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とある妖狐の日常

美野と申します。

桜山の鬼【外伝】双子の妖狐です。

たまに歴史のお勉強が始まったりしますが気にしないで勉強してってください。あ、その際は参考図書名を記入しておきます。何か問題がある場合は即、消去しますが、あしからず。

「せいめい、やくそくだ。おれらはさきにしんだほうのタマシイをいきてるほうがクうんだ!」


「そうすれば、ながくいっしょにいられる!」


幼い頃の僕らは


「はい!にいさま!!」


何と安易だったのだろう。


…今更悔やんでも無駄である。





「晴明様。昨日も大通りに妖の群れが現れたそうです。」

またコレかと、陰陽師安倍晴明は心の奥底で頭を抱えた。

「困ったものですね…左近さんがまた、術に失敗したのですか…」

一瞬固まったことを隠すかのように乾いた笑みを顔面に張り付かせ、口八丁を軽く言える程度には慣れた晴明だが、まだ額に青筋が浮いている自覚がある。

「(もっと精進せねば…)」

報告にやってきた男はそんな晴明の様子に気付かず、「本当に困ったものです」とけらけら笑っている。晴明もはははっと笑う。


男が出て行くと、晴明は占星術の本を開き札に何か紋様を書き込んでいった。天気が良いため、縁側に続く障子を開けて風を取り込んでいる。

初夏の心地良い風に書いたばかりの札がぱらぱらと音をたてている。

ふと、風の流れが変わった気がして縁側を見た。

ばたばたと着物の袖を揺らしとんっと降りてくる

髪が長く頭から獣の耳を生やした男。

男は顔を上げ、晴明を見るやいなや意地の悪そうな笑みを浮かべた

「よぉ、晴明!元気にしてたァ?」

笑いながら喋る男を、晴明は目にも止まらぬ速さで部屋に引きずり込み、障子を勢いよく閉めた。

ぜいぜいと荒い息を吐き、晴明はキッと男を睨みつける

「兄上!貴方ですね、昼間から大通りで百鬼を率いたのは!!」

「あ、バレたー?」

悪びれもなく笑う兄…黎明に晴明はふわりと笑うと…

「いい加減にして下さい!!!」

大声で怒鳴りつけたのだった。

陰陽師、安倍晴明と妖狐、黎明は双子の兄弟である。人間の男と葛葉と呼ばれる白狐の間に生まれのがこの2人だ。

「なーんで、そんな怒ってんの。」

火に油を注ぐだけだというのに黎明は何でもない顔で飄々と言った。晴明はその言葉を聞き、ピシッと青筋をたてた。

「…兄上。」

底冷えするような声で呼ばれ、黎明は『また、アレが始まる』と直感した。ゆっくりと後退り勢いよく隣の部屋へ続く襖へ駆け出した。距離などあって無いもの。しかし手を伸ばし襖の取手に手が掛かるという瞬間…

手が弾かれた。

「…っ」

よく見ると襖の合わせの部分に札のような物が数枚張り付いている。

黎明は冷や汗をかきながらぎぎぎっと音が聞こえてきそうな程固い動作で晴明へ振り返った。

晴明は手の指に先程書いていた札を挟み、臨戦態勢をとっていた。

「兄上…学に勉めましょうか。」

その瞬間。妖狐、黎明は弟の言霊に縛られたのだった。


帰りの遅い黎明を探しに犬妖怪の戌亥いぬいが晴明宅を訪れると、黎明が正座したまま震えていた。

「よ…よぉ、戌亥…」

「どうなされたのですか。」

大体想像はつくが、戌亥は形式的に尋ねる。

「逃げようとしたら、晴明に捕まって学と政治について説教された。」

口元を引きつらせ、笑いながら返された返事はやはりいつも通りだった。

「戌亥さん。すみませんでした…どうも熱が入り過ぎてしまったようで」

申し訳無さそうに晴明がすると、普段あまり感情を面に出さない戌亥が優しく笑い大丈夫ですと返す。

「帰りますよ、黎明。」

「…へーい」

プルプルと震える足に力を無理矢理入れ立ち上がると戌亥の肩に手をついた。そのまま縁側まで出ると綺麗な月が出ていた。

晴明も見送るかのように縁側に出てきた為、三人で月を見上げる。

幼少の頃、まだ晴明も山のお屋敷にいた時はこうして三人で月見をしたものだと感傷に浸っていると、黎明がクスリと笑い、戌亥の袖を引いた。

「じゃぁまたな。」

振り向きながら晴明に別れを告げると晴明は名残惜しそうにしつつ呆れたように「もう昼間から遊び呆けるのは大概にして下さいね。」と釘を刺してきた。

「考えとくわー。」

先に黎明が屋敷の塀を飛び越え、戌亥が後に続くように「失礼します。」と一礼し去って行く。


2人の気配が消えたことを確認し晴明は部屋へと戻った。





木々の間を飛び山奥へと入る。黎明は機嫌が良く、戌亥はチラリと見ると口を開いた。

「楽しそうですね。」

「んー?そりゃぁ、楽しいさ。晴明が激怒して説教してるとこてめぇにも見せてやりたかったわ」

くくくっとのどの奥で笑い、黎明は心底面白かったと言わんばかりだ。

戌亥は興味なさげに、しかし珍しいものを見るかのように黎明を見た。

「珍しい。」

「何がだ?」

「貴方が普通に笑っていることが。」

「あ?いっつも笑ってんだろうが、昨日だって百鬼見た人間が腰抜かしてんの見て大笑いしたし」

そうではない。と、戌亥は思う。私が思うのは。

「どうした?」

「…いいえ、何でも。」

黙って黎明を見つめる戌亥は、目の前にいる黎明と

人間の屋敷で今頃寝る準備をしているだろう晴明がどれだけ互いを大切に思っているかを知った。

教えてやんねぇけど。




一話目から意味不明ですねー。

気にせずいってみよーう

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