近くにまことが歩いて来ていた
「まこと」
「……おしるこ」
「さっき来ていれば1000万円手に入ったのに残念だったな」
「ええっ!!」
まことは驚いていた。おしるこは本当に1000万円くれる気だったのだ!
「まことはお金好きだから1000万円喜んでくれると思ったんだけどなー」
「今からでも喜びゅよ!!」
現金なまことである。あとちょっと噛んだ。
「駄目だな」
「そっそんなー!!」
ガーン! と音が鳴りそうな程にしょんぼりしながらまことはおしるこの後ろ側に移動するのだった
まことの次に近づいて来たのはボッツである
「ボッツ」
「………」
「黙ってたら分からんだろう? 言いたい事があるのであれば今話しておけ」
「……おしるこよぅ」
「何だ」
「悪かった! おれは何にも分かっちゃ」
「許す」
「!!」
「どうした?」
「おっおしるこ!! ありがてえ! ありがてえ!」
そう言いながらボッツはおしるこの後ろ側に移動したのだった。
そしてお次はベンベンである
「ベンベン」
「………」
「黙っていては分からんだろう」
「……おしるこ」
「何だ」
「許してくれとは言わないよ! だけど私は」
「許す」
「え?」
「二度言わせるな」
「おしるこ! あんた漫画的にも最高の主人公格じゃないか! ありがとう! ありがとう!」
ベンベンはそう言いながらボッツとおんなじようにおしるこの後ろ側に移動して行く。
そして、俯いた状態で気まずそうな雰囲気を醸し出しながらケンブが近づいて来たのである
「………」
「黙るのが流行っているワケじゃないだろうケンブ」
「あのっ……」
「どうした」
「おし…るこ……さ…ん」
「おしるこでいい」
「え?」
「さん付けは要らんと言ったんだ」
「でも」
「俺達は仲間じゃないか」
「!!?」
「ケンブお前は俺の仲間だろう?」
「はっ! はい!」
完全にジゴロである
「ケンブが仲間だからこそ俺は怒ったんだ。大切に思っているからこそ道を踏み外しても手を差し伸べたんだ。最後のチャンスと言ったのはそれ程にケンブに分かって欲しかった気付いた欲しかったんだ俺の真剣な気持ちをな」
「おっ! おしるこぉ~」
ケンブは感動のあまり泣いていた。ジゴロに騙される女そのまんまである
「おいおい、ケンブ何泣いてんだよ」
「おじるご~ぐずっ」
「しょうがないな」
おもむろにハンケチーフを取り出すおしるこ!
「ほら」
「ううっ!」
(なんなんだ! このモヤモヤする感じはー)
この時まさに女である式が男であるおしるこに惚れた瞬間である!
だが実らない! 実る筈もない! 今まで恋をした事がない式は恋心が分からない故におしるこに恋している事実に気付かないし誰も教えてくれないからだ!!!
式は涙と鼻水をハンケチーフで拭いながらおしるこの後ろに回ったのだった
その後クラスメイト達がおしるこの後ろ側に回った後、担任教師から終結の宣言がなされたのだ
『それまで! チェンジ派閥100%チェンジ阻止派閥0%によりチェンジ派閥の勝利! これを持って終結を宣言する』
善哉おしるこ完全勝利である!