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恋愛=パン?

作者: 小田 上総

初投稿作品です。誤字脱字、文書の拙さをご了承のうえで読んでください。この話はフィクションです、実際の人物、団体等には一切関係ありません。PCで作成、投稿をしていますのでPCからの閲覧を推奨します。

不慣れですので全体的に読みづらいです、文字が多い等不満を持たれるかと思いますので予めここでお知らせしておきます。少しでも気に入っていただけたら幸です。




 二十歳を超えて、イベント事が来るたびに何かと友人に絡まれることが多くなった。俺にとっては変なことでなくても、他人からすれば変な光景に映るらしい。気にはしていないが、友人に目の前で自分をネタにこうも大笑いされると何となく釈然としない。腹いせとしてひっそりと友人の赤ペンと黒ペンの芯を交換しておいた。赤線を引こうとして盛大に失敗でもすればいい。


 そんなことはさておき、今回なぜこんなにも友人に笑われているかというと少し前のことにさかのぼる。友人には付き合っている相手がいるのだが、他人がどう相手関係を保っているのかが気になるらしく一応交際をしている相手がいる俺に何かと聞いてくるのだ。のらりくらりと交わすこともあれば、それすら面倒で適当に当たり障りなく答えることもある。

 今回は俺にしては珍しくまともに答えたつもりだったのだが……。


「バレンタインっていったら恋人同士の一大イベントのひとつだろ?どんな甘い一日を過ごしたわけー?チョコはどんなの貰ったんだ?やっぱり手作り?」

「少し落ち着け」

 机に身を乗り出してくる友人から思わずノートでガードをしつつ更に距離をとる。付き合いのそこそこ長い友人だがこのテンションにだけは慣れたくない。ノートで相手の体を押しのけて椅子に座りなおす。向かい側からは期待に満ちた目が向けられているが無視。そんなことより目の前の問題集を解き終えてしまいたいと、ノートを開く。

「とーしーゆーきー、俺とお前の仲だろう?少しぐらい惚気てくれてもいいだろ?」

「俺とお前の間に大学同期である以上の仲があるとは驚きだ」

「そんな!?二人で一つの毛布を分け合った仲だろ?」

「下手をしたら誤解を招くような言い方をするな。飲み会の後、雑魚寝した結果だろ。しかもお前が勝手に俺の使ってた毛布奪っただけだよな。あの後、体調を崩したことならよーく覚えてる」

「その説は本当にすみませんでした!」

 ばっと頭を下げる友人に気付かれないように小さくため息を吐く。憎めないが所以にこうして交友関係が続いているのは自覚している。大なり小なりこの友人の明るさに助けられていたりもする、たまには話をするのもありかと思った。

「はぁ……別にこれといって特別なことはしていない」

「えー、でもチョコとか貰ったでしょ?」

(立ち直り早いな…。)

「…貰った」

「手作り?」

「うん」

「へー…」

 笑みを浮かべる友人に対してほんの少し苛立ちを覚える。馬鹿にしているわけでないのはわかるのだが、どうにも目の前えの笑顔をゆがめてやりたい気持ちなる。

「どっか行ったりとかは?デートしてないの?」

「…デートの定義づけに当てはまるかは置いておいて、一緒に出かけはした」

「デートじゃん」

 それの内容がお世話になった先輩の誕生日プレゼントを選ぶためなのだが…もともと一緒に出かけることが目的ではなく先輩へのプレゼントを選ぶことが前提。そのうえで顔を合わせる機会があるのだからついでに一緒に行こうと……うん、自然な流れだろう。

「で?一緒に店まわったりご飯食べたりした?」

「あー、先輩への誕生日プレゼントの下見しにいろいろな店まわったな。あとお昼はパンを食べてた」

 

 

 バレンタインの日はチョコを貰った。二週間ぶり顔を合わせた彼女に小さな紙袋に入ったお菓子を貰って、そのまま俺の運転する車で二人ショッピングモールへと赴いた。俺もそう得意とするわけではないが、極端に人ごみと乗り物に弱い彼女のことを考えて人の少ない朝一番に目的の場所についた。車でわずか十数分の道のりだが、それでも若干気持ち悪そうにしている彼女を気遣いつつ店をめぐった。先輩方へのプレゼントとして無難なものを見つくろっている間に気分は良くなったらしい、彼女の顔色が良くなったことに安心した。

「先輩へのプレゼントだったらここら辺が無難ですかねー」

「無難でしょう、おそらく使うだろうし。…ところでお昼どうします?」

「……ノープラン、どうしましょうか。適当に買っていきますか?」

「そうしようか」

 昼ごろになってちょうどよく鼻をくすぐる焼きたてのパンの香りに誘われ、二人でパン屋に入った。

「どれにします?」

「あー、焼き立ての表示もありますし食パンでどうですか?」

「いいですね、何かつけます?」

「せっかく焼き立てですし、そのままが俺は好きです」

「そのまま、何も付けない?焼かない?」

問いにうなずいて見せれた、彼女は面白いものを見るような視線を俺に投げかけた後、ふんわりと笑った。

「ふふ、君らしいですねぇ。じゃあ、食パン買って帰りましょうか」

甘いバターの香りが漂う袋を持って、二人で笑った。


 そういえばそんな感じで過ごしたなと、思い出してしみじみと平和なものだと噛みしめる。ふと視線を上げれば友人がぽっかりと口をあけてこちらを見ていた。とりあえず、手元にあったお菓子を口に放り込んでみた。

「いやいやいや、で食パン買って帰ってどうしたわけ?」

「食べたよ、バターの香りがよくて美味かった」

口に放り込まれたお菓子を咀嚼し、飲み込んでから友人はまた机の上に身を乗り出してきた。

「あのさ、年頃の男女がバレンタインというイベントに二人で出掛けて、食パン買って帰るってどうなの!?付き合ってるんだよね!?」

「悪いのか?向こうも嫌がっていなかったし、イベントだから何かするってわけでもないしな」

「悪い悪くないじゃなくて……待って、待って。なんなの、将来思い出すのが『あの時食べたパン美味しかったね』みたいになるの!?せっかくショッピングモール行ったんだから二人で店とか入ればいいじゃん」

「あー、その考えは微塵も浮かばなかった」

友人はがっくりと机に伏せてしまった。やっと勉強を再開できると思い、ノートに再びペンを走らせる。回答を書いていくと手元の字が歪んだた、正確に言うと机が振動しているせいで手元文字も歪んでしまった。原因は目の前で机に伏している友人、よく見ればその肩が震えている。

「…笑うなら笑え」

「ふひゃひゃひゃひゃっ、あは、あはははは」

 友人は腹を抱えながら盛大に笑い出した。

そして冒頭に至る。



「つーかなんで食パン?菓子パンとか買えばよかったんじゃね?」

ひとしきり笑って落ち着いたのか友人が聞いてきた。笑われたこともあり、その問いには答えず友人を無視して問題集に取り掛かった。当分の間こいつの質問には答えない、何を聞かれようともすべてスルーしてやろうと心に決め、ペンを走らせる。

 反応を返さない俺に、いい加減あきらめて友人はどこかへ行ってしまった。一人になって友人の問いを思い返す。そういえばなんで食パンにしたんだったか。俺も彼女も甘いものは好きだし、それこそバレンタインだったのでチョコ系のパンも多く売られていた。俺自身が食パンが好きなのも確かだけど、それが要因だったわけではなかったはず。

(…あ、クリスマスのときか)

思い出した、12月25日に彼女と出かけた時だ。その時もお昼をどうしようか話し合って……

(今回とほとんど同じ流れでフランスパン買って、二人でかじっていたな)

一人苦笑をもらした。ただでさえ笑われたのに、このことを友人に告げようものなら更に笑われるのは目に見える。

(あいつにだけは絶対に言わないでおこう)

 友人にはずいぶんと笑われたが、いいじゃないか。イベント事に思い出すのが、甘いバターの香りというのも悪くない。何より俺と彼女の思い出なのだから笑われてもいいだろう。何時か思い返して『何やっていたんだろうね、二人して』と笑いあえる一つになるのならそれもそれでありだ。

 チョコのお返しをどうするかまだ何も考えてはいないが、また二人で出掛けるのもいいだろう。



 そうしたら、二人でまた焼き立てのパンを買って帰ろうか。




 ここまで目を通して頂けた方、ありがとうございます。何だこの知り切れトンボの作品はと思われる方もいらっしゃるでしょうか。申し訳ありません、今現在私のできるすべてでこちらの作品を書きました。

 作品自体心温まるやら、生ぬるいやら…。ツッコミ入れたらきりがありません。生温かい目で見守ってくださると幸いです。余談ですが私は食パンやフランスパンよりもクロワッサンが好きです、あのサクサクがたまりません。いや、いらない話ですね。それではまた、お会いできることを願って、ここで終わらせていただきます。     


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