第1話 そして昼休みへ
ガラガラガラッ! ピッシャーン!
「見つけたわよ! 善哉くん! って臭っ!!」
どうやら担任教師が来てしまったようだな。
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
「それじゃあ授業も終わったし儂はおいとまするかの。ほっほっ」
ガラガラガラ。ピシャッ!
「臭い! 臭いわ! 藤堂くん! これは一体……藤堂くん?」
「先生……」
「藤堂くん……って漏らしてるの藤堂くんじゃないの!」
「僕は」
「あーもう! 言い訳する前に体操着に着替えて後始末なさい!」
「……はい」
「皆! 当然だけどこの事については他言を禁ずるわ!! 優等生が脱糞したなんて醜聞が他クラスに知られたらこのクラスは二度と這い上がれないウンコクラスとして学校史に刻まれてしまうわ!!」
ウンコクラス出身など誰しもが嫌なので全員がうなずく中、ただ1人異を唱える者がいた。
「待ちな! 先生!」
「何? 善哉くん待つって何を待つの? これ以上どうすることも……」
「今この時を持って俺こと善哉おしるこは『優等生』藤堂に対してカーストチェンジを申し込む!!!」
「「!?」」
「なあ……カーストチェンジって何だ?」
「さあ?」
「聞いたことないわね…」
まさか善哉くん……カーストチェンジを申し込むというの!?
あなたは転校初日だというのに勝ち目があるとでも…………そういう事ね! 藤堂くんが脱糞なんて意味が分からなかったのだけれども、ようやく理解したわ!!
おそらく藤堂くんは順調にいけばなんとか昼休みまで腹痛に耐えうることが可能だった!
しかしカーストチェンジを仕掛ける気満々の善哉くんはこの千載一遇のチャンスを逃さなかった!!
肉体的にか精神的にかは分からないけれど藤堂くんに脱糞させる事に成功した善哉くんは優等生であり一年生にして生徒会長である藤堂くんを転校生である自身と同じ土俵に引きずり出したという訳ね!
なんて奴! やはり大物という私の見立ては間違っていなかったようね。
しかし裏ルール的カーストチェンジを理解しているとなると善哉くんは実力的に優等生!
公式カースト最下位を装いピンポイントでこのクラスを狙った事から善哉くんの目的は最上位優等生を駒にするということ。
全く末恐ろしい子ね。しかし学校史上初のカーストチェンジが私が担当のクラスとは夢にも思わなかったわ……
カーストチェンジ!? カーストチェンジだと!??
やはり僕の予測は的中したか!! ふざけるなよ善哉おしるこ!!
この藤堂は脱糞如きで失墜するほど柔な藤堂ではない!!
一学期間に置いてクラスの駒共に心血を注いできたのはこの藤堂だという漫然たる事実を貴様の身体に刻み込んでやろう!
カーストチェンジで貴様を下し駒として『使って』やるぞ! おしるこぉぉ!!
「カーストチェンジを許可します」
(これはかなり面白いことになりそうね!)
「フッ!」
(せいぜい無様にあがいていろ藤堂!)
「わかりました。カーストチェンジお受けします」
(いつまでも余裕でいられると思うなよ! おしるこぉ!!)