第0話 お姉さん怒る
ドッゴォォォン!
ピンポーン!
けたたましく鳴り響く騒音により私は目覚めた。
正確に言えば飛び起きた。
「何!? 何なの!?」
何らかの隣人トラブルだろうが、あまりの騒音と怒鳴り声に当時者でないにも関わらず自然と怯えていた私の身体は無意識下で震えていた。
だがしかし! 逆にあんまりにもうるさいので私は段々腹が立ってきたのである。
すげーイライラする!
何で無関係の私がこんなにイライラさせられなきゃいけないのよ!?
ムカつくムカつくムカつくぅぅぅ!!!
よぉぉぉし! ハイテンションデェェェィ! 私も怒鳴ってやらあ!!!!
謎のうるさ過ぎる騒音によるイライラによって人生史上最高に気分が高まった私は意気揚々と玄関の扉を開けた。
ガチャッ!
「ちょっと! 一体何なの!?」
(言ってやったわ! もう誰にも私を止められない!)
お姉さんは軽く寝ぼけていたのだ。
「これはこれはこんばんは」
(フッ! 優男っぽい声ね、馬鹿みたいに震えて損した気分だわ。よーし! このまま勢いで土下座させてやるわよ! 行けっ行くのだ私!)
「あなたねぇ! こんな夜中に何やって……………………らっしゃるんですの?」
(Oh……身長が……Oh……)
お姉さんはようやく寝ぼけハイテンション状態から覚醒したのだった。
「実はですねお姉さん、かくかくしかじか」
高身長だがさわやかフェイスで腰が低いおしるこの態度に段々と落ち着きを取り戻していったお姉さんはおしるこの話を聞いてみることにした。
「そう…6時間も…よく我慢したわね……」
(6時間ですって? 私なら10秒も保たないわね!)
お姉さんはとても短気なのだ。
「ええ」
「安心なさい!」
「どういうことです?」
「このフロアというかこのマンション3部屋しか入居してないわ!」
「うまい話ってあるもんですね」
そう、このマンションなかなか新しいのだ。
しかし立地場所がいわく付きな為に地元住人に人気がなく閑静すぎる住宅街の馬鹿成金マンション(土地勘のない馬鹿成金が建てたマンション)として地元ニュースに晒されたくらいである。
先程は寝ぼけていたため軽くド忘れしていたお姉さんだったが、そもそもお姉さん含めて2部屋しか入居していなかったので、おしるこ入れて3部屋。つまり現在マンションには騒音関係当事者しかいないので遠慮は無用なのである。
「じゃあやるわよ!」
(喘ぎ声はもう聞こえて来ないのだけれども私を怒らせた罪は土下座で返してもらうわよ!)
再びハイテンションになるお姉さんなのであった。