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S1#1 ~4510~

擬人化とは、人間でないものを人間の様に見立てる比喩表現のことである。

新米女性刑事 冬舟もあは、ある出来事をきっかけに特殊な能力に目覚めてしまう。

その特殊な能力とは、事件で使われた凶器に触れると自分の目の前に凶器が擬人化して目の前に現れる能力を持つ。

擬人化したキャラクター達が冬舟もあに与えるのは事件の鍵。

不思議な力を持った冬舟もあが事件に挑む。

大阪難波駅を降りて後悔する。

大阪難波駅で降りず次の日本橋駅で降りるべきだったか。

確かに祭りの名前が『日本橋』なのだから

日本橋駅で降りるのがセオリー。

大阪難波駅を降りて高島屋に向かう客、ところ構わず大声で喋る爆買い中国人。

人混みを掻き分けて突き進む。

地上に顔を出し、ひたすら目的地を目指す。

歩きついた先に異世界の入り口が目の前に広がる。

もあは叫ぶ


「日本橋ストリートフェスタキター!」


今日は一段とおめかししている。

この日のために購入していた赤い口紅、チーク。

給料一ヶ月分の一眼レフ。

仕事終わりに毎日徹夜で仕上げた衣装。

職場にはコスプレが趣味のひとつなんて口が避けても言えない。

周りに二次元が広がる。

なんかのアニメで見た事がある高校のセーラー服、ダンボールで作った軽そうな大剣、SNSに拡散してくれと言わんばかりのコスプレ、ドンキホーテで取り合えず場に合わせて買ったナースの格好をした女性、パンツを撮っているのか、パンツの中を撮影したいのか、カメラ小僧がコスプレイヤーにフォーカスをオンにしている。

本来なら御用してもおかしくないのだが

二次元と言うこともあり緩い立法が蔓延している。

踏み入れることができない二次元が直径1センチもないホームセンターの安いロープで仕切られているだけだ。

こんな簡単に三次元から二次元に行くことが出来るゲートがこの世に存在していたのか。

異次元へのゲート通行料を払い

三次元から二次元へ足を踏み入れる。

周りはコスプレイヤーばかりだ。


「写真いいですか?」

「あれはなんのコスプレ?」

「再現率低すぎない?」


楽しみにコスプレしてきて心ない言葉を受ける

コスプレイヤーほど惨めなものはない。

と感じながらも自分のコスプレを周りの人がどう思っているのか、必死に客観的観点から見ようと努力する。


「キャー」


黄色い歓声に近い悲鳴が聞こえる。

なんかのウィルスに感染したのだろうか

妙にリアリティ感のあるゾンビのコスプレイヤーが地面に横たわっている。

悲鳴をあげたセーラー服を着た女性は、自分のスカートの中を見られたと思ったのだろう。

悲鳴をあげたセーラー服の女性が


「あのゾンビ全然動いてないね」


ゾンビのコスプレイヤーに目を向ける。

もあに動けの伝令が体全身に流れる。

炎天下で照りつけられるアスファルト。

鉄板のような熱さの所に動かずにいれるはずが

ない。

コスプレイヤーを掻き分けゾンビに近寄る。

もあは左手で死体の左手首を掴み脈を確認する。


「(あかん…)」


手首を掴んだまま手持ちぶさたしている右手を

死体の首元に添える。


「(動いてない、死んでる)」


皮膚がただれたゾンビのマスク、カッターシャツは血で赤く染まっている。

街中で遭遇すれば小学生でも110番通報か最寄りの交番に駆け寄るだろう。

しかし今日はコスプレイベント、ゾンビのコスプレと思えば誰もそこにあるのが死体とは思わない。

パトランプらしきものがチラチラ遠くの方で光を放っている。

こんな人だかりにパトカーで応援に駆けつけるなんて、まるで市民マラソンで誰にもぶつからずに逆送するぐらい大変だろう。

完全に祭りの規模を舐めた結果だ。

パトカーを諦めたのだろうか路肩に止め、警察官がもあに駆け寄ってきた。

「難波署の汐見です。こちらは今宮です。」

挨拶を軽く済ませ状況を伝える。

規制線が張られ鑑識も到着する。

祭りは中止、SNSには落胆の声、身も蓋もない噂話がツイートされている。

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