~プロローグ~
太陽はもうすでに沈み切り、辺りの食堂では兵士と思われる男たちが酒を飲み交わしている中、とある食堂の入口のそばに出された長椅子に二人の人影があった。
「ふぅん、なるほどなるほど。
面白い答えだわ」
声からすると女性なのであろうか、フード付きの大きめなローブのようなものを身にまとった少し怪しめの彼女が爽やかな声色でもう一人の男に話しかけている。
「何がだ?」
男のほうがいぶかしげにそう答える。
それに対して彼女は面白そうに笑った後、男に問いかける。
「そういえば、まだあなたの名前を聞いていなかったわね。
名前を教えてもらってもいいかしら?」
唐突なその問いかけに男は少し戸惑いの表情を浮かべるも、その質問に答える。
「リヒトだ」
「ふぅん、リヒトか。
いい名前ね」
「そっちはなんていうんだ?」
「私?
そっか、私もしっかりと名乗ってはいなかったわね。
一度伝えていたから何となく伝えた気になっていたわ」
そこで一度言葉を切った彼女はかぶっていたフードに手をかけると、一気に脱ぎ去り、彼のほうへと顔を向ける。
彼女の顔を見た男は顔色を変えた。
まぁ、それも当然であろう。
それを見た彼女は悪戯が成功した子供のように微笑み、こう告げた。
「はじめましてね、リヒト。
私はリスリラ=フェーベル。
さっきも名前は告げたけど、面と向かって話すのはこれが初めてだからもう一度言っておくわね」
長く美しい、若干青みがかった髪にきれいな深緑色の目をした彼女が、自分の唇に白く長い左手の人差し指を当てながら、さらに続ける。
「そうそう、リヒト。
もしあなたが私のところに来るというのなら、さっきまでのことは水に流そうと思うのだけれど、どうかしら?」
男ににっこりと微笑みかけながら。
メッセージや感想を含め、いろいろなアドバイスをもらいました。
ですので、そのアドバイスなんかを活かして執筆していきたいと思います。
皆さんどうか、よろしくお願いいたします。